輝く瞬間

【輝く瞬間】 2014年1月

かもがわ幼稚園園長 藤原光二

 この世に生を受けて間もない子どもたちは、毎日が新鮮で、驚きに満ちています。それはまるで、朝露に朝日が当たって一瞬の輝きを放つようです。そんな子ども達が、今日も期待に胸膨らませてやって来ます。

「相手の心に届くよう、笑顔と共に元気よく」を合い言葉に、登園してくる子どもたちをあいさつとハイタッチで迎えます。

 子どもたちは、日に日に成長し、新しい姿を見せてくれます。入園したての頃には、毎日のように泣きながら通園バスを降りていたA君が、今は泣いている子の手を引き、自信に満ちた笑顔で登園して来ます。ハイタッチのやわらかな手の感触に、命の連続を感じながら、彼らの
未来にエールを送ります。

 百花繚乱の春から、夏の灼熱の太陽、そして、実りの秋へと季節は移り、厳しい冬の寒さの中で、新芽を準備し、新たな成長の春を待つ、そんな一月の幼稚園に、可能性一杯のすてきな笑顔が今日も輝いています。

【輝く瞬間】 2013年12月

太秦幼稚園 松本 佳子

 いよいよ十二月になりました。肌で感じる寒さがどんどん厳しくなるこの季節、もうしばらくすると、子どもたちはワクワク、ドキドキし始めます。子どもたちにとって、最も嬉しいイベントの一つ、クリスマスが近づいて来るのです。一段と深くなった師走の趣と相俟って、まさに風物詩ともいえる光景が見られます。

 「今年はサンタさんに何をお願いしようかな」「いい子にしていたから、サンタさん来てくれるなぁ」。

 こんな会話を聞いているとこちらまで楽しくなってきます。弾む声、きらきらした瞳。子どもたちがお互いに笑顔で、楽しそうに話をしている姿は、私には何よりも輝いて見えるのです。そんなかわいい子どもたちもいつかは、サンタさんの正体に気が付くでしょう。自分達が親になり、サンタさんを演じる様になった時、子どもたちの姿を見て、自分達が子どもの頃にどれほど瞳を輝かせクリスマスを楽しみにしていたことか、その純粋な気持ちを覚えておいて欲しい。そう願っています。

【輝く瞬間】 2013年11月

アヴェ・マリア幼稚園 松永昌子

 運動会を無事に終えた今、運動会は素晴らしいと思っています。大人も子供も、精いっぱいの力を出すことで、みんな素敵な主人公です。ハプニング、笑い、思わずの大声、歓声と嘆声、素が出るのが面白く会場が一つになります。

 子ども達は学年の差がくっきり。満三歳児は母の横で突っ立ったまま終わったり、三歳児のかけっこは、隣の友達に合わせ一緒にゴールしたり、四歳児はソーラン節の「ドッコイショー、ドッコイショー」の掛け声に仲間意識が出たり、五歳児の自分の力を出し切る心意気に、親も先生も涙が出て、ここまで成長したのかと感無量であったり。リレーでハラハラ、鼓隊カラーガードの演奏で感激、組体操の底力、支え合う力、親子競技の一体感などなど。

 片付けの時、父と一緒にいる日頃おとなしい男の子に「リレー速かったね。驚いたよ。」というと、素敵な笑顔で父に飛びつきました。

 ああ、運動会っていいな。

【輝く瞬間】 2013年10月

東山幼稚園 園長 奥田 歓信

 年長さんのクラス対抗全員リレーの感動の話しです。

 誕生月による体格の差はまだ残っておりますが、年長児としての誇りと自覚がありありと表現されたリレーです。先頭の子どもが転んでしまいビリになっても泣きながらバトンを渡すまでは真剣に走ってバトンを無事に渡しほっと安堵する子。又、一人抜き二人抜きをしてトップを走る子ども、どの子も真剣全力を尽くして実に爽やかな表情を浮かべておりますが、この姿はリレーが終わると子どもたちが輝く瞬間であり最高の感動を得た瞬間でもあります。

 保護者の方々も、大声で声援を送り、子どもと一緒に走っている様子です。中には感動のあまり、ハンカチを目に当てる光景も多く目にします。子どもと一緒に成長されたご両親の感激も一入だと思います。

 我々は感動により大きく成長することができますが、日々の生活の中にも多くの感動があればと思います。

【輝く瞬間】 2013年9月

園長 川名 マミ

 四月から七月 一学期の期間で季節が色濃く変わり、葉色や花々が段々と力強く伸びていく中で子どもたちにも同様の変化が見られます。

 春先の新芽は柔らかく・色薄く・どこか弱々しい・でもこれから伸びていくぞっていう勢いが感じられます。春から初夏になると、その葉は徐々に固く・色濃く・たくましくなってきます。そして、夏・・・しっかりと茂った葉っぱは、同様に成長した子供たちを見守るように、
しっかりと木陰を作り、涼しい空気を運んでくれます。

 また、二学期の秋は葉色の変化とともに、実が子どもたちの恰好の遊び道具に変化します。

 自然の中にはたくさんの葉っぱがあります。よく見ると、色や形や匂いもさまざま、子どもたちに、そのことを伝え、自然環境のもつ豊か
さを大人になってふと振り返った時に、気付いてくれたらと思っています。そのためには、子ども達が今を一生懸命、遊びこむこと季節に応じて自然環境の中でその時の空気を肌で感じて一生懸命遊びこむこと遊びこんだ蓄積が一つづつ子どもたちの力となって、知恵となって、ツ
ールとなって今後の人間形成に大きく関わってくると信じて・・・。

