輝く瞬間

【輝く瞬間】 2021年 4月

同志社幼稚園 園長 北川雅章

 体操教室が嫌でお母さんの後ろに隠れて登園したA君。環境の変化に敏感で、前回の体操教室に入れなかったことを、何よりA君自身がよく覚えていたのでした。ご家庭としては見学希望ということでしたが、A君の成長をお伝えしたうえで、対応は幼稚園にお任せいただけることになりました。はじめは足が進みませんでしたが、私が近くにいるという約束で部屋の隅っこに入ることができました。それから、少しずつ友だちの中に距離を詰め…。A君の表情はこわばっていました。が、体操教室の先生の視界に入ると…!あっという間に先生の魔法にかかってしまいました。次第に、友だちと一緒に活動に参加できるようになりました。「先生、できた!」という瞬間の、何とも言えない嬉しそうな顔、「ほら見て!」という視線と自信に満ちた瞳、笑顔がみられました。体操教室の終了後、「次はいつ体操があるの?」と、聞いてきた彼の瞳はキラキラしていました。

 子どもは、存在そのものが輝いていることも確かですが、同時に、秘めている輝きを引き出すことができるのも私たちの仕事だと、改めて考えさせられました。子ども自身の喜びを、心から喜び認める大人の存在があってこそ、次につながる意欲も生まれるでしょう。

 新学期が始まります。与えられた環境、状況の中で、できることを子ども達と共に模索しながら、また「輝く瞬間」にたくさん出会える一年になり
ますようにと願っています。