新連載

【新連載】2回シリーズ(1)

乳児保育は世界的には家庭的モデルの方が主流

神戸女子短期大学 永井久美子

 わが国ではまだ十分に普及していない訪問保育(ベビーシッター)や家庭的保育(保育ママ)、小規模保育の普及に関心を向ける必要があります。
今後、市町村や保育所を経営する社会福祉法人等が、地域福祉のネットワークとして質的にも優れた保育資源を社会的、公的なサービスの一環として考慮すること、そして連携してきめ細やかな保育サービスを展開する可能性を探ることの重要性を感じます。それらは、必然的に児童福祉の質的向上に寄与し、自主的で創意にあふれた訪問保育(ベビーシッター)、家庭的保育、小規模保育等の保育資源が広がることに結びつくでしょう。

 さて、欧米などを見ると、乳児(0 歳・1 歳)の保育形態は、家庭内代理保育(親族やベビーシッター)が多く、ついで、(日本で言う)家庭的保育や小規模保育でしょう。就学前までの子どもが揃って(しかも全部で150 人であるとか、もっと多い保育所で)乳児保育をしているケースはもちろんありますが、例外だと言えます。北欧などだと
そういう保育所はありますが、規模はもっと小さいでしょう。

 ともあれ、とりわけ英語圏の研究者によると、親代理のような大人が少数の乳児の保育をするのが前提のように想定されていて、日本(や中国などのように)の乳児保育で相当な人数を抱えているというのを目の当たりにすると大変驚かれます。
むろん、それがいけないという意味ではありません。また、日本の乳児保育はレベルが高いと考えられます。ただ、一人の大人がずっと保育をするというモデルでないと、不思議がられるようです。さらに、3 歳以上のクラスでも日本のように(また中国のように)何百人もいる園だと想像を絶するようです。一クラスが30 人とかで、それもまた、
ありえないと感じるでしょう。しかし、子どもが整然としていることに、それも驚かれるようです。

 私は、日本でも乳児(0 歳・1 歳)の保育は、ベビーシッターや家庭的保育や小規模保育をもっと充実させ、研修時間を増やすことが必要だと感じています。さらに、通例の保育所の乳児保育に対する選択肢として、むしろ優先して選びたくなる保育形態として発展していくことを願っています。

 そこで、世間一般の方々に家庭的な保育について正しく理解していただくこと(認知度を上げること)を願い、「家庭的保育を考える会」という研修会を実施しております。

 乳幼児期は、一生のなかで一番大切な時期です。それは、人生の土台をつくるときだからです。人はこの土台の上に、その後の人生を積み上げていくことになります。土台がしっかりしていなければ、その上に豊かな人生を築くことはできません。

 今後は保育の形態を問わず、保育の場がどんな子どもも大人も成長できる小さな地域コミュニティへと成熟していくことが、保育に求められる事だろうと思っています。