新連載

『青年教職員とともに進みましょう』4回シリーズ(4)

『青年教職員とともに進みましょう』

日本児童文学者協会会員
                  中西  実

 わたしは、5年前から、京都市内で『せんせのがっこ』(中西教室)を立ち上げ、青年教師の実践力を高めるための学習会を組織しています。かつてわたしが青年だったころも、ベテランの先生方に随分叱咤激励されて支えられてきましたから、その恩返しのつもりで活動しています。

 さて、近年、ヨーロッパのある国の洞くつで、大昔に書かれたと見られる大きな落書きが発見されました。そこに記されていたことばは、「最近の若者は、なってない!」。この事実からもお分かりのように、いつの時代も若者は非難されやすい対象であるようです。でも、果たして、ほんとうにそうなのでしょうか。阪神・淡路大震災や東日本大震災などで、すぐ現地に飛び、献身的に救援活動をしているのは圧倒的に青年たちだし、文化やスポーツなどで大活躍している青年もたくさんいます。

 ここで、中西教室に熱心に参加してくれている青年を二人紹介しましょう。一人はTさん。東京の会社で数年働いてきたのに、何気なく読んだある教育書に感化され、苦労の末、教師の道に入ってきた青年です。まだ数年しか経っていないのに、すばらしい実践をしています。実は、先月の『せんせのがっこ』の例会で実践報告をしてもらったのですが、その内容といい、進め方といい、わたしなんかがいなくても、すばらしい学習会になっていました。もう一人のYさん。彼女は、講師時代がわたしと同じ職場ということもあって、何かにつけてわたしを頼ってきてくれました。「この学級通信、真っ赤に添削してください」、こんな要求もしてきました。苦手なピアノにチャレンジするなど、学ぶ姿勢も人一倍あり、砂漠に水がしみ込むように何でも自分のものにしていく人でした。(この人の実践は、三木順子という仮名で、3冊目の拙著『笑顔あふれる子育てのひ・み・つ』にくわしく紹介している。興味のある方はご一読を)

 さて、これからの教育界は、いろんな意味で厳しさを増していくことでしょう。でも、未来は明るいとわたしは感じています。なぜなら、情勢が厳しければ厳しいほど、青年たちは貪欲に学んでいくし、仲間たちと力を合わせて困難を乗り切っていくようになるでしょう。もちろん、壁にぶつかった時には、その都度、的確なアドバイスをしてあげたいものです。でも、そんな場合でも、「君は弱輩者だから、わたしが教えてあげる」というような高圧的な姿勢はとりたくありません。わたしたち自身に、青年たちからも謙虚に学ぶ姿勢がいります。まさに、「切磋琢磨」。お互いが信頼しあえる関係になれば、すばらしい教育実践が展開されていくのではないでしょうか。

 ともに、明日を夢見ながら進んでいきましょう。