輝く瞬間

【輝く瞬間】 2025年 4月

向島幼稚園 園長 森 美樹

春風にのって子どもたちが元気に登園してくる年度始めに、毎年見かける光景がありま
す。進級児たちの姿です。

園バスから降りて玄関までの語らいの小径を入園したての慣れない下の子たちの手を繋ぎ、歩調を合わせて歩いてくるのです。ちょっと先輩のような顔つきで、ここで挨拶するよとお手本を見せるかのように「おはようございます」と声高らかに響かせます。それを真似て新入児が前に倒れそうなくらいのお辞儀をすると「かわいいね。上手にできたね」と、私たち大人と同じ目線を送るのです。毎年、順送りの朝の一コマです。

そのあと、「おめでとう」と入園・進級を祝うかのように咲いているチューリップの中をのぞき込み「おやゆびひめさんいるね」「どこどこ」と想像力満点の会話が続くのです。まるで花に集まる小さなミツバチがモフモフとしているようです。

そのような心はずむ情景に出会える新年度スタートに、いつも心新たにするのです。

【輝く瞬間】 2025年 3月

ひまわり幼稚園 園長 手小 秀美

 二月に年長組の子ども達と雪遊びに行ってきました。

市内では、なかなか経験できない行事の一つです。大型バス、ロープウェイと乗物を乗り継いで、山頂に到着。「わぁー雪いっぱい」「さむー」と大さわぎ。荷物を置いていざ雪遊び場へ。ソリの乗り方を教えてもらい颯爽と出発!

山の上からソリに乗り滑ろうと思うが、ツルツルと滑りうまくソリに乗れず。やっとの思いで「さぁー行くよ」の声掛けと共にスタート。「ヒャーキャー」と歓声。

おっかなびっくり、足でブレーキをかけながらの滑走。子ども達の習得は早い! 二回三回とくり返すうちに、スイスイとソリに乗り「ワァーイ!」一人乗り、二人乗りいっぱい楽しみました。顔は汗でキラキラ。

帰りのバスは、楽しい「おやつタイム」。あまーい匂いがいっぱい。お疲れ様でした。

この雪がとけるころ、年長組は幼稚園とお別れ。小学校という新しい環境で、またたくさんの経験をし、新しい出会いを楽しみにがんばってほしいですね。

【輝く瞬間】 2025年 2月

紫明幼稚園 園長 増井 弘子

 ある日の預かり保育。スズランテープのぴらぴらネットが登場すると風船バレーのはじまりです。ポーンポーン年長児年中児のラリー。年少児達も集まってきて賑やかに応援です。うずうず、やりたそうな何人かの年少児。
「よせて」「いいよ」。でも、小さな子が混ざるとパスは続かず風船はすぐコートの外へ。コートの中をちょこまか動き回る年少児達。ぶつからないかとひやひやします。「やーめた」と年中児達はひとり抜けふたり抜け。コートの中は年長年少児に。風船はコートの外に出たり床の上をコロコロころがったり。すると「もう一つ風船ちょうだい!」左右各々のコートで風船がコロコロ・ポンポン。しばらくすると、年少児のパスを年長児が拾い上げ「いくよ」とポーン。左右それぞれのコー
トの中で風船がポーンポーンと行き来し始めています。年少児達も真剣です。小さい子を受け入れ、ゲームの形は変わったものの、お兄さんお姉さんバージョンで得意げに楽しんでいる年長児達。各々の成長に拍手!

【輝く瞬間】 2025年 1月

かもがわ幼稚園 園長 藤原 光二

 子どもたちは日々成長し、輝く瞬間を見せ
てくれる。

二歳児では、寂しさから泣いていた子も、お友達の名前を憶えて誘ったり、落ちている物を拾って届けてあげたりと、友達同士の交
流が多くなっている。

三歳児では、「お母さんがいい!」と大泣きしていた子が、少しずつ幼稚園生活に慣
れ、友達と一緒に遊ぶことの楽しさを感じ始め、送ってくれた母親を笑顔で「バイバイ!」
と見送っている。

四歳児では、砂場で一人遊びが多かった子どもが、いつの間にか友達を誘い、転がしド
ッジなどのルールのある遊びを自分たちで進めるようになっている。
五歳児では、百回跳びに挑戦する子どもたちが、もうすぐ達成しそうな仲間を取り囲
み、声を出して応援し、達成すると、自分のことのように喜んでいる。

全ての子どもたちが、様々な能力や可能性を与えられ、この世に生まれ、その能力を駆使して、自分の人格の土台を築いている、そ
んな成長の瞬間に立ち会い、私は子どもたちから生きる元気をもらっている。

【輝く瞬間】 2024年 12月

洛西せいか幼稚園 園長 飯田 玲子

 「今月のおたのしみぶくろはの中身は何?」「おうちの宝物ボックスに入れとくねん。」「もう大切なもん入れの箱パンパンになってきた!」毎月、月末になると子ども達からそんな声が聞こえてきます。本園では毎月の誕生日会で誕生児には幼稚園から誕生カードとハッピーバースデーのとんがり帽子のプレゼントがありますが、そのほかに全園児に『おたのしみぶくろを』渡しています。一か月間いろいろなことに取り組んで前のよりお
おきく成長してくれた子ども達へのちいさなプレゼントです。中身はその時々によってさまざまで「紙コプター」「パッチンカード」「画用紙で作った花束」「折り紙で作った指人形(ラムネ入り)」など、すべて手作り品です。お店にはキラキラ輝くおもちゃや小物がいっぱい溢れかえっている昨今。手作りの小さなプレゼントを大切そうに笑顔いっぱいで持ち帰る子ども達。「さあ、次は何にしようかな?」と考えるのも楽しい時間です。

