輝く瞬間

【輝く瞬間】 2021年 12月

八条幼稚園 園長 中浦正音

 お誕生日会に、くすのきしげのりさんの「あったかいな」という絵本を読んだ。「いのちって あったかいね」で終わるこの本
が大好きだ。数日後の朝の徒歩通園。手をつなぐAちゃんが「園長先生の手あったかいね」と言い、私が「Aちゃんと手をつなぐともっと暖かくなったよ」と答えた。それを聞いていたBちゃんが「生きているからやでー」。私は身体全体がホカホカになった。しばらく歩きながら、子どもの頃母と雪だるまを作った日の事が思い出された。冷たくなった手に母が手を重ねて暖めてくれた原体験。同時にAちゃんやBちゃんが素敵なお父さんやお母さんに成長して子どもと手をつなぐ日が来るんだろうなぁ、と想像した。今Aちゃんと繋ぐ手と手の間には過去のぬくもりと未来の希望が包まれていた。寒いけれど朝の日の澄んだ光に包まれている、輝く瞬間だった。