【輝く瞬間】 2022年 10月
八条幼稚園 総務 中浦 正悟
~泥の中 誰が咲かした 蓮の花~
秋は実りの秋と言われますが、大根、お芋等の他に蓮根も旬であります。おべんとう箱の歌や野菜スタンプで子ども達も親しみ深い野菜ですが、仏教に於いてもお浄土に咲く花として蓮は尊ばれています。泥の水の中で美しく咲く蓮を苦しみや悩みに満ちた世の中で輝く仏の姿に例えて語られています。コロナ禍にあって心が沈み閉塞感が拡がる社会にあって、変わらぬ子ども達の笑顔や元気な歓声は、正しく蓮の花であり、私達大人にとっての未来への希望そのものでしょう。
さて、先日五歳児の男の子から「蓮根には何故穴があるの」と聞かれました。とっさに穴を通して男の子を見ながら「相手が見えるように空いてるの」と答え、笑顔で見つめ合いました。後日しっかりした答えを伝えなければと思い調べたところ、「蓮の穴は地下茎だけにあるのではなく、そこから出ている地下の茎やそこからでている葉柄の中にもあり、葉から地下茎に続く空気の通り道」である事が分かりました。それによって葉から地下茎へ空気が送り込まれ、泥の中にあっても窒息しないですむようになっているのです。地下茎から花や葉へ泥の水の中にある栄養分を上へ届けると同時に、上から穴を通して空気が送られるという循環が、美しい蓮の花を咲かすのでした。
子ども達の笑顔に元気をもらいながら、大人も子ども達に対して精一杯の愛情を送り続ける・・・。あの時の男の子への答えもあながち間違っていなかったなぁと思うのです。厳しい社会状況は続いていますが、光はすぐそこに見えています。