巻頭言

新制度に向けて更なる共働を

公益社団法人 京都府私立幼稚園連盟
理事長 藤本明弘

 平成27 年度4 月からの子ども・子育て支援新制度の実施に向けて、先月末には京都府・京都市において新制度の説明会が実施され、それを受ける形で各幼稚園に意向調査が実施されたところです。京都府の説明会では文部科学省から幼児教育課の林企画官を講師として、内閣府の統括官も同席した形で行われましたが、改めて現時点でも私たち現場の置かれている状況が全く配慮されていないスケジュールであることが浮き彫りとなりました。

 公定価格の単価のイメージは示されたものの、依然として肝心の利用者負担額は示されず、9 月1 日からの園児募集の要綱に盛り込める状況にありません。平成27 年10 月に予定されている消費税の10%への増税分を確保するためにやむを得ないとは言え、全く形式的な手続きに現場は振り回されるばかりで、このような中で次年度以降の各幼稚園の意向を尋ねること自体が、非常に無理があることは言うまでもありません。

 そのような中、今回の新制度への対応は都道府県により様々で、大きく異なっています。大まかにまとめると、新幼保連携型認定こども園への移行を考えていた幼稚園も、低い公定価格のため、現状のまま残る幼稚園が予想以上に多いようです。また既に認定こども園に移行した園が混乱している状況です。例えば県レベルで認定こども園を強力に推し進めてきた兵庫県では、既に認定こども園に移行している幼稚園から多くの深刻な不安が寄せられているとのことで、公定価格に県独自で上乗せする要望をしているようですが、非常に厳しい現状です。また、東京都の江戸川区では、従来は区から毎月私立幼稚園の保護者に26,000 円の補助金が出ていて全国的にも有名でしたが、新制度の実施を機会にこの制度の廃止が検討されています。これだけ大きな補助金が突然打ち切られると、幼稚園も保護者も大混乱をきたすことは間違いありませんが、行政と私立幼稚園のせめぎ合いが行われています。また東京都の公立幼稚園の保育料も大幅に値上げされることが検討されており、国として幼児教育に係る経費の削減の姿勢が浮き彫りとなっています。

 改めてそのような状況を俯瞰した時、私ども京都府内の私立幼稚園に対する補助制度と先の形が定まらず、安易に幼稚園と保育所を合体させる認定こども園という制度を冷静に比較すると一線を画していることのメリットを感じずにはいられません。しかしながら京私幼の加盟園がこのような選択ができるのも、京都府の山田知事と京都市の門川市長の私立幼稚園への大きなご理解と支援の賜物であることは言うまでもありません。

 私学助成と就園奨励費という先達の知恵と努力が詰まった、私立幼稚園にとって大きな大きな補助制度を大切にしながら、これからの社会の要請にどのような形で応えていくべきなのか、このことを真ん中に置きながら、各幼稚園が置かれている地域の状況の中でどのような道に進むべきかがいよいよ問われています。加盟園の皆様の絶大なるご理解・ご協力に感謝申し上げますとともに、今後の更なる共働を心よりお願い申し上げます。