巻頭言

燈 々 無 尽

公益社団法人 京都府私立幼稚園連盟
理事長 藤本明弘

 深秋の候、早いもので師走が目前となりました。先日、開催させていただきました京私幼連盟創立70 周年記念大会には、準備の段階より加盟園の先生方には大変温かいご理解・ご協力を頂戴し、誠に有難うございました。心より御礼申し上げます。当日は三部構成の長丁場となり、皆様には何かとご迷惑をお掛けしたことと存じますが、大きな節目の記念の会を無事に終えることが出来ましたのも、偏に皆様のご尽力のお蔭であると重ねて感謝申し上げます。

 

 70 年という長い歴史を積み重ねるだけでも本当に有り難いことですが、京私幼連盟はその上に、受け継ぐべき大切で良きものは伝統として継承し、また、時代の変化に対しては、その時々に新たな役割の担い手として、社会の要請に応えてきました。70 周年という大きな節目を皆様とご一緒に迎えるにあたり、今回そういった京私幼連盟ならではの素晴らしい歴史の積み重ねを皆様と共に共有できたことは、大変意義深いことです。

 

 そして言うまでもなく京私幼連盟がこのように全国の中でも大きな注目を集めているのは、先達の先生方が叡智と、私立幼稚園に対するたゆまない情熱と、子どもたちに向けた深い愛情をお持ちになっておられたからであり、しかもそれが脈々と今も時代を超えて受け継がれているからなのではないでしょうか。

 新制度の行く末が未だに見えない、大変難しい時代を迎えようとしていますが、ここからの10 年間こそが、幼稚園にとっての正念場であることは紛れもない事実です。人が生涯に渡たって生きるための力の源である「根っこ」を育てているのが、幼児教育なのです。だからこそ幼児教育の質が日本の将来を決定するのです。つまり言い換えれば、今後の幼稚園の在り方こそが、日本の未来が輝かしいものとなるか否かという国家の最重要課題なのです。

 今こそ、先達の諸先生方が残して下さった、京私幼連盟の人と人のつながりという宝物を何よりも大切にしながら、誇り高き思いと、絶え間ない情熱と熱意と叡智と勇気を併せ持ちながら、更に強固な一枚岩の組織となり、新たな時代に向かい一歩を踏み出そうではありませんか。

 それぞれひとつひとつの灯はたとえ小さく、そして暗く、短くとも、それが2 つ寄りさらに10、100 と寄れば、灯は必ず少しずつ大きく明るいものとなります。しかも1 つの灯を次の世代へと点火していけば、どんなに小さな灯でも決して消えることはありません。

 日本の未来への夢を信じながら、これからの新たな一歩を共に力強く歩んで参りましょう。皆様の更なるご理解・ご協力を心よりお願い申し上げます。