輝く瞬間

【輝く瞬間】 2015年 6月

同志社幼稚園 堂腰きみ子

 雨降りの幼稚園。「ママー」と涙の出る年少児を連れていると、テラスに一人、賑やかな教室を離れてたたずむ年長児Yちゃんがいました。「ひとりで雨の音を聞いている。」とのことなので、しばらく一緒に雨音を聞きました。すると、園庭に点在する水たまりを指して、「水たまりがキリンの模様みたいでしょ?」。Yちゃんの素敵な表現力に、三人がパッと笑顔になりました。

 翌朝、カラリと晴れた園庭で、「先生、おはよう!」と元気な声が。昨日泣いていた年少児です。すると、昨日から残る水たまりを指して、「先生、キリンさんの模様だね。」とニッコリ。もう涙は出ていません。いつまでもアスレチックの高い場所から、キリンの模様を数えていたのでした。近くにいた年少の子ども達も、つられてキリンの模様を数えました。

 張り切って年少児のお世話をしてくれる積極的なお兄さん、お姉さんもいますが、目立たないけれど、目には見えない素敵な感性や優しさを、そっと年下の友達に伝えてくれている子もいます。保育者の関わりがなくても、子ども同士で影響し合い、育ち合う瞬間がありました。