巻頭言

年 頭 所 感

公益社団法人 京都府私立幼稚園連盟
理事長 田中 雅道

 明けましておめでとうございます。本年が皆様方にとりまして良き年となりますことをお祈り申し上げます。

 OECD諸国は、幼児期からの教育環境の充実を国家戦略として掲げ、幼稚園をスタートとして義務教育年齢の学びを繋ぐ教育体制強化を重視した人材育成を急いでいます。乳幼児期の良質な教育環境が、その子の将来にとって非常に重要であるという知見に大きな影響を受けているのです。生まれたての子どもは、母性に育まれながら育っていきます。何もできなかった赤ちゃんが、様々な刺激を受けて育っていきます。その過程で最も重視されなければならないのが、自然に触れたり、人と触れ合ったりできる良質な環境の充実です。子どもが、自分の力で周囲の事象を体系化し、自己の中に取り込んでいく過程が非常に重要なのです。単に教え込まれて「できる」ようになればいいというのではありません。

 自分の力で世界を広げていくには、子どもが「不思議だな」「おもしろいな」と思って主体的に関わっていける良質な空間が必要です。そして、その空間に良質な保育者が包み込むように見守って、自分の世界を広げていく子どもの育ちを支えていくことが重要なのです。OECD諸国は、このような視点から幼児教育環境を整備し、真の意味での幼児期からの知的教育充実を国家戦力として行っています。

 大人が働く環境を整備することも重要ですが、大人の都合で子どもが振り回されてはなりません。日本の子どもをどのように育てるのかという発達の視点からの議論が起こらないと、日本は、世界の歴史の中で20世紀に栄えた過去の国になってしまうのではないでしょうか。幼児教育の充実が子どもの将来のために、今、大人ができる最大の責務です