絵本の紹介

「さくらがさくと」とうごうなりさ 作   出版社 福音館書店

 舞台は川沿いの桜並木。

 桜の木が芽生えてきます。小さな芽はやがてつぼみに、そしてピンク色の花へと…。
春が訪れたようです。
鮮やかな四季の移ろいを感じほっこりとした気持ちになれる絵本です。

 最初と最後のページの対比では、季節の変化に無頓着な大人の中にあって不思議そうに立ち止まる子どもの感性が際立つ作品となっています。
            

八条幼稚園 大槻紗夜香

「くろいの」作者 田中 清代 出版社 偕成社

 ひとりで帰るいつもの道。女の子が不思議な黒いいきものと出会います。この謎めいた雰囲気のいきもの“くろいの”がとても魅力的。「ねぇ、なにしてるの?」とおもいきって声をかけたらコトコトコトって降りてきて、とことことこって歩きだした。趣きのある日本家屋にひとりで住んでいるようです。女の子は“くろいの”に招かれてそこで不思議な体験をするお話です。

 細やかな銅版画で描かれ、女の子の心にそっと寄り添ってくれる“くろいの”との世界。心が暖かくなる絵本でした。         

睦美幼稚園 東使 由紀

「かさじぞう」瀬田貞二 再話  赤羽末吉 画

 昔、山奥に貧しいお爺さんとお婆さんが住んでいました。正月の餅を買うために、お爺さんは作った傘を町に売りに行きました。その帰り、頭に雪をかぶったお地蔵様に出会い、かわいそうに思ったお爺さんは傘をかぶせてあげました。そのことを帰ってお婆さんに話すと「良いことをしましたね」と喜んでくれました。次の日の朝、お地蔵様が正月のごちそうをたくさん持ってお礼にきてくれたのでした。お爺さんとお婆さんの優しさが伝わる一冊です。

春日幼稚園 西川温子

「まよなかの ゆきだるま」森 洋子 作  福音館書店

 あっちゃんは、作ったゆきだるまとサンタさんを助けに行くことになりました。途中で出会ったゆきだるまにも声をかけ、みんなでサンタさんのところへ。
そして、ゆきだるまたちがお山になって無事にサンタさんを助けることができました。次の日、プレゼントの帽子を被ってお外へ行くと、ゆきだるまはみんな元の場所に。とけかかったゆきだるまは、キラキラでにっこり。今度、夜中に頑張ったにっこりゆきだるまを見つけてみたくなりました。

山科幼稚園 舟田奈津子

「もみじのてがみ」作・絵 きくち ちき  小峰書店

 むこうの山からねずみに届いた真っ赤なもみじのてがみ。「ゆきふるの?」とねずみはもみじ探しに出かけます。
赤いきのこ、赤い椿…りすやひよどりと一緒に探しますがなかなか見つかりません。どこか不思議で温かみのあるイラストと色使いが物語の中へますます楽しく導いてくれます。動物たちの目の前に広がった真っ赤な景色。絵本を読んでいるこちらまで思わず声が出てしまうほどです。

コドモのイエ幼稚園  鮫島 奏子


「もみじのてがみ」作・絵 きくち ちき  小峰書店

「けんかのきもち」柴田愛子・文  伊藤秀男・絵

 たいとこうたは、仲良し。でも、二人は掴み合いの喧嘩をした。そして、たいが負けた。

 負けて悔しくてどうしようも無い。こうたは謝った。たいは謝られても悔しさで素直に仲直り出来ない複雑な感情がうまく描かれ、とっても共感できた。たいは、餃子を一杯食べて喧嘩の気持ちが終わった。そして、二人は仲直り出来た。

 でも、最後にたいのつぶやき「でも、今度は、きっと僕が勝つ。」

葉室幼稚園 西谷純子


「けんかのきもち」柴田愛子・文  伊藤秀男・絵 

『ゾウとともだちになったきっちゃん』入江 尚子:文 あべ 弘士:絵 福音館書店

 “動物って、今何を考えているんだろう?”と、想像した事はありませんか?
 この絵本では、動物園のゾウを観察し続けたきっちゃんが、少しずつゾウと心を通わせていきます。
 例え言葉は分からなくても表情や仕草で思いを感じ取ったり、相手を思いやる気持ちを持つ事で心の距離が近づいていく。
もしかして?とゾウの気持ちを考え寄り添おうとするきっちゃんの姿が、読む人の心を温めてくれます。
大人の心にも響く一冊です。是非、あとがきまで。

洛陽幼稚園 川田 恭実


『ゾウとともだちになったきっちゃん』入江 尚子:文 あべ 弘士:絵 福音館書店

『かなへび』竹中 践 文/石森 愛彦 絵

 かなへびの1年の過ごし方が描かれている絵本です。

 絵本の中でかなへびがバッタを見つけ、ぱくっ! と捕まえる時、バッタの驚いている表情に思わずクスッと笑ってしまいました。その後、今度はかなへびが猫に捕まえられそうになり、しっぽが切れてしまいます。

 切れたしっぽがくねくねと動いている様子に、子ども達はビックリするのではないでしょうか?この絵本を通して、かなへびや生き物に興味を持つ子が
増えてくれればと思います。

いずみ幼稚園 中川希代子


『かなへび』竹中 践 文/石森 愛彦 絵 

『あめだま』作:ペク・ヒナ  訳:長谷川義史

 ひとりであそぶんもわるくない。だれもなかまにいれてくれへんし。

 淋しさに知らん顔をし、周りに心を閉ざしていた少年ドンドン。
そんなドンドンが出会ったのは、模様が示した人や物の心の声が聞こえる不思議なあめだまでした。知らなかった相手の『思い』にドンドンの心もあめだまのように少しずつ溶けていき…最後に残った透明のあめだまが示す思いとは?読んでいる人の心もするすると溶けていくような透き通ったストーリーと、表情豊かな人形で作られたページがインパクトに残る1冊です。

衣笠幼稚園 坂井麻衣


『あめだま』作:ペク・ヒナ  訳:長谷川義史

『まどのむこうのくだものなあに?』 福音館書店  さく:荒井真紀

 「まどのむこうのくだものなあに?」で始まるこの絵本。この絵本はたったの一文しかありません。
小さな窓からちらりと見えるくだもの。「どんなくだものがでてくるかな」とワクワクしながら子どもたちの想像の世界が広がります。

なんとこの絵本、裏表紙側から見ることもできるんです!反対側から見るとくだものの実の部分が小さな窓から見えますよ。いろいろな見方ができるこの絵本、子どもたちと一緒に楽しめる一冊です。

小野幼稚園 中西彩香


『まどのむこうのくだものなあに?』福音館書店  さく:荒井真紀