輝く瞬間

【輝く瞬間】 2014年10月

 東日本大震災から三年半以上の時がたちました。風化させてはいけないと思いながら、今はその誓いを忘れている自分がいます。そうした中、被災者の実体験を基に番組を制作した放送局の方とお話する機会がありました。被災地では「亡き人が枕元に現れた」とか「声を聞いた」という不思議な現象が続出しているそうです。

 目に見える事実だけでなく、こうした見えない事実もきちんと報道すべきではないか。彼は「いのち」の存在を身近に感じた人たちのかけがえのない肉声をありのまま報道することこそ、被災者の心情を伝えることになると考えたといいます。

 幼稚園の日常の中でも、「いのち」の存在に気づかされることがたくさんあります。運動会で全力を出しきったときの笑顔は輝いています。「いのち」は具体的な形としては見えないけれど、子どもたちの一生懸命な姿に触れたとき、小さな身体に「いのち」が宿り躍動していることを実感します。その輝く瞬間を大切に見守っていきたいと思います。