巻頭言

新制度がスタートして半年

公益社団法人 京都府私立幼稚園連盟
副理事長 中浦 正音

「子ども・子育て支援新制度」がスタートして約半年。全国の私立幼稚園の新制度への移行状況は、8124の私立幼稚園のうち幼保連携型認定子ども園が813園(10%)、幼稚園型認定子ども園が560園(6.9%)、幼稚園として新制度へ移行した園が511園(6.3%)。そして移行しなかった園が6221園(77.6%)でありました。都道府県別では8割が移行した茨城県を筆頭に、秋田県・宮崎県・滋賀県等8県が5割を越えて移行しています。京都府は奈良県に次いで全国で2番目に低い移行率(2.5%)となっています。次年度に新制度への移行を希望する園についても他の都道府県に比べてかなり少ない状況であると聞いています。

 京都府において移行園が少ない理由として、私立幼稚園に対して深い御理解をお持ち頂いている山田啓二知事様のもと、京都府が全国NO1の運営費助成の施策をしていただいている事があるでしょう。又、移行後の行政指導のあり方や給付制度・事務手続き・選考過程等がまだまだ不明確であり、教育環境や私学の独自性が担保されるのか、本当に子どもの為となる制度なのかという不安が大きいと思われます。移行率の高い地域では県より政策誘導等があった様に聞きましたが、じっくりと考える猶予を与えて頂いていることは有難い事であります。新制度に移行した園より全日本私立幼稚園連合会認定子ども園委員会に寄せられている主だった問題点は次の様なものです。

(1) 市町村における新制度への理解不足及び消極的な姿勢
(2) 福祉部局が窓口になっている為、すべてにおいて保育所行政が立脚点
(3) 市町村の取り組みの格差が激しく、広域利用もある私立幼稚園への大きな混乱
(4) 施設給付型になったことで自由裁量の部分が減り、私学独自性への将来不安
(5) 制度移行の混乱の中で給付費の支給遅れや予算確定の困難さ
(6) 入園選考の自由性や入園確定時期の遅れ
(7) 同一施設内における1号・2号・3号の制度格差
(8) 職員配置・職員研修の困難さ
(9) 満3歳児未満の保育研究の準備不足

 これらを始め色々な問題点が浮彫りになってきていますが、やはり新制度移行後1年経過しなければ本当のところは解らない状況だと思われます。
新制度に移行するか否かは、結局のところそれぞれの園の自己責任において決める事でありましょうが、その為にも連盟として情報を集め加盟園にその判断が出来る材料を提供して参りたいと思います。また、これ程市町村の格差(積極的に取り組み新制度導入を図るところから全く無関心な市町村まで)がある現状では、加盟園が希望しても新制度に移行出来ないという事がない様に、団体として市町村への働きかけも必要になってくるかと思います。私立幼稚園のまま存続するという選択肢も含めて、その地域・その園・そして何より子ども達にとって最善の選択が為される事を願ってやみません。