【輝く瞬間】 2024年 11月

自然幼稚園 園長 北村 隆信

「せんせー、いっぱいみつけた!」朝登園した直後に大きい組のお友達が職員室に駆け込んできました。その手には大きな栗の実やぺたんこ栗が握られています。酷暑の夏を過ぎ、蒸し暑いながらも朝夕に秋の気配が感じられる頃に、ぱっくりと口を開けたイガ栗が木から落ちてきて、この実が何であるかを知っているその子は、慣れた足さばきで栗を取り出し興奮気味に持って来てくれたのです。そうして集められた栗を湯がいてみると、食
べておいしい栗の実は半分くらいで、あとは実が硬く空洞があいて食べにくい物でした。売っているような栗ではないのは何故かを考え、みんなで出した結論は「暑くて木がしんどかったから」でした。

最近、右京区や西京区で熊の目撃情報を耳にします。山の木の実では足りず市街地に食べ物を探しに出てこざるを得ない熊さんの食糧事情を子どもと共に考えたり、収穫物への環境の影響を考えたりする良い機会になりました。

【輝く瞬間】 2024年 10月

泉山幼稚園 園長 熊谷 信康

 「虫をつかまえたい!」と集まった年長組の大探検隊で、緑いっぱいのれんげ野原に出かけることになりました。道中でミミズを見つけると女の子が「さわってみるわ!」と挑戦…「うわぁ~!!」と言いながらも自分に課したミッションをクリアし、友達ともハイタッチ。その後も蛾やトンボにもさわることが出来ました。「実は、私初めてさわれたんだ。」と嬉しそうに教えてくれました。その女の子は、虫にさわりたいと思い探検隊に参加していたようです。その後もたくさんの虫を捕まえられて大満足な大探検隊でした。

こんなことしたい! と声が上がると、たくさんの友達が集まって来て一緒に一つの目的に向かって遊びが始まるところがとても素
敵だなぁと感心させられます。

これからの時期は、秋の虫の音に子ども達が耳を澄ませます。自然がもたらす面白さや不思議さを感じ、その経験を友達とたくさん共有してほしいと願います。

【輝く瞬間】 2024年 9月

京都幼稚園 主事 松田 幸恵

 五月に幼稚園の畑に植えたさつまいも。植えてすぐは「枯れちゃった?」と心配そうな子どもたち。でも、しばらくすると、「新しい葉っぱが出てきた!」「やっぱり大丈夫やったなあ。」と年長組の子。そして、「茎はまっすぐじゃなくて、斜めになってる!」と発見。「でも、さつまいもないよ。」と年少組の子は不思議そうな顔をしています。「まだだよ。土の中にできるよ。」と優しく教えてあげる年長児。

おいも掘りの経験がない年少児にとっては、さつまいもをイメージすることは難しいことです。でも、十月になれば、土を触り、自分で掘って確かめることで、「さつまいも」を感じるのでしょう。今は見えなくても、土の中にある命を感じる体験は子どもたちにとってかけがえのないものです。ただ、今年のさつまいもの成長は、猛暑のせいかちょっと赤信号。でも、育てるのは難しいということも含めて、大切な経験であり、豊かな学びであると感じています。

【輝く瞬間】 2024年 7月

ときわ幼稚園 園長 橋川 昌治

 ジリジリと照りつける太陽が眩しい季節になりました。
 連日の猛暑で花々もぐったりしている中、子ども達は冷たいプールにザブン!!と飛び込み、水しぶきをあげながらキャーキャーと元気一杯楽しんでいます。

 夏の水遊びはもちろんですが、一年を通してお外で遊ぶ事が大好きな子どもたち。
 幼稚園の園庭の真ん中には樹齢百年を超える楠木がドスンと立ち、その左右には樹齢八十年の桜の木が立っています。この三本の樹の葉っぱが生い茂り、まるで大きなパラソルのように真夏の強い日差しから子どもたちを守ってくれています。間もなくやって来る夏には沢山の蝉の抜け殻を見つけておそるおそる服につけて大騒ぎ! 春には桜の花びらをおままごとに使ったり、秋には色とりどりの葉っぱを拾って遊んだり、冬には根っこで冬眠している幼虫が出て来て驚いたり…樹は毎日子どもたちを大切に見守りながら季節ごとに姿をかえ、様々な気づきや遊びを提供してくれます。「さぁ、きょうはなにしてあそぶ?」

【輝く瞬間】 2024年 6月

北白川幼稚園 園長 山下 太郎

 子どもたちは幼稚園の中で過ごす「社会の人」としてふるまう場合、大人が驚くほどの力を発揮します。ある年の四月、年少組のRちゃん(男児)とMちゃん(女児)は毎朝涙の登園でした。その日も、二人は泣きながら石段を登り始めました。私が二人の手を取り歩いていると、ふいにRちゃんが「ハンカチだして」と言いました。てっきり自分の涙をふくものと思ってハンカチを渡すと、Rちゃんは隣のMちゃんの涙をふいてあげるのでした。「ないたらあかんよ」と優しく言葉をかけながら。毎日泣くだけ泣いて、それでも幼稚園の先生は温かく手を差し伸べてくれるし、友達も「大丈夫?」と声をかけてくれたり、黙ってぬいぐるみを持ってきてもくれる。最初は不安だった幼稚園という社会が、徐々にありのままの自分を受け入れてくれる場であることを学ぶにつれ、やがてRちゃんのように困っている他の子に手を差し伸べる勇気と優しさを発揮することもできるのです。