光徳幼稚園 園長 椋田敏史
桜の花びらに誘われながら、今年度も無事に新学期を迎えることができました。卒園した子どもたちの顔を見ることのできないことに少し寂しさを感じながら、新しい子どもたちを迎えることをとても楽しみにしてきました。
初めて幼稚園に通う子どもたちは、真新しいカバンに、少し大きめの制服で緊張しながら登園してきます。中には大粒の涙をこぼしながら、「おかあーさん!おかあーさん!」と叫ぶ姿も。園庭の外で涙ぐむお母さんの姿もみられます。
その様子を横目に、進級組の子どもたちは、堂々とした姿でお部屋に向かいます。どうして泣いているんだろう、と言わんばかりの凛々しさです。小さい組のお友達の手を引きながら、「ここでお外の靴をぬいで、お部屋のお靴に履き替えるんだよ。」と教えてあげる姿は、とても頼もしいです。
これから新しい環境、新しい先生、新しいお友達と一緒に、楽しく、そしてたくましく成長してくれることでしょう。
コドモのイエ幼稚園 園長 大賀 祐子
今年度、子どもたちと過ごす園生活も半月程となりました。年長組では、毎年この時期に『縄跳びオリンピック』を行います。この日を目指して年度当初から一生懸命練習を続けました。コツを掴んでどんどん跳べるようになった子もいれば、中にはなかなかうまく跳べずにいた子もいました。D君は後者の方でしたが、園でもお家でもコツコツと練習を積み重ねて一月の下旬には前跳びも後ろ跳びも百回近く跳べるようになったのです。そして迎えた当日の記録は、前跳び百六十三回!惜しくも四位でメダルには届きませんでしたが、D君の何とも自信に満ちた嬉しそうな顔 。そして、「やっぱり○○ちゃんはすごいな!僕よりたくさん跳べて!」と 、お友だちを認めていた小さな背中に逞しさを感じました。日々の生活の中で、後ろ向きに感じられたり小さな心に葛藤もあるでしょう。それらを避けるものと捉えずに、そこから学び、育ち合う姿を大切にしたいと思います。
寺西幼稚園 園長 寺西 正毅
一月十九日(火)、この日はこの冬一番の寒さでありました。「先生、口あいてたら雪が入ってきたよ」、子ども達は、寒さなんか何のその、小さな口を大きくあけて走り回っていました。
「気を付けて いながらすべる 雪の道」
という句があります。
「人生は 山坂多い 旅の道」
色々な事が交差して、この人生航路をいくのでしょうね。
人の一生の中で幼児教育ほど大切な時期はありません。最初のボタンを掛け違えると全部が狂ってしまいます。
一日10秒ほどでもよいから抱っこをしてあげ、しっかりとスキンシップをとれば、子どもは自然と父、母のぬくもり、温かさ、有り難さを身をもって考えていくものです。
どうか、小さいお子さんに心を込めて、抱っこ、おんぶ、添い寝をしてあげ、豊かな子育てを楽しんでいただきたいと思います。
「倒されし 竹は陽をえてのびあがり
倒せし雪は 消えうせにけり」
と申します。何事も忍耐が大切であり、雪でしなった竹も暖かい春の陽射しを浴びると、また元の竹になるように、私達も苦労多き人生をしっかり耐えて、美しい春を待とうではありませんか。
下鴨幼稚園 岩田 正光
ある秋の園庭ではいつもの様に子どもたちが元気に遊んでいます。鬼ごっこ、ジャングルジム、砂場でお山やトンネル作り、ままごと。。。。年少さんの女の子が園庭で見つけたどんぐりを私に見せようと持ってきます。実にはとても小さな芽が出始めています。私が「これどんぐりの芽」と話すと女の子は大喜び。すぐに小さなどんぐりを真ん中にお友だちの輪ができました。
「どんぐりの木になるね」「いっぱいどんぐり取れる?」みんな目が輝いています。ある男の子が言います。「どんぐりを食べにサルが来るかも。」子どもたちの世界が広がります。「くまさんも来るかも」「リスもどんぐり大好き」「イノシシは来ないかなー」。。。。いつしか園庭がドングリ山に様変わりしています。ちょうどこの前、園児たちは遠足で八瀬の森に行ってどんぐりを拾ったり、山の動物のことを聞いたりしていた所でした。子どもたちのどこまでも膨らんでいく想像力に感動した一時です。
七条幼稚園 捨田利 忠輝
先日、一泊二泊のお泊まり保育に行って来ました。
年長組のみんなは今までの三年間のなかで初めての行事です。いつもよりかなりテンションも高めで、午後から登園して来ました。
でも、なかには多少不安気な表情の子ども達も混じっています。それもそのはずです。家族の許を離れて初めてのお泊まりをする子もたくさんいるはずだからです。
当日はお天気もよく絶好のお出かけ日和。思いっきり昼間は遊びお腹も減ったところで夕食。
さあ、本日のメインイベント天体観測です。ボランティアの皆様のご協力もいただきみんな興奮気味です。「見えた」「見えない」と一喜一憂です。先生達のこの後すぐに寝ているかなという心配をよそに暗い屋根の中をキラキラした瞳が輝いていました。
