巻頭言

年 頭 所 感

公益社団法人 京都府私立幼稚園連盟
理事長 藤本明弘

 新年明けましておめでとうございます。旧年中も京私幼連盟の諸事業に対しまして、大変温かいご理解・ご協力を賜り心より御礼申し上げます。

 さて、ご案内の通りいよいよ4月から子ども・子育て支援新制度がスタートします。京都府ならびに府内の各市町村の子ども・子育て会議においても、今後5年間の事業計画が策定され、国のスケジュール通りに進められようとしています。とは言うものの消費増税の時期が2015年10月から2017年4月に先送りされたことを受け、ただでさえ制度そのものの安定感や財政基盤が乏しいこの制度がますます脆弱なものに映ることは否定できません。

 国の見解は増税が先送りになっても、4000億に関しては既に確保済みということのようですが、これは量の拡充に使われるものであり、質の改善には反映されません。しかもその大半は首都圏の待機児童解消につぎ込まれるのが現実のようです。

 年頭にあたり、この新制度を改めて考えた時、そもそも平成21年に民主党政権から提案された新システムと呼ばれていたこの制度を産みだした発想自体が、非常に些末であり、現場の現状や意見を無視したトップダウン的なものであったことを痛感します。

 しかしながらその一方ではこの10年間に京私幼連盟の加盟園の園児数は約4,800人減少し、いまだに減少を続けています。もちろんこれは少子化によるものも一部ありますが、その原因の大半は保育園への流失によるものです。今まさに幼児教育の灯りがこれ以上小さくなることに何らかの手を打つべき局面に差し掛かっているということを、それぞれの建学の精神と私学の独自性をいかに保つかという命題の中で、私たちは自覚する必要があります。

 もちろん様々な理由により保育を必要とする家庭が、社会福祉の中でしっかりと守られることに決して反対するものではありません。しかしながら今の国の施策やこの新制度が本当にこの国の将来を見据えているとは到底考えることは出来ません。目先の「待機児童」という社会現象を何とか解消するための施策の先に本当に豊かな未来があるのでしょうか。

 そんな中、京私幼連盟は一枚岩の組織としての団結力を維持しながら行政と一体となり、安易な保育園化ではなく、質の高い幼児教育の中で親子が共に育ち合える京都方式の子育て制度を構築する方向を今年も模索しています。京都ならではの豊かな未来を見据えた「京都方式」のために、皆さまの更なるご理解・ご協力をお願いいたします。
本年も何卒よろしくお願い申し上げます。