巻頭言

子ども・子育て支援新制度の動向

公益社団法人 京都府私立幼稚園連盟
理事長 藤本明弘

 政府は4 月23 日、平成27 年4 月から始まる子ども・子育て支援新制度における公定価格の仮単価のイメージを発表しましたが、資料は非常に難解で、個別の運営費の総額を算出することは極めて難しい内容ですが、概要を読み取ると予想されていたこととは言え、基礎的部分の単価は非常に低いものです。加算されることで10%ほど上積みが可能なケースもあるようですが、これも現段階では何とも言えない状況です。その上、この給付体系の特徴は特定の事業毎に補助が給付されるという仕組みですので、加算されるためには、積極的に特定の事業に手を挙げて実施していくことが求められます。私学助成と言う大きな財布から、園独自の取り組みが実施出来る現状とは大きく異なります。

 また、政府は5 月22 日、で普及を図るとしていた認定こども園について、個別サービスに応じて施設に支払う運営費(公定価格)で優遇しない方針を自民党プロジェクトチームに示しました。しかし、実は平成23 年8 月に子ども・子育て関連三法が成立した時の付帯決議には、幼稚園や保育所から認定こども園への移行が進むように「特段の配慮」をするとの文言が盛り込まれていたのです。今回この「特段の配慮」が見送られたことにより、今後、全国的に幼稚園などからの移行が進むかはますます未知数となりました。

 当時は、自治体の担当者に「公定価格の設定などによるインセンティブの付与で、移行を促進したい」と優遇を強調したほか、パンフレットでも財政支援の充実をうたっていました。しかし、子ども・子育て会議などで認定こども園だけを優遇することに反発する声が出たことから見送られたようです。ただし、金銭的優遇はありませんが、既存施設から認定こども園への移行を希望する場合、建物や敷地面積の認可基準を特例的に緩和する方針とのことです。

 また、新制度は、消費税増税分を活用した社会保障拡充の柱のひとつで、財源は保育の「量的拡充」と「質の改善」に振り分けられるとされています。保育施設や認定こども園などを増やす「量の拡充」については、微減にとどまり4070 億円が確保されましたが、「質の改善」は当初の6865 億円を大きく下回り、3003 億円となりました。子ども・子育て会議には急遽、森雅子少子化担当大臣が出席して「政府は1 兆円を目指していく姿勢に変わりはない」としましたが、財源の具体的確保は依然として未知数のままです。

 また4 月30 日には、政府より幼保連携型認定こども園の学級の編制、職員、設備及び運営に関する基準などの政省令がようやく出され、京都でも今後会議で議論され、条例化されます。京都市の場合当初は5 月市議会に上程の予定でしたが、政府が示した時期が遅れたため、9 月市議会を目指して議論が始まりました。

 各幼稚園への移行調査も今月実施予定ですが、京私幼全体研にて加盟園のみなさんと理解を深めたいと思いますので、ふるって参加して下さいますようお願い申し上げます。