洛陽幼稚園 土屋 英津子
幼なれ切途が音のンシミ、に角一の園稚
幼稚園の一角に、ミシンの音が途切れない場所があります。そこには”はりちょくん”ぼ老先生がいます。毎日子ども達は、その周りで糸や針の仕業をじっくり見ています。そこの「変身コーナー」で出来上がったばかりのドレスを着込んで見せに来た年長の女子たち。年少児がお針の真似事で切り刻んだ紙眉を拾う手を止めて、二人に一言「シンデレラはお掃除上手」っと、言ってみると、顔を見合わせて朱瞬時に指までお姫様になって、すっかりきれいにしてくれました。「ありがとう」の声を背中に、もうシンデレラはとまりません。爪先立ってかぼちゃの馬車に乗り込んで廊下に去って行きました。途中できっと靴を落とすのでしょう。子ども達はみんなが夢と実現を繰りながらしなやかに成長して欲しいと願う毎日です。
松尾幼稚園 日野 昭文
長い夏休みがおわり、楽しい思い出をいっぱいつくった真っ黒に日焼けした園児たちが、幼稚園に戻ってきました。
「先生、あのね、おばあちゃんの家に泊まりに行ってね。。。。。」「おじいちゃんと○○に行ったよ。」「川であそんだ」「かぶとむしをつかまえたよ」。次から次へと園児たちが口々に話してくれます。「そうなの、よかったね。」「どんな所かみんなに教えてあげてね」「わあ、がんばたんだ。すごいね。」
「わたし、お母さんと一緒にごはんつくた」「毎日犬のさんぽに行った」「ぼくは、もうおむつしてないよ」。「幼稚園でもみんなとクッキングしようね」「ウサギさんのお世話もお願いね」「おむつがとれてよかったね」。
夏休みのたくさんの体験が、園児たちをたくましく成長させてくれました。
衣笠幼稚園 杉本 五十洋
どの子の顔も紅潮している。照れかくしなのだろうか目を合わさないようにしているが︑凛とした気高さのような雰囲気がある。
今朝までのあの子とは思えないギャップを感じるのはなんだろう︒今︑そんな子にどのような言葉をかけて私の思いを伝えればよいのか戸惑いながら結局は「頑張ったね!」とありきたりの言葉しかかけてやれなかった。それは、先ほどの我々でさえ不可能な素晴らし完璧なマーティング演奏をやり遂げた子ども達の中に間違いなく我が子も真剣な表情で入っていたことへの驚きと感動を全く伝えられない言葉であった。年長組の卒園間際の音楽祭での鼓隊演奏を観た保護者の感想である。このような体験を子ども達が、保護者ができるのは、自らの意思で集中した子どもの集団がやり遂げた時にだけなのです。このような子ども自身のヤル気をもって達成した瞬間が輝いている!
同志社幼稚園 堂腰きみ子
雨降りの幼稚園。「ママー」と涙の出る年少児を連れていると、テラスに一人、賑やかな教室を離れてたたずむ年長児Yちゃんがいました。「ひとりで雨の音を聞いている。」とのことなので、しばらく一緒に雨音を聞きました。すると、園庭に点在する水たまりを指して、「水たまりがキリンの模様みたいでしょ?」。Yちゃんの素敵な表現力に、三人がパッと笑顔になりました。
翌朝、カラリと晴れた園庭で、「先生、おはよう!」と元気な声が。昨日泣いていた年少児です。すると、昨日から残る水たまりを指して、「先生、キリンさんの模様だね。」とニッコリ。もう涙は出ていません。いつまでもアスレチックの高い場所から、キリンの模様を数えていたのでした。近くにいた年少の子ども達も、つられてキリンの模様を数えました。
張り切って年少児のお世話をしてくれる積極的なお兄さん、お姉さんもいますが、目立たないけれど、目には見えない素敵な感性や優しさを、そっと年下の友達に伝えてくれている子もいます。保育者の関わりがなくても、子ども同士で影響し合い、育ち合う瞬間がありました。
天授ケ岡幼稚園 福田 義明
「オハヨ」、バスの先生に手を繋がれ登園、F子が「シェンシェー」と抱きついてくる。
4月入園当初は「ママー」と泣くことしかしなかった。今は自分から挨拶して、存分に遊びを楽しむ。自分の我が儘を通すと叱られているF子。叱られることに慣れてしまった感じ、「ゴメンテシャイ」と頭を下げることも覚える。
「カシテ」の言葉の意味を理解せず使い、友だちの使っている玩具を強引に取り上げてトラブルになる。「アリヤト」と貸してもらえた時に言う。「ジュンバン」と待つこともある。
友だちと一緒に生活することで、いろんなことを身体で覚え、言葉にしようとするF子、一人で絵本を見ていることもあります。誰もいない部屋で先生のマネをしている、思わず「くすり」。毎日の園での生活が成長の場、自分を出せる場、喜びを感じ安心して過ごしている。全面的に信頼し、全身で慕ってくれる。
なかなか言う機会がないけれど、〝有り難う〞を伝えたい。「シェンシェー」、この言葉が聞きたくてまだまだ頑張ります。