【輝く瞬間】 2013年7月

本願寺中央幼稚園 園長 日野昭文

 暑い日差しの中、日陰ではだんご虫やあり探しをしている子ども達。発見すると、「見つけた!」あっという間に人だかりが出来ます。子ども達は生き物に興味津々ですね。

 昨年、育てていたアゲハのさなぎが虫に食べられてしまったことを、ずっと悲しんでいたIくん。度々図鑑を見ては、「これ、虫さんに食べられちゃったね」と悲しそうに言っていました。さて今年は!みかんの木に集まった幼虫を見せると、思い出してまた悲しい顔に。それから毎日虫カゴを覗いては「大丈夫かな?」「先生、餌あげて」「虫さん食べに来ないように守ってあげる」さなぎになると、糸が切れないように「カゴ揺らさないで」と友達に教えてあげていました。そしてある日の朝、「ちょうちょになってるよ!」いち早く見つけたIくん。みんなで外に逃がすことに。「ばいばーい!また遊びに来てねーちょうちょになれてよかったねー!」満面の笑顔で手を振り続けるIくんでした。

【輝く瞬間】 2013年6月

聖三一幼稚園 園長 柳原 義之

 梅雨入りと同時に中休み。ばらが咲き誇る園庭で、子ども達にとっては外遊びにうれしい日が続いています。年少さんもすっかり遊びのエリアとお友達が広がりを見せています。

 入園当初、「お母さん」「帰りたい」と泣き続けていた女の子がいました。通りがかりに「まぁ、泣いてても仕方ないし、とりあえずカバンおろそうか。それどこにかけるの?へぇ、ちゃんと覚えてるんやなぁ。次は?」とあっという間にスモックのお着替えにたどり着きました。後ろ前が気になりましたが、まぁ、ここまでがんばったし、いいかな」。で、「何して遊ぶの?」泣いてたことも忘れて、外でくつを履いていました。時は経ち、お弁当、給食にも意欲満々の様子。自宅への通りがかりに歯磨きをしながら「先生、給食みんな食べたよ!」「わたしも!」「おいしかったよ!」と矢継ぎ早に声をかけてくれました。すごいなぁ。子ども達の成長は!

【輝く瞬間】 2013年5月

葉室幼稚園 園長 西谷文孝

 皆さんは直径100センチの大木が山で切り倒される様子を見られたことがあるでしょうか。大地にメキメキメキーと轟音をたて、倒れる瞬間は圧巻であります。立っているときの雄姿もすばらしいと私は思いますが、それがどのような場所で建築用材として使用されたときの姿や杢目などを想像するとワクワクします。100年生の樹は建築用材に用いた場合100年保つと昔からいわれています。

 毎年、卒園式の度に修了証書を手渡す瞬間この子は大人になったらどんな人に成るのかなと想像します。受け取る時の純真な眼差しはキラキラと輝いて本当にすばらしい瞳だと思います。今後の成長には様々な周りの環境に左右されるのは当然ですが、真っ直ぐな大木になってほしいとワクワクと願う瞬間です。

 人も樹も苦労して育ったら味があります。樹はすばらしい杢目に表れますし、人は人格に表れます。卒園生の未来に期待を込めて今後も証書を渡し続けたいと思います。

【輝く瞬間】 2013年4月

紫野幼稚園 園長 大澤 宣

以前幼稚園に来ていた子ども、その頃4歳になっていましたが、この子から私は意味のわかる言葉を聞くことができませんでした。この子は、登園するとまず園庭におり、他の子どもたちが園庭に出てくると保育室に入ってしまいます。みんなが保育室にはいると、この子は園庭に出て来ます。ある日、この子は一人だけで園庭にいました。私は少し離れてようすを見ていましたが、この子は後ろ向きに歩き、砂をまきながら、何か言っています。何を言っているのだろうと思って、そっと近づいて聞いていました。

「たね、いっぱいまくと、おはながさくんだよ」。確かにそう言ったのです。こんなことが言えるようになっていたのか。私はうれしくなりました。この子の中にお話しが生まれ、物語が作られていたのだと思います。ひとり一人が自分の物語を作っていく。その歩みを見守り、大切にしていきたいと感じさせられました。

 

【輝く瞬間】 2013年3月

龍谷幼稚園 園長 南  俊生

  もうすぐ進級・卒園という時期。龍谷幼稚園ではスケート教室に行きます。その日、皆は楽しみにしていますが、年長組のA君は『スケートは嫌いです』と言って、浮かない顔をしています。彼は、去年のスケート教室の時上手く立てずに泣いていました。

 今年もその事が嫌で、文句ばかり言ってなかなか気持ちが切り替わりません。それでも、根はとっても真面目な彼は、怒ったような顔をして、何度こけても起き上がって、手すりを持って歩く練習をしていました。

 スケート教室が間もなく終わるという時、指導の先生が『A君、皆の前でここまで歩いて来て下さい』と言うと、『はい』と言って、スッと立って、トコトコと歩いて見せました。

 皆は『すごい』『A君上手になってる!』と自分のように喜んでくれました。そして、A君は満面の笑みで先生の所まで行きました。

 A君は今、苦手な事を一つ自分で乗り越えました。その笑顔はとっても輝いていました。