平成24年度 特別支援教育研究会【第6回】

特別支援教育研究会(第6回)

内容: 「 」
講師:  
日時: 平成24年 月  日(水)
場所:  
参加人数:  

【特別支援 Aグループ発表】

発表者: 天授ヶ丘幼稚園 中村 麻奈美
報告者: すみれ幼稚園  吉本 早織

今までに話し合ってきた中で特に興味深かった2つの事例を挙げる。

【事例1】

I君 4歳児 自閉症 男児

 1学期は新しい事にも進んでチャレンジし、頑張る姿を見せており、2学期も引き続き準備や挨拶を頑張っていたが、苦手意識のあるもの(ここでは運動会の練習)に対して意欲的に取り組まなくなった。特にお遊戯の練習ではほとんど動こうとせず、ただ立っているだけの状態である。

 出来たことに対して思い切り褒めたり、時には叱り、指導をすることもあったが、その場だけで終わってしまい、いざ踊りを始めると気分も下がり口数も減ってしまっていた。

 苦手意識のあるものへの取り組みをするときにどうしていけばよいか。

●提案

  • 流れを把握させるために(前の)ビデオを見せたり、言葉で伝えたりする。
  • 家の方と協力することが大切なので、家での様子を聞き、連携を取りながら子どもを見ていく。
  • 興味や関心を引き出させ、自信をつける。
  • 友達に認めてもらえるよう、クラスに頑張りを伝える→社会性につながる。
  • 人前に立ったり、責任を持たなければならない様なことをさせる。

〈アドバイス後のI君の様子〉

  • 人前に立たせると苦手なものでも頑張りをみせるようになった。
  • また、そこで、褒めてもらう喜びを更に感じ、積極的に前に出てくるようになり、苦手なことにたいしても少しずつ意欲を見せるようになった。
  • 友達に認めてもらう、話をすることで、周りの様子も見れるようになりつつある。
    (友達と一緒の行動をとるようにもなってきた。)

【事例2】

S君 4歳児 自閉症 男児

 話をする際に保育室内にはいるが11月頃より、椅子に座らず立ち歩いたり、担任の目の前を行き来したり、座布団に座る際は寝転ぶことや近くを立ち歩くことが多く、注意や言葉がけに悩んでいた。

 きっかけはクラスの友達の真似から始まったのだが、周りの子ども達は二学期になり少しずつそのような姿は見られなくなった。

 S君が立ち歩いたり寝転んだりすることをあまり気にしない子どももいれば、担任に伝える子どももいた。その際の言葉がけにも悩むことが多かった。

〈アドバイス後のS君の様子〉

  • 今は何をする時なのか自分で考えられるよう言葉がける
  • 友達同士で教え合う雰囲気を作る→見守る
  • 座布団に座る場所をカラーテープで四角に囲ってみた
  • 本人の好きなものを取り入れてみる(キャラクターや手につける人形)

 出来る限りの範囲でアドバイスを実践してみた所、友達に教えてもらい、時折実践する姿も少し見られるようになった。以前よりも子ども達がS君に教えることも増えた。また、自分で気付けるよう言葉がけをすると自ら椅子に座り直す姿も見られた。カラーテープで座る場所を囲ったところ、周りに友達が座っているためか、転がったり立ち歩く機会も以前よりは少なくなった。

【見解】

 2つの事例より提案していただいたことを実践していると2人とも少しずつ変容を見せ、I君は苦手なものに取り組む際に少しずつ意欲的になり、また、S君に対する友達の関わり方が変わったり、自分で気づけるようになるなど良い方向に向かってきているように感じる。また、2人の新たな一面を発見することもできた。

 自分が考えていた支援方法以外の方法を提案していただいたことで、I君もS君もさらに良い傾向にあるので、引き続き実践していきたい。

 また、グループ討論をすることで、他園の保育方法や支援方法を知ることが出来、視野が広がった。もっと視野を広くし、たくさんの支援方法を考えて、周りの意見を聞きながら支援の必要な子どもに対して、支援を行っていくことがその子どもにとって大切であるように思う。

【特別支援 Bグループ発表】

発表者: 泉山幼稚園 渡邉 杏子
報告者: 慧日幼稚園 板倉 春佳

 Bグループは、ダウン症・言葉で伝えられず攻撃的である・自閉症スペクトラムの疑いがある・ 障がいと診断されてはいないが支援が必要である。このような様々な障がいをもつ3歳~5歳児を受け  持った先生が集まったグループです。
 いくつかのインシデントを持ち寄り話し合いました。その中で、深く話し合えた事例を発表します。

