輝く瞬間

【輝く瞬間】 2022年 2月

北白川幼稚園園長 山下太郎

 私は年長児に蕪村や芭蕉の俳句を教えています。ある年のこと、雪の降り積もった日にAちゃんがたくさん「俳句」を作ってきました。その中に「いやだなあ」で始まる句がありました。次の七文字は「もうすぐ終わる」と続きます。私はここで園児全員の顔を見て尋ねました、「最後の五文字は何だと思う?」と。すると、申し合わせたように、「ようちえん!!」と返事が返ってきたのには驚かされました。屈託のない子どもたちの顔を見ていると、日ごろは人生や将来について難しいことは何も考えていないかに見えますが、この時期の年長児たちの思いはみな一つなのでしょう。幼稚園は楽しい、でも、いつまでも幼稚園児ではいられない。これは、年長児を持つ保護者の思いとも重なるように思われます。卒園式の後、こんな「俳句」をもらったことがあります。「悲しかった 園にさよなら またいくよ」。卒園式までの残りの一日一日を大切に過ごしていきたいと思うこの頃です。