輝く瞬間

【輝く瞬間】 2024年 3月

認定こども園紫野幼稚園 園長 渡邊 大修

 生命の息吹を感じて

 一年で最も寒い一月末のある日、年長児が園庭の落葉したブドウの木の前で話し合っています。「何か膨らんでる」「これは何?」ブドウの新芽を前に、口々に意見を出し合っていたのです〝これはチャンスだ〟と思って口をはさみました。「これは葉っぱの芽だよ。春には大きな葉になるからね。まだ寒いけど、この木はもうすぐ春が来るのを知っているんだよ。園庭にはほかにも同じようなものがあるから探してみようか。」そう言うと、こどもたちは一目散に駆け出します。そして「枝に芽があるよ」「チューリップの芽が土から出てるよ」などと、この時期特有の発見をしていました。

 冬に見られる葉の落ちた木は、一見すると「枯れている」かのような姿をしています。しかし、そこには確実に生命があり、よく見れば生命の息吹を感じられます。「こどもたちには、いつも感性を研ぎ澄ましていてほしい」。そう思わされた冬の一コマでした。