【特別支援 Bグループ発表】

発表者: 泉山幼稚園 渡邉 杏子
報告者: すみれ幼稚園  慧日幼稚園 板倉 春佳

Bグループは、ダウン症・言葉で伝えられず攻撃的である・自閉症スペクトラムの疑いがある・障がいと診断されてはいないが支援が必要である。このような様々な障がいをもつ3歳~5歳児を受け持った先生が集まったグループです。
 いくつかのインシデントを持ち寄り話し合いました。その中で、深く話し合えた事例を発表します。

◆5歳児A君(ダウン症)

A君は言葉が単語しか出ず、言葉の意味がわからないことがある。そのため、友達とのコミュニケーションがうまくとれない。その中で特定の子、B君をよく噛んでしまい、それが頻繁に繰り返されることがある。B君はADHDの傾向がみられる。

B君とA君について、

  1. A君はどのような時に噛むのか、
  2. 相手のB君は普段どのような子であるか、
  3. A君の言語レベルはどれぐらいのものか、文字は読めるのか…

といった質問がされました。

話し合っていくうちに、少しずつ背景が見えるようになってきました。

①A君はどのような時に噛むのか、という質問に対しては、

戸外から保育室に帰ってきて、やることがわからずうろうろしている時、A君に「こっちやで。」等と教えてくれた子を噛む。また、自分のやりたいことを他の子がやってしまったときに噛む。
ということでした。

「A君はその気持ちのもやもやが言葉で表せないため、噛むといった行為になってしまうのではないか。」「ダウン症の子に限らず、その子どもの持ち物を置く場所(ここに置いておいてね)をつくることで解消されないだろうか。」という意見が出ました。また、それだけ頻繁に噛むという行動が起こっていることから、保護者の受け止め方が気になり、話題は保護者の方へと移りました。

噛まれたB君の保護者は、B君に「少し離れて遊んだら?」と提案したが、B君自身がA君の行動が気になり近くにいる。A君の保護者は、保育者からA君が噛んでしまったことを聞いても、保育者が言葉にして促さないと噛んでしまった子の家庭へ、お詫びの声をかけることがない方である。A君の保護者は、家庭では言葉が出ており、身の回りのこともできるようになってきたため、特別扱いしてほしくないと思っている。

ここで、保護者の受け止め方と、保育者の認識にギャップがあることが浮かび上がってきました。A君一人の成長は確かにあるけれど、園生活では、家庭と違ってその場で必要な言葉が出ていないということや、A君の保護者が噛まれた子の保護者たちに、コミュニケーションを取ろうとしていないということ等、保育者としての困りの話も出ました。

その時、似たような経験をお持ちの先生から、「幼稚園にいた時はグレイゾーンの子。担任として保護者へは良いことやその子の姿をきっちり伝え、最後にひとつだけ家庭とも共有していきたい課題の部分を話していました。その子が中学生になった時に、やっと保護者の方もその子のありのままの姿を受け入れられるようになってきたそうですよ。
というお話をうかがいました。

 幼稚園の時の親の気持ちとしては、希望をもっていて、こどもの困りからくる行動を受け止めきれない保護者もいるということを、その場のメンバーみんなで理解しました。私達は保育者として、困っている子だけでなく、その子を取り巻く環境をよりよくし、保護者の方々や周りの保育者にも協力、応援してもらい、適切な支援を行っていかなければならないと感じました。

グループ討議の中で提案された様々な支援の方法の中には、園によっては難しいと感じられるものもありました。しかし、みんなが建設的な意見を言いあい話し合いを進めました。その結果、出来ることから少しずつ試してみようということになりました。学年内や園内で共通理解をし、一人で悩まず多くの保育者の目で見ていくことで、この研究会でのインシデント・スタディのように、様々な方法でアプローチでき、理解を共有することが出来ると感じました。また、自分では気付かなかった視点に気がついたり、見えていなかった背景が見えてきたりし、視野が広がる話し合いができました。

