巻頭言

第7回 都道府県政策担当者会議の報告

公益社団法人 京都府私立幼稚園連盟
振興担当副理事長  野 波 雅 紀

 去る10月7日に全日私幼連「第7回都道府県政策担当者会議」がアルカディア市ヶ谷において開催され、参加してまいりましたので、その概要を報告いたします。

 冒頭、全日私幼連香川会長より「8000園の私立幼稚園が組織を挙げて団結すること、組織を通して交渉することに価値があり、推進の原動力になることに理解を賜りたい」とのごあいさつで始まり、総務省、文部科学省などからの報告がありました。

 【地方財政について】 総務省自治財政局調整課長 境勉氏より
 そもそも就園奨励費は国の予算不足のために市町村が「超過負担」を行っており、平成25年度については国が本来補助すべき額の77.3%しか市町村に措置されておらず、事業の執行に支障を来している状態が続いています。そのため総務省から文科省に対して申し入れをしていて、文科省からは平成27年度の新制度スタートまでに完全解消する約束になっています。来年度は「超過負担」が生じないよう概算要求で確保する方針です。

 【平成27年度概算要求について】文部科学省高等教育局私学部私学助成課長 矢野和彦氏より
  平成27年度の概算要求について説明がありました。
  私学助成全体の要求額は、5,030億円(前年比673億円増 +15.4%)
  そのうち経常費助成費補助は1,076億円(前年比35億円増 +3.4%)

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 また、施設・設備の整備に604億円(前年比517億円増!)のうち、耐震化推進に511億円が計上されています。都道府県別耐震改修状況調査結果によると、平成25年4月1日現在、京都府の私立幼稚園は耐震化率58.7%で沖縄県に次いで全国ワースト2でした。昭和56年以前に建築された園舎が府下全体の66.7%(全国トップ)を占めており、古い園舎が多いことがうかがえますが、京都府におかれては今年度より府独自に耐震改築への補助を実施してくださっていることもあわせて、早期に対応する必要を感じました。

 【無償化について】
 9月の全日私幼連PTA総会において下村文部科学大臣より2020年(平成32年)までに無償化を実現するとお話しになりました。実施については段階的に取り組む見通しで(下図参照)、まずは来年度は5歳児のみ所得制限を推定年収360万円未満として実施する方向で調整が進められています。
実現に向けて一層の働きかけをしていくところです。

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 【市町村子ども・子育て会議について】 全日私幼政策委員の先生方より
 これから各市町村の議会で利用者負担額の審議が大詰めを迎えますが、利用者負担額は公立と私立ともに同額であるべきこと、幼稚園と保育所はともに同じ基準に立つことがこれからも一貫して主張していただきたいことです。
  そのような中で早くも利用者負担額が公表された市町村があり、例えば、
  大阪市 1号保育料第V階層(市民税211,201円以上)…3歳児19,900円、4歳以上児17,200円
  高松市 1号保育料第V階層…14,200円 (公私同額で公立は値上げ、私立は値下げ)
     2号保育料…保育所と認定こども園は同額
 などの報告がありました。国基準からどれだけ引き下げるか交渉していきたいところです。

  間もなく消費税増税か据え置きかの判断が発表されることでしょう。たとえ来年秋から10%に増額されても増収分が収入になる平成29年度までの公定価格単価は毎年度の予算編成過程で決められます。来年の単価もいまだ「仮」のまま。また、質の改善全てを実施するのに必要な1兆円のうち消費税増税分が財源の0.7兆を除く0.3兆は消費税財源ではないことから財源確保の見通しは立っていません。そのような中で京都府の私立幼稚園は全国一の私学助成をいただいています。大変恵まれた教育環境が整えられていることを痛感したとともに、先の見えないこの制度には極めて慎重な見極めが必要であることを再認識しました。