輝く瞬間

【輝く瞬間】 2012年7月

光華幼稚園 森 圭子

新緑の頃、園庭のミカンの木にアゲハ蝶が卵を産みにやってきます。
1ミリ位の真珠のような卵。年長児は、その卵を葉ごと取って飼育箱で育てます。
ある日、年少児が卵を指で摘まんだとたん蕫プチュン﨟と潰れてしまいました。
「あ~!何するの」「それはアゲハ蝶の卵なんやで!命の粒なんやで!」と年長児が怖い顔で叱りました。
「ごめん」と大泣きしているA児に「卵だと知らなかったのね?これはアゲハ蝶になるのだよ!大切に育てようね」と、そっと先生が寄り添いました。
その後、A児と一緒に葉っぱと卵を飼育箱に入れました。
翌日からA児は、飼育箱を覗いては「黒い虫や!」「青虫になった!葉っぱ食べてる、うんちいっぱいしてる!」とお掃除もお手伝い。
ある日、飼育箱の蓋にぶら下がり眠り続けたさなぎは、ついにアゲハ蝶に!「やったー」とA児は歓声を上げ、本当に嬉しそうでした。
「蝶々さ~ん元気でね!」とクラスみんなで手を振り、アゲハ蝶は、子ども達と別れを惜しんでいるかのように旋回しながら大空へ飛び立ちました。
命の輝きを感じた瞬間でした。

 
編集委員会より

 コンチキチン…、の囃子が聞こえてくると本格的な夏がそこまできていることを実感させてくれます。祇園祭、五山の送り火、保津川下り、川床、そして地蔵盆…など。京都の夏は子どもから大人まで、楽しめることがいっぱいですね。今年の夏は節電もしっかりしながら、暑くて熱い京都の夏をたっぷり満喫したいものです。