これからも子どもに寄り添い、よりよい保育が出来るように、この研修で学びえたことを活かしていきたいと思います。

【特別支援 Cグループ発表】

発表者: 石田幼稚園 松宮 智子
報告者: マクリン幼稚園 宮部 由衣

私達Cグループは主に年少児担当のグループです。

初回は自己紹介を兼ねて子どもの特徴や担任としての悩みなど大まかなところを報告し合いまた。そこでは、自閉症や発達遅滞など低年齢でありながら何らかの診断名が出ており、支援施設と園とを平行して通う子どもが多く、先生方それぞれが普段のいろいろな問題や悩みを抱えていることがわかりました。

 2回目のインシデントではこれからどのようなすすめ方がふさわしいのかを話し合いました。というのは他園から集まった者同士で緊張感もあり毎回各自が新しい事例を持ちより、質問から討議、解決へと導くことに負担と大変さを感じたからです。そこで、事例を2つに絞り、指導の仕方をみんなで話し合い、実施してもらいました。そして変化や成長が見られたかを報告してもらうことによって、新たな問題や困り事があれば違う方法を考えて実施をする。これを5回までのインシデントで行なってきました。今思えば、このことによって研修に携わる責任感と学びの実感が持てたことと、インシデントが現場で活かされ、ひとつでも子どもの成長につながったことを嬉しく思います。

 これまでにインシデントで話し合ってきた事例をここで大まかにお話させていただきます。

 3歳児であるA君は言葉でのコミュニケーションが難しいのですが、文字や数字には興味も持ちよく読むことができるので、園では普段の行動の手順を書いたカードを使って過ごしています。しかし、物事に取り組む中で例えば、「ボタンをはずす」、「袋を開ける」などの場面での具体的な困りが言葉で言えず立ち尽くすため保育者も気付かないことがあります。気付いてやれるような方法について話し合う中、たくさんの意見が出ました。「たすけてくださいカード」と「できたよカード」を導入にてみることにしました。すると、次の話し合いでは、何かできたことについて、「できたよカード」で保育者に知らせ、それまでにはなかったタッチでのコミュニケーションがとれるようになったと報告がありました。

 一方、「たすけてくださいカード」は何に困っているかが伝えられず上手く使いこなせないとのことでした。しかし、保護者との連携を図るなかで「たすけて」から「てつだって」という表現に変え、伝え方を園と家庭で共有したことにより困りや欲求を「てつだって」という言葉で言えるようになったそうです。私達がここでカードの種類や使い方を知り、その実施や家庭での様子を聞けたことは今後の保育に大いに役立つと共に、保護者の理解や協力も子どもの成長に欠かせない要素であることにあらためて気付かされました。

 もう1つの事例は3歳児B君で、石や砂、木の枝などを食べるという子どもです。担任はよくないことと知らせるために、ついきつく叱責してしまいます。よって望ましい禁止の伝え方について話し合いました。話をすすめる中で、ストレスや気をひきたいなど時期的なことも大きく影響しているのではないかと、もう少し経過を見ることになりました。やがて2学期に入っての話し合いでは運動会の練習も終わり、ストレスが減った、また担任にもなれてきたことでそのような行動も減り、落ち着いてきているとのことでした。あまり耳にしたことの無い事例に、先生方も驚き適切な方法や解決策はあまり出てきませんでしたが、そのような原因で起こるということがわかっただけでもとても勉強になりました。

 ただ結局この子どもは来年度養護施設への入所を検討しているらしく、保護者とのトラブルやこじれなど違う局面で問題が発生しているとの話が持ち上がりました。議論は続き、入園を引き受けたはいいが、その後、問題の起こるケースが実際どこの園でもよくあるというのです。集団生活が困難で通園が続けられないことが入園してからわかる。あるいは保護者に診断をすすめられなかったり、反感をかってしまうなどです。

 これからはその子どもに見合った良い環境と成長のためにも1歳半や3歳の検診をもう少し厳重にするとか、私達園側も入園時点で慎重に注意して観察するなど、責任ある対応ができるように考えていきたいものです。ただ、こういった問題を減らす意味でも園全体が常に横つながりになっておこうとする取り組みをされている話も聞くことができました。

 ある園では保育の様子等をビデオに撮っておく。またある園では園長先生や職員で年数回、他のクラスの保育を見学する。これらを共に話し合い、支援を必要とする子どもに対して職員が共通理解しているというのです。保育だけで精一杯なことが多い中、このような取り組みを積極的にされていることに感心するとともに、この積み重ねが教育者としての豊富な知識と実績につながっていくのだと私自身感じました。

