輝く瞬間

【輝く瞬間】 2017年 3月

光明幼稚園園長 田中 雅道

 ぼくの木
 「ぼく、この木、登れたんや。」
 嬉しそうな顔をして年長の子どもが近寄ってきました。多くの園で憧れの年長さんが登っている姿を見て、いつか登ってみたいという木があるのではないでしょうか。園庭にある木は、様々な形で子どもに語りかけます。
そのような誘い掛けに子どもは、いつか自分で克服できる日を夢見て生活しています。子どもにとってその木は、自分が登りたいとずっと思っていた木なのです。幼児期は環境による教育を行なうことが重要とされています。
それは園庭にある木のように、普通に存在しているだけのものが、一人一人の子どもにとって違う意味を持ち、違う働きかけをすることを重要視しているからです。
 小学校でも学校探検で校庭にある木を観察しますが、学習の一環として行われるため、先生は“葉の形”や“枝の付き方”などその単元の狙いに添った言葉かけをします。目的に添った学習をする小学校と、環境を通して学ぶ幼稚園では、園内にある木の意味も違っているのです。