輝く瞬間

【輝く瞬間】 2014年6月

 雨の季節、園庭から流れ出た水が、小さな川となって幼稚園の門を横切るように流れます。
「園長先生、おはよう!」
元気良く水しぶきを立てて入っていく子、川をよいしょっと飛び越える子、
傘に長靴、レインコート、憂鬱に感じられる雨も子どもにとってはわくわく楽しい朝です。
でも雨が上がって地面が乾き、川だった所だけが黒い帯のように残っているとき、
時々、その前で立ち止まってしまう子どもがいます。
白い地面に黒い帯、それが深い地面の裂け目のように感じる子どももいるのです。
「早よ、来よし」
さっさと園庭に入っていったお母さんも、振り返って不安そうな子どもの様子に気が付きます。
手を伸ばしたお母さんの手を握って、よいしょっと飛び越えて、ほっとした子どもの笑顔。
なんでもないと思えることでも、子どもには大きな一歩、たくさん愛してもらって子どもたちは今日も輝いています。