 今回の研修では支援の在り方や各園の取り組み、問題の解決法など様々なことを知ることができ、良い経験と貴重な時間を過ごさせていただきました。

 又、長年の保育の実績や経験があっても思い込みが先走り気付かないこともたくさんあるんだと感じました。1人で抱え込まず、迷いや困りがある時はいつでも園でインシデントスタディが出来る環境を築いていけらばと思います。

 最後にグループ発表するにあたり、ご協力いただいた各園の先生方に感謝いたします。ありがとうございました。

【特別支援 Dグループ発表】

発表者: 嵯峨幼稚園 山田 陽菜
報告者: 嵯峨幼稚園 山田 陽菜

【Dグループ事例】

子どもの様子

  • 食べるものに偏りがある
  • 特定の衣服にこだわる
  • 話せるのに話そうとしない
  • 水で遊び続ける
  • 高いところにわざと上ろうとする
  • 家のトイレにしか行けない
  • 特定の友達としかあそぼうとしない

その中からの話し合い

●家のトイレにしか行けない

原因  → 新しい環境が苦手、家庭での協力が得にくい。

解決策 → その子どもの好きなキャラクターを貼ってみる。
       その子どものトイレに行くタイミングを見計らい一緒に行く。

などが挙げられた。

●いつも同じ友達といる

原因  → 家庭環境からくる不安があり、自信がないのか?

解決策 → まずは先生と一対一の関係を作っていき、人間関係においての自信をつけていく。
       他の友達と関わる機会を意図的に作っていく。

などが挙げられた。

原因などはさまざまであるが、共通して出てきたのは、かまってほしいからなのか、自信がないからそのような行動をとるのではないか、何かに困っているからそのような行動をとるのではないかという意見。

大切なこと

  • 日々子どもたちと向き合う中で支援の方法を考えていく
  • いくつも試していく中で、その子どもに合った支援の方法を考える
  • 信頼関係を築いていく

何よりも子ども一人ひとりに寄り添うことが大切

〈保護者との連携について〉

話し合いをする中で、保護者の協力が得られなかったり、保護者との思いのすれ違いがあり悩むことがある。また、療育の先生との見解の違いがあり、こちらの話が伝わりにくいことがあるのでそのときはどうしたらいいのかという悩みも出てきた。

 ⇓ 

保護者と連携してその子どもを見ていくためにもまずは保護者とも信頼関係を築いて、一方的にこちらの思いを伝えるのではなく、保護者がどのようなことを望んでいるのかを見極めていくことが大切なのではないか

【まとめ】

特別支援教育研究会に参加させていただいて、先生方のお話を聞き、同じように悩んでおられる先生がいるんだとほっとする自分がいました。また、たくさんお話したりお話を聞かせていただく中で、同じ子どもは一人もおらず、子ども一人ひとり、また同時に保護者も決して同じ人は一人もいないのだと思いました。支援の必要な子どもも、またそうでない子どもも同じ対応をして同じ結果が返ってくるとは限りません。だからこそ私達が、どの子どもも一人ひとりをしっかり見つめて寄り添い丁寧に関っていくことが大切なのだと感じました。

 この特別支援教育研究会で同じような悩みを持つ先生方にたくさん出会え、たくさんのお話を聞くことができました。また、朝野先生からは専門的なお話を聞くことができ本当に勉強になりました。この経験を今後も活かし続けていきたいです。

このような貴重な時間を作っていただき、朝野先生方はじめ先生方本当にありがとうございました。

【特別支援 Eグループ発表】

発表者: コドモのイエ幼稚園 伊達 史子
報告者: コドモのイエ幼稚園 伊達 史子

今回E班では、2つの事例を話し合いました。

事例1は4歳児女の子について話を進めていきました。

  • 集まりのとき、始めは座っていられるが後に立ち歩いたり園庭にでてしまうことがある。
  • 自分の興味のあることに対しては積極的に取り組むことができるが長時間に及ぶと部屋の中を歩き回ることがある。
  • 日頃の生活の中で行えていることも、普段とは違う活動になると同じような様子が見られる、等の状況であった。

