【絵本の紹介】『オニのサラリーマン』富安陽子/文 大島妙子/絵 福音館書店
赤鬼のオニガワラ・ケンは地獄カンパニーのサラリーマン。
毎日スーツでビシッときめて満員バスで出勤します。
会社に到着すると、地獄カンパニーのサラリーマンたちは閻魔大王の指示のもと役職を振り分けされ、担当に付く
のでした。
オニガワラ・ケンは血の池地獄の見張りをすることになったのですが、最後は閻魔大王に叱られトホホ。こん
な日は一杯飲んで帰ろか……。
絵がとても印象的でストーリーにも引き込まれます。サラリーマン同士ロッカールームで他愛のない話しをしながら着替える様子、奥さんの手作り弁当を開いて笑顔で喜ぶ様子、仕事中にちょっと居眠り、ミスして閻魔大王に怒られている姿がとても人間味のある表情で描かれています。「もう、ストレスでツノおれそうや。」「いやぁ、かなぼうおもくてかたこるわ。」とこれもまた、大人にも子どもにも親しみやすい関西弁なので鬼が怖いと感じている子どももこの絵本を読めば少しは好きになるかもしれません。
地獄に住んでいるオニにも家庭があったり、平社員だったり、通勤ラッシュに揉まれたり、仕事で上司に怒られたり……オニの世界も楽なものではないですね。
上村由樹(佛教大学附属幼稚園)
『オニのサラリーマン』富安陽子/文 大島妙子/絵 福音館書店