巻頭言

2本のレール ~「子ども・子育て関連3法」と「幼児教育の無償化」~

(社)京都府私立幼稚園連盟
理事長 藤本明弘

先月号の巻頭言において、私立幼稚園にとってこの平成25年は非常に大きな意味を持つ1年となることは間違いありませんと述べましたが、政府からの情報や新聞報道によれば、「子ども・子育て関連3法」と幼児教育の無償化の二本のレールがいよいよ同時に走り始めようとしている状況となってきており、今年が正念場ということが間違いない状況となっています。

「子ども・子育て関連3法」に関しては、今年の2月に内閣府・文科省・厚労省から出された資料によれば、平成27年4月スタートに向けて、平成26年度はじめには新しい枠組みの財政支援の骨格を示す予定であり、それを示した後で各施設に移行調査を実施するとのこと。つまり逆算すれば平成27年4月に入園や入所をするためには、遅くとも平成26年10月が保護者が入園・入所を判断する区切りの時期となるため、少なくともそれまでには詳細を決める必要があるというスケジュールになっています。また地方版子ども・子育て会議に関しては、国は今春に設置の予定ですから、例えば京都市も今度の5月市議会で地方版会議の設置のための条例を提案する見通しです。恐らく京都府内の市町村においても今後同じような動きとなることが予想されます。

一方、「幼児教育の無償化」に関する動きは平成25 年2月19日(火)、下村博文文部科学大臣は、記者会見で「政府と与党で幼児教育無償化に向けた連絡協議会を設置して3月からスタートし、6月までに中間取りまとめをする。財源確保については、これからの課題である。所得制限を設けないとしたら7,900 億円ぐらいかかる。大変な財源が必要で、政府全体として取り組むテーマ」と述べました。また、森雅子少子化担当大臣は「安倍政権で少子化対策は重要な政策。財源確保は大きな課題だが、なるべく早く一定の方向性を出したい」と述べました。

連絡協議会は、森少子化担当大臣、下村文部科学大臣、田村厚生労働大臣、自民・公明両党の内閣、文科、厚労各部会長らで構成され、連絡協議会では、無償化に向けて対象となる幼児を拡大していく時期や必要となる財源を確保するための方策などについて検討を進め、今年6月の参議院選挙までに具体策(中間取りまとめ)をまとめる予定とのことです。

6月末の参議院選挙に向けて「幼稚園・保育所・認定こども園」がどのような表現で政権公約に掲げられるのかが大いに注目されることは言うまでもありませんが、保育の質の担保に向けて、全国の私立幼稚園関係者が一丸となって向き合うことが非常に重要であることは間違いありません。加盟園の皆さんの更なるご理解・ご協力を何卒よろしくお願い申し上げます。