その様子を踏まえて話し合いをすすめた結果

  • 本児の好きな歌を活動の中に組み込み計画をたてる。
  • 集まりの流れを把握できるようカードを作る。本児は、ピアノに自分の姿が映ることを好むので座る位置をピアノに映る場所に決め様子を見ることになった。

意見を取り入れ実践した結果、少しずつ変化が見られた。

  • まず、集まりの流れをカードなどで示し見通しをたてたことで最後まで参加できるようになった。
  • 集まり以外でも見通しがたつようにカードを用いたことで、以前よりも取り組める時間が長くなってきた。
  • しかしまだ、難しいところもあるので引き続き取り組み様子を見ていきたい。
    ということでした。

事例2では、4歳児男の子について話を進めていきました。

  • 興味のある遊びをみつけると「入れて」と言葉をかけて参加するのではなく力ずくで輪の中に入っていこうとする。
  • 戦いごっこになると力加減ができない。
  • 高いところから飛び降りようとしたり、狭い空間で走る。等、衝動的な面があり、他児がけがをしたり、喧嘩になることがある。
  • 本児自身も危険察知がまだ難しくけがをすることがある。
    また、集まりの中で長時間、話を聞くことが難しくしんどくなってくると、周囲の子どもに触れたり、強く押しトラブルになることや、担任の上に乗りかかり話を中断させようとする。

等の状況であった。

その様子を踏まえて話し合いを進めた結果、

  • 危険なときやトラブルになったときは、端的な言葉で伝え、ルールや約束ごとを作る等、パターン化させ本児が理解できるようにする。
  • できたときは存分に褒め、自信に繋がるようにする。
    集まりの中では、話の見通しがつくようにする。本児が安心できるよう本児が好む物を手に持ち気持ちが落ち着くようにする。という意見が提案されました。

意見を取り入れ実践した結果、

  • 集まりの中で本児に保育者の手伝いや役割を任せることで楽しみがうまれ、自信を持ち取り組める内容では、少しずつ落ち着いて参加できるようになっていった。
  • 本児の変化によって周囲の子どもたちが抱く本児のイメージが変わってきた。
  • まだまだ難しいところもあるが本児に見合った配慮を今後も進めていき様子を見ていきたい。ということでした。

一年間のまとめとして

インシデントを通じて事例を報告してくださった先生に質問していくことで出会ったことのない、その子の姿を共にイメージし何に困っているのかグループで考えていくことができました。
自園にいる同じタイプの子どもの姿を思い浮かべ手立てを考えたり他園の先生方と意見を出し合ったことで様々な視点、角度からの意見を聞かせていただき、一人では気づくことのできなかった手立てがうまれるなど、支援が必要な子どもたちは一人ひとり違うけれども自園でも実践できることが多くありとても参考になりました。
そして実践をし、その子の変化や成長等の報告を聞き嬉しくなり励みになりました。

とても勉強になった一年間でした。ありがとうございました。

【特別支援 Fグループ発表】

発表者: 松尾幼稚園 甲斐 千晴
報告者: 松尾幼稚園 甲斐 千晴

多くの事例の中から、2例を報告いたします。

【事例1】

T君 4歳児
→言葉が出ない、言葉の理解はある様子(診断は受けていない)

園での様子

  • 同じクラスの特定の子どもに執着して、関わろうとしている。
  • おもちゃの取り合いなどが原因で喧嘩をしてしまう。
  • 特定の子どもにブロック等を使って叩くなどの行動をとってしまう。
  • 言葉が出ない分、手が出てしまう。(単語を少し話す程度)

保育者の援助

  • 言葉が出ない分、喧嘩をした際は保育者が間に入り、言葉を代弁している。
  • T君が叩いた時は、言葉で叩くものではないと伝えている。

グループの考え

  • なぜ、特定の子どもを叩いてしまうのか、、、?
  • うまく相手に伝わらない事が、トラブルの原因なのでは・・?

