輝く瞬間

【輝く瞬間】 2020年 12月

いずみ幼稚園 園長 池田慶子

 しゃがんだ背中にドン!!「せんせーい、何しているの?」首に手を回してのぞき込む女の子。「トイレのスリッパを揃えてるの。」「なんで?」「トイレに入る人が、すぐにスリッパを履いてオシッコやウンチが出来るしね。」「ふーん……」

 しばらくたったトイレの前でスリッパを丁寧に揃える先程の女の子。「ありがとう!トイレに入る人が気持ちよく入れるね。」
「うん。」

 子どもたちの根底には素直に誰かの為に出来ることをやりたい! 人の役に立ちたい! と思っている。

 優しさの押し売りではなく、誰かに褒められたい訳でもなく自分に出来る事は惜しみなくやってあげたいという気持ちが溢れている。

 自分という存在がすべてに満たされているからだろうか。役に立ちたいという感情は生まれ持ったものなのだろうか。誰かの為に役に立ちたいと思えるキラキラした子どもの心に近づきたい。

【輝く瞬間】 2020年 11月

東山幼稚園 園長 塩貝省吾

 先日、実家に帰省中、車窓から見えた秋桜の美しさに心惹かれ、車を止めた。赤色白色ピンク色、どれも綺麗で美しい。それぞれが、それぞれ色に一生懸命輝いて、みんな素晴らしい。

 花は自身で美しく見せようと考えて咲いているわけではないが、自分色に咲く花は、それだけで美しく輝いている。私たちは、自分の好みで、あの花は好き、この花は嫌い、と選別してしまいがちだが、それは私たちが自分のフィルターで見ているから。
花はいつも変わらずキラキラと自分色に輝いている。私は、ハッと立ち止まる。子供たちは、いつもどんな時も、どんな子供も、それぞれの個性を精一杯輝かせている。しかし、それを見ている私たちは、知らず知らずに、大人のフィルターで子供たちを見比べていないだろうか。フィルターを外し、真実の眼で子供たちに接し、輝く姿に気づくことの大切さ。秋の風にゆらゆらと、楽しそうに揺れる秋桜の情景が、子供たちの笑顔と重なった。

【輝く瞬間】 2020年 10月

衣笠幼稚園 杉本五十洋

 子どもの顔が輝く瞬間。それは、面白いこと、好きなことに熱中しているうちに偶然何かができて発見した時、それをもう一度再現しようといろいろ粘ってやっていたらできた時、他の何かができて発見した時。子どもの顔が輝く瞬間のフロー図を描いてみたらどんな風になるのだろうか⁉︎

一人一人で異なるフロー図は刻々と変化しながら園児数分もできてしまう。
なんと膨大で壮大なものになる。

しかし、私たちが担当している幼児期にはこのフロー図を描き込む原紙の色は面白いこと、好きなこと、興味のあること、関心のあることが必要条件です。

この必要条件を醸し出してくれるのが先生です。

先生方の子どもへの関わりは、彼・彼女の二度と還らぬ時代を担当しているからこそ崇高で偉大な行為です!
誇りをもって歩いて行きたい。他の仕事とは全く種類が異なるものですから!   

【輝く瞬間】 2020年 9月

高倉幼稚園 近藤 広子

 夏休み明け、四歳児と園庭で遊んでいた時のこと。 
H「あっ!セミの抜け殻見つけた。わぁ小さいね。何ゼミかな。」
  確かに夏休み前に見つけたものに比べ一回り小さかったのです。
私「ひぐらしかな。」
H「あぁー僕知ってる。」
 「ツクツクボウシは、『ツクツクいいよー』って鳴くもんね。」
Y「アブラゼミは『ミーンミーン』って鳴くよ。」
T「クマゼミは『ジージー』って鳴くね。」

 小さなセミの抜け殻を囲んで子供たちの会話は弾みます。
 コロナ禍により、園生活での行事の取り止めや変更が相次ぎ、いつも通りにできないことばかりを気にする私と違って、与えられた条件や変化する状況の中でも今できることを喜び、目を輝かせながら生き生きと遊びを展開し発展させながら無心に楽しむ子どもたち。

『今、この一瞬一瞬を精一杯大事に生きる』ことの大切さを、子どもたちの姿を通して改めて気づかされます。と同時に、子どもたちの生きる力強さに感動しています。

【輝く瞬間】 2020年 7月

相愛幼稚園 足立 淳子

 こどもたちのいない園庭の花々が桜からハナミズキに変わり、もはや紫陽花がその彩りを放っています。六月になりようやく可愛い笑顔が声が戻って参りました。

 五月の或る日、がらんとした保育室に響く先生の声。「◯◯ちゃん、お家でげんきにしてますか?」そのあとの会話はお母さんとの話が続き、その後園児と話してる様子が伺えました。初めはトーン低めで恐る恐る、子どもの声を聴いた途端ハイトーンに。「センセー、◯◯ちゃんの元気な声を聴くことができてうれしいなぁ」声の調子の変化に嬉しさが滲み出ていて心が動きました。子どもたちのいない幼稚園がどんなに淋しいか、早く主役が戻れます様に祈る毎日でした。後にお母さんたちのお話を聞くと、こどもたちも先生の声を聞いて一気に幼稚園の事を思い出しとっても嬉しそうだった様です。なんとなく固くなりつつあった先生達の心をほぐすのは子ども達の存在なのだとつくづく感じた一コマ。信頼が土台の素敵なつながりをイロイロな波を越えながら守っていきたいと思ったキラキラした一瞬でした。

