輝く瞬間

【輝く瞬間】 2021年 12月

八条幼稚園 園長 中浦正音

 お誕生日会に、くすのきしげのりさんの「あったかいな」という絵本を読んだ。「いのちって あったかいね」で終わるこの本
が大好きだ。数日後の朝の徒歩通園。手をつなぐAちゃんが「園長先生の手あったかいね」と言い、私が「Aちゃんと手をつなぐともっと暖かくなったよ」と答えた。それを聞いていたBちゃんが「生きているからやでー」。私は身体全体がホカホカになった。しばらく歩きながら、子どもの頃母と雪だるまを作った日の事が思い出された。冷たくなった手に母が手を重ねて暖めてくれた原体験。同時にAちゃんやBちゃんが素敵なお父さんやお母さんに成長して子どもと手をつなぐ日が来るんだろうなぁ、と想像した。今Aちゃんと繋ぐ手と手の間には過去のぬくもりと未来の希望が包まれていた。寒いけれど朝の日の澄んだ光に包まれている、輝く瞬間だった。

【輝く瞬間】 2021年 11月

光明幼稚園園長 田中 康雄

 十一月上旬、預かり保育の帰り道は五時三〇分頃、年少の男の子が「あれ?」とある事に気付きました。「なんでもう夜になってる?」その男の子は、以前はまだまだ外で元気に遊んでいた明るい時間のはずなのに、真っ暗になっている事に気付き、不思議そうに頭をひねりました。「もうすぐ冬やからやな」とはお迎えの父の言葉。「?」「冬は夜が長くなんねん」

「夏は?」「夏はまだ五時半は明るい」「ふーん。年中さんになったら、もう一回夏が来るから、大丈夫やんな」

 男の子の不安の入り混じった、自分の知っている知識を自分に言い聞かせるような声の調子がとても印象的でした。短くなる日照時間に気付く感性、夜を怖いと感じる情緒、知識と生活の中での実感の結び付き、そしてその体験を共有する親子の会話。日常の一瞬を切り取った濃密な場に居合わせた幸せを感じられた一日でした。

【輝く瞬間】 2021年 10月

桃山幼稚園園長 三木 賀子

  『新たな出会い』
 朝、門の前で年少の子どもが「これなあに?」と一、五㎝ほどの緑の実を持って登園してきました。すぐそこで拾ったとのこと。
「なんだろうね?」と園では不明。私にとっても初めての出会いでした。暫くすると門の周辺に沢山落ち、中からアーモンドのような種が飛び出し、落下の様子に変化がみられました。雨、風の後は繊維のある皮が道路にくっついて大変です。ようやく萱かやの実であることが判明。隣接する御香宮の大木からの季節の便りでした。樹は将棋盤になるほど強く、実は食用になり、油をとって使用することもあることが分かりました。聞いてきた子どもには遅ればせながら正解を伝え、高い樹を一
緒に見上げました。

 日々教えることに勤しむ私たちですが、実は知らない事がいっぱいです。新たな知識との出会いで心躍ることは、子ども達の姿や心を見る目を養う源となるのではと感じる出来事でした。

【輝く瞬間】 2021年 9月

アヴェ・マリア幼稚園園長 松永 昌子

 コロナ禍で、園外保育に行く場所も限られる中、きれいに手入れされた広々とした芝生のある場所に行くことが出来ました。
 子ども達は、フカフカの芝生の上を走りまわって遊んでいました。一人の男の子が
「こんな所に落とし穴があるよ」と大きな声で教えてくれたので、みんなが周りに集まりました。子ども達の膝ぐらいの深さの穴でした。
 すぐにそれは、数年前、近畿地方に大きな被害が出た台風の時に倒れた木の跡と分かりました。その話をするとみんな木の事を思い、しんみりと静かになりました。
 すると穴を見つけた子が「僕がその木の代わりに立っててあげよう」と両手を頭の上に挙げて、劇中の木のように立ってくれたのです。皆でその姿に大笑いをしました。
このようにして、ウエットに富んだ優しい心は育っていくんだなあと、嬉しい気持ちになりました。

 

【輝く瞬間】 2021年 7月

光華幼稚園園長 西野夕子

 梅雨の晴れ間から真夏を思わせる日が続いています。「先生!見て、見て!」と砂場でお山作りをしていた子どもたち。2つある山をつなげようと、道を作ってバケツに汲んだ水を年長組さんが流した瞬間、すぐ隣りで遊んでいた年少組さんが「うわ~!」と声を上げ、にっこり笑顔いっぱいに!一緒になって「ぐにゅぐにゅ」と、水と砂を混ぜ始め、夢中になっていきました。

ちょっぴりお母さんに会いたくなっていた年少組のAちゃんも少しずつ近づいてきて、砂や水を触って、はしゃいで笑顔いっぱいになりました。年長組さんの真似をしたり、教えてもらったり、また一緒に遊ぶ中で知っていくことがあります。異年齢の子どもたちが一緒だから楽しいことがたくさんあります。新型コロナウイルス感染予防の為、いろいろな対策は必要となりますが、子どもたちの「やってみたい!」という「わくわく感」を大切に、夢中になって遊び込める環境作りをしていきたいと思います。

【輝く瞬間】 2021年 6月

京都幼稚園 松田幸恵

 少しずつ園生活に慣れてきた五月。年少組のクラスに入ると、「先生、私、今日給食ぜーんぶ食べたよ。」と、誇らしそうな女児。また別のクラスに入ると「ぼく、着替えができて、ボタンも全部自分でとめられた!」とにこにこ笑顔の男児。この間まで、「食べたくない。」「できない。」と言っていた二人は、そこにはいませんでした。

