輝く瞬間

【輝く瞬間】 2024年 2月

京都聖母学院幼稚園 園長 寺井 朝子

 ある寒い日の朝、花壇の土が少し盛り上がっていて、よく見ると霜柱が見えていました。これは珍しいと思い、登園する子どもたちに、「これ見て!」と手招きすると、寒さで登園を渋っていた子も「何?」と足早に近づいてきました。

 「これ、なぁに? キラキラしてる。」年少の女児が言うと、私が答えるより早く年長の男児が「霜柱やで! テレビで見たことある!」と一言。触ってもいいかと尋ねられ、「どうぞ」と土塊を目の前に差し出すと、その子は手袋越しにそっと触りました。けれど、繊細な霜柱は手袋越しではなかなか感触が分かりません。自ら手袋を取り素手で触ると、すっと溶けて指に水滴がつきました。「うわぁ、溶けた。」自分にだけ聞こえるような小さな声でつぶやいたその子はとても嬉しそうに笑ってこちらに応えてくれました。

 実際に見て、触れて体験したことは、動画や図鑑などで得た知識とは違った快感があったようです。園での経験が、子どもたちの沢山の好奇心とその後の「大好き」に繋がっていきますように。