寺西幼稚園 園長 寺西 正毅
「あら尊 青葉 若葉に 日の光」
山々は青葉若葉で活気に溢れ、澄み切った青空には、こいのぼりが元気に泳ぎ、園庭では溢れんばかりの笑顔と、張り裂けんばかりの鳴き声が響き渡る、眩しくて初々しい年度初め。
毎年この時期、耳にする可愛い言葉。
「・じ・ぶ・んで…」
ピカピカの年少さん、一つお兄さんお姉さんになった進級組さん(年中さん、年長さん)。学年が上がったから……、そんな自覚が運んでくる一声なのでしょうか?
「そうだね。それではお任せしましょうか……。でも、やっぱり気になる!」
そこで、お目々をチカチカ光らせて。
「エッ! ヤッパリ! これが自分で……と言ってやってくれたこと!?」
「ウーン、どうしよう、手を貸してもう一度やろうと言おうか? イヤイヤ、頑張ったんだから、褒めなくては?」
毎年毎年、迷っています。自立しよう、自分でしなくてはと肩に力をいっぱい入れて頑張る子ども達に、なんと声かけしようかと、今年も迷っています。何もかも、ピカピカブカブカ、泣いてはならぬと頑張る子ども達。
一年でもっとも可愛い時期ではなかろうかと、目を細め、言葉を探している私です。
其枝幼稚園 清水 潔
私は毎朝門の前に立ち、登園してくる親子を迎えます。子どもたちには「○○ちゃん、おはよう!」と声をかけハイタッチをします。
ところがS君はシャイなのか私の手をかわして行きます。2学期のある日、保育室を覗くとS君がニコニコとやってきて私の手の平に5回もタッチしてくれました。
トイレの改修で明るいピンクのタイルをはってもらいました。所々にディズニーのキャラクターも入れて。ある日、トイレの中から子どもの話し声がします。ふしぎなので近づくと一人の女の子がキャラクターとお話をしていました。教師は胸が熱くなったそうです。
これもトイレのお話ですが、換気扇の音がおかしい! と目の不自由なお子さんが言うのです。調べてもらったら、やはり故障していてすぐ直してもらいました。他の子どもや教師が気付かぬ異常音をキャッチしていました。
私たちはこの子どもたちから教えられることが多くあるような気がいたします。
岩倉幼稚園 田中 幸子
園庭の桜も花の色を少しずつ見せてくれるようになりました。新入学の季節です。
4月に入って卒園児達が、希望の高校に入学出来ました。きりっとしたワイシャツにジャケット姿で、訪ねてくれています。少しはにかみながら、恥ずかしそうに、そして、夢と決意を笑顔いっぱいで語ってくれていました。
今日は、中学生が「明日から授業が始まる」と言って希望の中学に入り、夢と希望を笑顔いっぱいで話してくれ、幼稚園の頃の面影を残したままで背丈もすっきり伸び、新しい制服が似合う少年、幼稚園の頃の思い出話を聞かせてくれました。
この子達の将来が幸せで健康的な心を持って、世界に羽ばたいてくれることを願いつつ「元気で頑張ってね」と感動の中、背中を押して「さよなら」をしました。園児達は今日が始業式です。「おはようございます」、元気な声で登園し、すぐお外に……。春休みの楽しかったことを話しながら飛び出して行きます。この一年が子ども達にとって安心・安全はもとより健康で心豊かに幸せな日々を過ごせ、幼い頃の思い出を笑顔で語ることが出来る毎日を日々の保育の取り組みに積み重ねていくことが出来れば幸いと思いますが……。
北野幼稚園 園長 池田 智子
四月、満開の桜に囲まれスタートした一年もいよいよ集大成を迎えようとしています。京都の街を彩り、華々しく花を咲かせ、萌え出る若葉のエネルギーの勢いは、まさに幼子の成長の様です。
本園では一年を通じ月に一度、自園所有の鞍馬北自然観察林に出掛け、労作活動、自然体験を行っています。電気もガスも水道もない大自然。木々の薫り、優しい日だまり、そよぐ風、そして静かな川のせせらぎは心も身体も解放してくれます。緑いっぱいの自然の中、一人一人が主役となり誰にも教えられる事なく遊びを展開していきます。自然との共生共存です。真剣に遊び込むその姿は逞しく、一瞬、一瞬、輝いた瞳をしています。
幼児期の空洞化は将来の子ども達に多大な影響を与えます。子ども達が本来、持っている力や輝きを大人が阻害する事なく、感性、可能性を豊かに育む重要な責務を担っています。人として生を受けた以上、立派に大輪の花を咲かせて欲しい。生きがいのある人生、喜びのある幸せな人生を歩んで欲しいと願います。
卒園を迎えた今、子ども達の生涯の幸せを祈り、笑顔で送り出したいと思います。
さつき幼稚園 片山 正宏
「おはようございます」、「おはよう」と口々に挨拶しながらバスから降りて来る子、挨拶代わりに手にタッチして来る子、「園長先生ずるい。手袋して」と文句をいう子、手を振るだけで教室へ走る子。母親に送ってもらい、名残惜しそうにバイバイする子。登園時、子どもたちは様々な姿を見せてくれます。
どの子も、今日はどんな楽しいことがあるのかと期待に胸膨らませ、目を輝かせ、元気いっぱいです。迎えている私まで元気をもらい、何かすっきりした気分になってきます。
子どもたちが、このエネルギーと目の輝きを、いつまでも持ち続けてほしいものです。
猛烈な受験戦争があった時代、元知事の蜷川さんは「十五の春は泣かさない」といっていましたが、私たちも、子どもたちが「世に出る春は泣かさない」社会を実現するため、日々何をすべきかを考え努力しなければならないと思っています。
聖マリア幼稚園 菅原さと子
十二月。子ども達・保護者・卒園生・先生にとり、とても大切な月。十六日夕五時。礼拝堂にてイエス・キリストの生誕劇を行った。年長児はマリア・ヨセフ・羊飼い・天使などのメインキャスト、年中児は聖歌隊、年少児は羊と小天使、そして保護者有志は四部合唱の聖歌隊として二階ギャラリーから素晴らしい歌声で盛り上げて下さる。年長児は度重なる練習を経て、緊張しながらも説明と歌の役をしっかり果たす。その様をすぐ近くで見る年中と年少。来年、再来年は自分たちがそれを担うとあり、憧れをもって見つめる。星と博士の登場でクライマックスを迎え、お客様も含めた全員が一体となりその誰もの目が潤み輝く。そして最後のマリアとヨセフの祈りに心を合わせ、日本内外の様々な事態を思い浮かべながらの祈りに愛の光が放たれていたのを感じたのは私だけではない。生誕という命の輝きを全ての人が受けとめ、満三歳児がすやすやと眠りに陥るほど心地よい静かな聖夜となる。
さがの幼稚園 宇野 延明
今年は例年よりもかなり暖かい日が続き、十二月になっても美しい紅葉を楽しむことができました。ようやく北風が吹き始め園庭には落ち葉が舞っています。子どもたちは毎日落ち葉拾いを手伝ってくれます。
「なんで葉っぱは寒くなると落ちるの?」
「夏でも落ちているよ」
「何で葉っぱは黄色くなるの?」
「茶色のもあるよ」
「赤いのもあるよ」
次から次へと疑問は途切れることがありません。
「前に葉っぱのフレイディいう本、読んだやん」
「覚えてるよ。いのちの旅なんや」
寒くなると落ち葉は当たり前と思っている私たち大人。子どもたちから、いのちの不思議を教えられた寒い一日でした。