巻頭言

子ども・子育て新システム

(社)京都府私立幼稚園連盟
理事長 藤本 明弘

社会保障・税一体改革関連法案で民自公3党の修正協議がまとまり、新聞・テレビ等では「総合こども園法案を撤回し、認定こども園拡充を図る」と報道されましたが、全日私幼連のFAX速報では以下の通りです。

  1. 総合こども園法を制定するのではなく認定こども園法を改正し、幼保連携型認定こども園について、単一の施設として認可・指導監督を一本化した上で、学校と児童福祉施設としての法的な位置づけを持たせること
  2. 新たな幼保連携型認定こども園については、既存の幼稚園・保育所からの移行は義務づけないとともに、株式会社の参入を認めないこと
  3. 幼稚園、保育所、認定こども園を通じた共通の給付を創設し財政支援を行なうこと

以上ですが、細部の検討については今後引き続き行なわれる予定とのことです。

この合意によれば、幼児教育と保育を一体的に行なう幼保連携型認定こども園については、基準や財政支援も二本に分かれていた現在の仕組みから、一本の認可・基準・財政措置等が行なわれることになります。つまり、二重行政の問題や財政措置の問題など、従来、認定こども園制度について指摘されてきた課題が解決されることにより、これまで以上に設置の促進を図ろうとする狙いです。
また、政府提案の「総合こども園」は、株式会社などの参入まで認めることとなっていましたが、新たな幼保連携型認定こども園は、国、地方自治体、学校法人、社会福祉法人だけが、その判断により設置することになり、全日私幼連として強く反対してきた株式会社の参入は、主張のとおり取り下げられることになりました。

なお、幼稚園に対する財政支援は、これまで、私学助成と幼稚園就園奨励費補助金により行なわれてきたところですが、新たな仕組みでは、市町村が地域の幼児期の学校教育・保育のニーズを把握しこのための機会を確保するため、幼稚園、保育所、認定こども園等が市町村の計画に基づいて教育・保育を行なう場合には、これらに共通の給付を行なうこととなりました。そして、この給付には消費税財源も充てられることになりました。この給付を受けるか否かは幼稚園側の判断となりますが、この給付は地域の教育ニーズを満たすために行なわれるものであることから、この給付を受ける場合には、定員内で応募があれば受け入れる義務(応諾義務)や、保育料の水準などは市町村が決めること(公定価格。ただし上乗せ徴収も可能)などの制約を受けることになります。この給付を受けない場合には、従来どおり、私学助成や幼稚園就園奨励費補助金による財政支援が行なわれることになります。

全日私幼連は「指定制」は導入せず、認可等を受けた幼稚園であれば新たな給付を受けることができるようにすること、新たな給付は幼稚園の判断により受けないことができることとし、この場合には引き続き私学助成と幼稚園就園奨励費補助金による財政支援の対象とするとともに、その充実に努めること、その他詳細については、今後引き続き検討・協議を行なうこととしています。