その後の取り組み等

  • 夏休みの間に、療育に通うことになった。
    それにより話せる単語が増えた。
  • 言葉が出る事により、トラブルが少なくなり、相手との関係も良くなってきている。
    様子を見ていると、特定の子が気に入らないのでは無く、本当は一緒に遊びたかったということがわかった。

【事例2】

B君 4歳児
→集団に入ることが出来ていない、危険意識があまり無い、言葉は単語程度

園での様子

  • 保育室から出て行ってしまう。
  • B君を部屋に戻す間、クラスの子どもを待たせてしまう。

保育者の援助

  • 集団で行動できるよう、なるべくクラスにB君を入れるようにしていた。
    (補助の先生には頼っていない)

グループの考え

  • 無理に保育室に入れようとするのでは無く、B君が気持ちを発散できるような、場所や時間を作ると良いのではないか。
  • 1人で抱え込まず、園全体にも声を掛け、B君の様子を見るようにすればいいのでは。

その後の取り組み等

  • 部屋にB君が落ち着ける場所を作り、無理に保育室に入れることをやめ、B君が気持ちを発散出来るようなスケジュールを作ったところ、段々と部屋に入って来れるようになった。
  • 園全体に、今のB君の様子を伝え、他の先生にも協力してもらえるようになった。

【まとめ】

 Fグループでは多くの事例が出た中の2つをご紹介させて頂きました。毎回グループで話し合う中で、様々なアドバイスを頂き、それを実践することにより改めて子どもと向き合う事が出来ました。又、子どもと改めて向き合う事により、子どもの新たな発見もあり、子どもと共に私達保育者も成長することが出来ました。そして、B君の事例のように、今まで保育者1人で抱え込んでいた事を園全体に伝え考えることにより、1人での負担が減り、他クラスの先生方にも協力して頂けるようになり、このことによって、子どもが無理のない保育が出来るようになり、保育者にとっても安心して保育が出来る環境を作ることが出来ました。B君の事例により、改めて園内での情報の共有の大切さを感じました。

今回の2つの事例を受け、多くの事を学ぶ事が出来ました。これからも、子どもに寄り添った保育を心掛け、日々の保育に励んでいきたいと思います。

【特別支援 Gグループ発表】

発表者: 光華幼稚園 室田 志桜里
報告者: 春日幼稚園 川越 亜美

2事例についてのまとめを発表いたします。

【事例1】

4歳児 男児 K君

  • 言葉が不明瞭
  • 歌うなどの活動をするときウロウロする
  • みんなが集まる所には集まらず、一人で遠いところに座る
  • 運動会の踊りに参加できない

●これから音楽会に向け、参加できるようにしていくには、どのようにしたらいいか

<他園の先生方からの質問>

  • 保護者は把握しているのか
    伝えてはいるが、その子のペースに合わせてもらえたら。運動会の様子を見ても特に不満はなかった様子。
  • 絵画などの時はどのような様子か
    自分がしたいと思うことはしようとするが、興味がないとできず、1対1で関わっている。

<他園の先生方の意見・まとめ>

普段の保育で、集団に入れる時は受け入れ、あとはその子が落ち着ける場所で過ごしてみては。音楽会ではサビの部分など一部分でも歌えたらOKなど、その子のペースで、その子に合った目標を立てる。

【事例2】

2年保育 男児 4歳児

  • 2歳児の時は自閉症だろうと言われていたが、4歳になるとADHDの疑いが出てきた。
    ・週に1回、療育に通っている。
  • 椅子などに座れず、落ち着きがない。
  • 1学期には見られなかった、制作に対してこだわりが出てきた。自分が納得いかなければ、失敗したと思い泣いて無理と言う。
  • 1対1で関わりなんとか作ることができる状態。

●今後、この子にどのように援助していけばいいのか(特に制作時に)

<他園の先生方からの質問>

  • 夏休みはどのように過ごしていたのか
    ほぼ毎日療育に通っていた。
  • 1学期の時の制作の様子は
    ハサミは上手に使えていた。クレパスは筆圧が弱いため薄く、単色で描くことが多かった。
  • 制作以外で変化は見られたか
    虫が好きで、遊びはほとんど虫に関する遊び。友達が寄ってくると取られると思うようで、トラブルが起きることもある。
  • 友達との関わりは
    自分の世界に入ってこられたくないのか、話掛けられても「もぅ来ないで!」と言う姿が見られる。また活動をしている時に友達の顔に近づいてちょっかいを出す姿も見られる。

<他園の先生からの提案・まとめ>

制作の時は、どうしたら失敗しないと思う?など話し合うことで、行動コントロールができるのでは。
その子が失敗したと思わないように、下書きの時間を提案してあげるなどの意見がでた。