 「食べようね。」「やってみようね。」ではなく、自分で「食べてみたい。」「やってみたい。」そう思った時の子どもたちの進む力の大きさは、びっくりするものがあります。
幼稚園という集団の中で得られる力の大きさも感じます。一つできた自信は、次に踏み出す勇気にもつながるでしょう。自分から表現することが苦手な子もいますが、形は違えど、どの子ももっている好奇心や、やってみたいという意欲を引き出し、支えられるような教師でありたいと思います。

 日々の中に、一人ひとりの積み重なっていく成長の瞬間があります。そんな瞬間を一緒に喜び合い、かけがえのない今日を、子どもたちと共に過ごしていきたいと思います。

【輝く瞬間】 2021年 5月

聖光幼稚園 園長 菊地幸代

 園庭の桜の蕾が色づき始めると、「いよいよ新学期だ!」と心が弾みます。そして同時に、「今年の子どもたちとの出会いはどうかな?」と少々の不安も覚えます。

 今年の新学期初日も、子どもたちから「進級マジック」を見せてもらいました。ほんの2週間前まで、「ママ〜置いていかないで〜」と泣いていた年少児が、年中に進級したその日から、新しい部屋に向かって颯爽と1人で歩く姿。また、以前は泣いている小さな子どもに声をかけることができなかったのに、「一緒に行ってあげるね、泣かなくていいよ」と部屋まで送ってあげる姿。進級したことが、こんなにも大きな自信を与えるのだと、感じる瞬間です。一つ
大きくなったことを実感しているのだということが、よくわかります。「お姉さんてたーいへん!」と言いながらなんだか嬉しそうな表情の子どもたちを見ていると、まるでマジックにかかったようです。

 進級がきっかけで、新しい一歩を踏み出した子どもたちの姿に出会い、成長を楽しみにしているところです。

【輝く瞬間】 2021年 4月

同志社幼稚園 園長 北川雅章

 体操教室が嫌でお母さんの後ろに隠れて登園したA君。環境の変化に敏感で、前回の体操教室に入れなかったことを、何よりA君自身がよく覚えていたのでした。ご家庭としては見学希望ということでしたが、A君の成長をお伝えしたうえで、対応は幼稚園にお任せいただけることになりました。はじめは足が進みませんでしたが、私が近くにいるという約束で部屋の隅っこに入ることができました。それから、少しずつ友だちの中に距離を詰め…。A君の表情はこわばっていました。が、体操教室の先生の視界に入ると…!あっという間に先生の魔法にかかってしまいました。次第に、友だちと一緒に活動に参加できるようになりました。「先生、できた!」という瞬間の、何とも言えない嬉しそうな顔、「ほら見て!」という視線と自信に満ちた瞳、笑顔がみられました。体操教室の終了後、「次はいつ体操があるの?」と、聞いてきた彼の瞳はキラキラしていました。

 子どもは、存在そのものが輝いていることも確かですが、同時に、秘めている輝きを引き出すことができるのも私たちの仕事だと、改めて考えさせられました。子ども自身の喜びを、心から喜び認める大人の存在があってこそ、次につながる意欲も生まれるでしょう。

 新学期が始まります。与えられた環境、状況の中で、できることを子ども達と共に模索しながら、また「輝く瞬間」にたくさん出会える一年になり
ますようにと願っています。

【輝く瞬間】 2021年 3月

京都聖母学院幼稚園 園長 田中圭祐

 以前は生活発表会の練習が進むと、お腹が痛くなったり、登園しにくかったりする子の姿がありました。因果関係は不明ですが、コロナ禍の今を行事の見直しができる良い機会とし、もっと子どもが主体的に参加できる生活発表会にしようと職員で話し合いました。

 年長児はクラスを解体して、舞台に出る「キャスト」と裏で支える「バックアップ」に分かれて、子どもたちが考え、話し合い、作り上げる過程を存分に楽しみました。

 「絵本では夕方みたいにオレンジだけど、夜になったら青にしたいねん。」「船が自分より大きくて持つのも大変で手が疲れちゃうけど楽しいよ。」「この場面はこの色って決めても、やってみておかしかったらまた考えるのが難しい。」「舞台裏の幕に隠れるのが難しい。普通のかくれんぼは上手なんだけどね。」

 このように表に出ないバックアップの子どもたちが、自分らの作品として取り組む姿や表情を保護者に届けられるよう試行錯誤の毎日です。

【輝く瞬間】 2021年 2月

自然幼稚園 園長 北村隆信

 今年も子ども達と草花の鮮やかさを感じ、虫たちの声を聴き、夏を楽しみたいと教職員が知恵を出し試行錯誤で迎えた夏期保育。今年は新型コロナ感染予防の為、多くの対策が必要となり、特にプール遊びでは密にならないように時間差・少人数・等、工夫を凝らした。

 足を水につけた瞬間「冷たいっ!」といいつつ、体が水になれるとすぐに「気持ちいい」と声を上げ、水を怖がっていた園児もいつの間にか友達と水のかけあいに興じる。泳ぎに自信がある子どもたちは泳ぎ競争をしたり、思い思いの水遊びに熱中していった。

 コロナ禍で外出やレジャーが極端に制限された中、友達と夏らしい日々を過ごした夏期保育にどれだけ子どもたちの心を開放しただろうか。

 太陽に照らされキラキラと光る水しぶきの中を笑顔ではしゃぐ園児たちを見ながら例年以上に子どもたちの成長と健康を願わずにはいられない。

 コロナ禍で活動が制限させられても、せめて幼稚園に来た時ぐらい身体いっぱい動かしおもいきり遊んでほしい。子どもたちの輝く笑顔こそが宝と思う令和2年猛暑の夏。