【輝く瞬間】 2020年 6月

さくら幼稚園 櫻井  修

 物言わずで泣き虫のA君は、些細な事でもすぐに泣いてしまう男の子です。毎冬恒例のマラソン大会では、身体も小さいA君はやっぱり泣きながら走ってしまいほぼべべでゴール。見ていた先生達も『やっぱりか…』と納得の結果でした。でもそこからが凄かった。余程悔しかったのか、幼稚園二年目の年中の冬、バス通園しているはずのA君が毎朝バスに乗らずに走って幼稚園に来るようになりました。年中のマラソン大会の日、私はA君を内心応援しつつ、べべから何個順位をあげられるかな?と少し期待して見ていると…なんと十三位でゴール!

 私は興奮して、『A君、凄いやん!練習頑張って良かったな!』と駆け寄りました。物言わずのA君は相変わらずコクッっと頭をかしげるだけでしたが、私には自信がみなぎった顔つきに変わった様に思え、額に流れる汗が一際輝いて見えたのを鮮明に覚えています。幼稚園のマラソンもあと一回です。A君目指せメダル圏内十位以内!

【輝く瞬間】 2020年 5月

春日幼稚園 米川和子

音楽会での出来事です。
 子犬のワルツに合わせて、舞台の袖から、少し照れながら出てきた年少児が、突然固まりました。
 何故だと思いますか?
 音楽会が始まる直前の挨拶で、私も一瞬戸惑い、子ども達が出てきたら…きっとこうなるだろうと想像はしていました。
 答えは、観客全員がマスクをしていたからです。世の中が「新型コロナウイルス」を懸念しているさなかでの音楽会。
 気を取り直して、再び歩き出し、その後は臆することなく、いつもの様にかわいい歌声を聞かせてくれました。
 誰もが予想しなかった「コロナ騒動」。世の中がピリピリしている時ですが、かわいいオペレッタや楽しい歌、自信にあふれた見事な合奏。キラキラした子ども達を見て、みんなが、幸せな気持ちになれたひと時でした。

【輝く瞬間】 2020年 4月

聖ドミニコ学院京都幼稚園 安達 徐

 卒園式の返事

 この原稿を書いているのは三月七日です。
卒園式は制限を加えながら実施しようと思っています。今年度の卒園生は個性溢れる子どもたちが多く豊かです。しかし、個性とはあ
る意味で他との調和が難しく、時に双方に苦しい場面もあります。緻密に室外機の絵を毎日のように描いている子、じっと座っている
のは難しいが、興味のあることには目を輝かせて聞き、劇の発表の時のセリフなどは人を感動させる感情を表現します。又卒園式練習
の賞状授与で名前を呼ばれたとき、一人の子が何かとても心に沁みる返事をし、壇上にいる私は感動で一杯になります。その子に「A
君のお返事は心に沁みますよ」と言いましたら「心に沁みる」ってどういうこと?と聞いてきました。「先生の心の中にA君が入ってくる」っていうことです。覚えておいてね!!といいましたら、じっと考え込んでいました。常々「心の中にいつも神様がいてくださいますよ」と言っていましたので、混乱を与えたのかもしれません。もっとわかりやすい説明をもう一度しようと思っています。

 子どもの感性は人間の心を射るものがあります。

【輝く瞬間】 2020年 3月

洛西花園幼稚園 小山内定代

毎朝、通用門で子供達を迎え入れる時間。
どんないい顔をして登園してくれるだろうと、楽しみの瞬間です。
満三歳児の双子の女の子。毎日「ママがいい~」と泣いてはお母さんを困らせています。
通用門で預かると一段と泣き声は、大きくなります。
でも、担任が待つ保育室に入るとニコニコの笑顔。
毎日通用門で「明日は、泣かずに来ようね」と約束しますが
次の日も「ママがいい~」と大泣きです。
満三歳児だからこその光景なのでしょうね。
でもそんなある日の朝。
「ママがいい~」の大泣きから一転「おはよう」と笑顔一杯の元気な声に
お母さんも私も笑顔の一日の始まりに。
「春からは年少組だものね」と言うと、とびっきりの笑顔に…
成長の姿を見せてくれた瞬間でした。

子供たちが植えたチュウリップの芽も顔を覗かせています。
卒園・進級を迎える子ども達の心はうれしさで一杯です。
子供達から今年度もたくさんの感動をもらった一年でした。

【輝く瞬間】 2020年 2月

くろたに幼稚園 杉山 俊定

立春大吉

この原稿を書いている今日は、二月三日節分です。そして明日は立春、暦の上ではいよいよ春です。この立春に、禅宗のお寺では「立春大吉」のお札を貼って、邪気を払う風習があります。 立春大吉の文字は左右対称、裏から見ても同じで、門から入った鬼が振り向くと、入るときに見た、立春大吉の文字があるので、もう一度門をくぐって出ていくということだそうです。
子ども達を取り巻く環境は大きな転換点に差し掛かっています。子ども真ん中を実践できるか、大切な新しい春です。
そんなことを考えながら原稿を書いていると、年長の男の子が園長室の窓をたたきました。園長先生、ちょと来て。ついて行くと、たんぽぽが咲いていました。
男の子が、なんとも優しい目で「春やなぁ~」。私はきっと素晴らしい春になると信じて大きくうなずきました。