【特別支援 Hグループ発表】

発表者: 夢窓幼稚園 登森 尚子
報告者: 南殿幼稚園 江守 紗矢佳

様々な事例の中から2つを報告する。

【事例1】

5歳児 男児 S君

 コミュニケーションが苦手で、S君が遊んでいるところに友だちが来ると端の方へと寄ってしまい、うまくかかわれない。また、何か伝えたいそぶりは見せるが、なかなか自分で伝えられないという姿がみられた。

話し合いの中で、まずは一人あそびの時間も大切にしながら、S君が好きな虫や電車などのあそびを通して、他児とかかわれる環境を作り、子ども同士でかかわっていく経験を増やしていってはどうだろうかという意見があがった。

園で実践した結果、少しずつではあるが、好きなあそびをきっかけに友だちと遊ぶ楽しさを感じている。

【事例2】

5歳児 男児 R君

 自閉症スペクトラムと診断されている。どんなことにも一番になりたいとこだわってしまう姿がみられる。

 どんな時に一番になりたがるのか、何がきっかけでそのような姿がみられるようになったのか、様々な質問が挙がり、普段のR君の姿が見えてきたところで話をまとめた結果、本人が少しでも落ち着いて活動に取り組めるよう表や絵カードを使って見通しが立つようにし、気持ち良く過ごせた時には個別に声を掛けてはどうだろうかという意見が挙がった。

まだまだ難しいところもあるが、本児に見合った配慮を今後もすすめていき、様子を見ていきたい。

 今回インシデント・スタディを体験する中で、Hグループは5歳児で自閉症スペクトラムと診断されている子どもを受けもっているメンバーが多く、何かこだわりをもって過ごしている子、人間関係が自分だけではなかなか難しい子など、共通の事例がたくさん出ていた。自分の担任している子どもと重なる部分がたくさんあり、新たに気付いたこと、共感できたこと、自分ならどのようにかかわるかなど、インシデント・スタディを通して考える時間となり、勉強になった。事例に挙がった子どもたちの多くは5歳児ということもあり進学を控えている。これから小学校や保護者との連携をとり、スムーズに進学できるようサポートしていきたい。

【総括】

報告者: 西京極幼稚園 森 さゆり

 各グループの発表を、各園での実践の参考にしてほしい。グループ発表の中に必ず「子どもに寄り添う。」と言う言葉が聞かれた。このことばは研究や実践の中でなかなか聞けるものではない。しかし、この研究会では、この「子どもに寄り添う。」と言う言葉が定着していることをとても嬉しく思う。

「子どもの目線や気持ちになって。」ではなく「寄り添う。」ということは子どもの側に立っているということである。一年間の研究を通して、心のモチベーションとして先生の気持ちの中に出来てきた。子どもに寄り添わないとどんなことも気付けない。寄り添っているからこそ気づくことがたくさんある。実践の中で力になっていく。そういったことが園の共有財産になっていく。自分の為ではなく子どもの為という気持ちを持って今後も取り組んでいってほしい。

 保護者の方へも同じ気持ちで、接してほしい。先生と子どもが関わるのは長くて3年だけれども、保護者は一生関わっていかなくてはならない。保護者にすぐさま障がいを理解してもらうのは難しいかもしれないが、3年間子どもに寄り添うのと同じ気持ちをもって保護者にも接していってほしい。お母さんたちへ温かい眼差しをもち、「お母さんの気持ちを一緒に背負っていきましょう。」と言う気持ちで接していってほしい。

 支援しなければいけない子どもが昔に比べて6.5%にも増えているので、先生達が戸惑うのは当然。発表の中にもあったが、「自分一人では気付かなかったことを多くの人たちと話し合うことによって気づくことができ、視野が広がりました。」というのはまさしくインシデントスタディーが狙う結果。

 3,4,5歳に「なんでこんなことしたの?」と問い詰めるのは、子どもの心を傷つけるだけ。理由は特にないけれど、「やってしまった。」と反省をしているので、そこに追い打ちをかけないで「どうしたかったの?」「どうしたらよかったかな?」とさぐりながら、そのような言葉に置き換えて正しい方向に導くことが大事。話し合いをして、他人の気持ちを知るという方向にむけてほしい。ただ年齢の発達段階にあわせた方法をとる必要はある。これは環境を整えるということにあてはまる。

 先生が困ったなと思っている子どもは、子ども自身も困っていてどうしていいかわからない状態にある。Aちゃんに向けられた「またなにしているの」と言う言葉はAちゃん本人だけではなく周りの子どもたちもよく聞いている。僕も言われると思っている子もいれば、ああいう風に言ってもいいのだと思ってる子もいる。先生怒ってるし幼稚園行きたくないと思ってしまう子もいる。Aちゃんだけでなく、周りの子ども皆を傷つけてしまう。何気なく言った言葉で「もう幼稚園来なくてもいい!」という言葉には子どもはとっても傷ついてしまう。最近の子どもは強くない。周りの子までも傷ついてしまう。先生から発する言葉は慎重に。他の子どもと比較するような言葉は使わないように。「もう1回3歳児さんからやり直し。」など精神を傷つけるようなことは言わない。子ども自身が、自分がやってしまったことがどういうことなのかに「気づく」ということがとても大事。

 支援が必要な子どもが持ってるこだわりというのは言い換えれば集中できるものがあるということである。それを利用しない方法はない。マイナスではなくプラスに変える。皆で知恵をだしてプラスになるように。自分の話の時に集中させるにはどんな手立てが必要かを考える。しかし自由遊びと課題設定では違う点もある。支援の必要な子どもは友達の輪に入りたいという思いが弱いので、どう喜びや興味関心を持たすかが大切。そのためには普段からその子どもが持っている興味関心事項を知っておかなければならない。また、支援の必要な子どもには支援者がついてることが多い。担任がその支援者に引け目を感じてしまうこともある。担任として支援者と子どもの1日の様子を把握しておくことが必要。担任の先生が見ていないようで、よく見ているということが子どもに伝われば子どもも安心し、信頼関係に繋がる。担任のスキルアップとしてやってほしい。自分一人で大変だったら周りの先生にも聞いて把握する。

 子どもにダメを出す前に、まず自分が子どもに向けている温かい眼差しについ考えてほしい。子どもがトラウマになるような言葉ではなく、感受性に訴える言葉をかける。眼差しをむけて接する。

 支援の必要な子どもは自由遊びから課題遊びへのきりかえが苦手。今まで遊んでいたのだから遊んでいいという感覚になる。だから、いつ始まっていつ終わるかをはっきりさせる必要がある。先生はどの子どもにでもわかるようにサインを出す。どこまできたらゴールなのかを示すと先生も子どもも楽になる。カードなどを用いて見通しをもたせることも大事。簡潔に課題をだし、根気よく続けることが大事。聴覚刺激より視覚刺激の方が伝わりやすい。行動の予測や変更を前もって伝えるとよい。

 誰しも失敗経験が多くなると、自信喪失してしまうので、成功体験やうまくいくような条件に目を向ける。気持ちを生かしきれるような環境をつくる。どういったときに褒めるかが大切である。先生が自分の指示通りに動くことを求めてしまうと、子どもは褒められるために先生の期待通りの行動をとってしまう。行動の直前の条件を考えていく必要がある。

 先生が込み入った指示や説明や課題を子どもに出すと、支援の必要な子どもはどうしても目立つ行動をとってしまい、怒られる。すると、その子は不満をどんどんため込んでいってしまう。そしてまた目立った行動をとり、怒られる。このような悪い連鎖を断ち切らなくてはならない。

 子どもが困っていることには優先順位を付けていき、すべてを一気になくそうとはしない。1番目が消えたら3,4番目が消える可能性もある。困った行動をとる場面や状況を整理し自分の説明がわかりやすいかを見直し、状況整理をする。どんな場面でどのような困りが起こるのかなど具体的に話し合い、他の先生達とも一緒に見直し、困っていることを消していく。困ったがなくなった時の修正状況をはずさず、プラスにできることを続けていく。

1回一回の大変さが1年の大変さを解消することもあるので、解決のために努力を惜しまない。

今後も 園での共通理解を大事にし、子どもに寄り添うことを大切にしていってほしい。

【資料】困っているこどもABC分析

困っているこどもABC分析


【資料データのダウンロード】
困っているこどもABC分析…….[PDF ファイル 176KB(2012_06.pdf)]

第6回特別支援研究会「困っているこどもABC分析」動画

第6回特別支援研究会「困っているこどもABC分析」動画


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第6回特別支援研究会「困っているこどもABC分析」動画…….[MP4 ファイル 417.5 MB(2012_06_m.mp4)]