新連載

「龍短における幼稚園教員の養成1:実習の体系」 4回シリーズ(1)

「龍短における幼稚園教員の養成1:実習の体系」

龍谷大学短期大学部 准教授 森 久佳

  

 龍谷大学短期大学部では、2011(平成23)年度より「こども教育学科」という学科が新たに立ち上がりました。これまで保育士養成の機関として、その歴史を50年近く積み重ねてきました本学は、こども教育学科の開設により、幼稚園教員の養成も行うことになりました。幼稚園教諭と保育士資格の両方を取得することが(とりわけ短大において)当然視されている近年の傾向からみると、本学はいわゆる後発組といえるでしょう。

 新学科が開設されて2年目に入りましたが、幼稚園教員養成に関する実習や就職等の進路のことなど、すべてが初めてのことばかりであり、暗中模索、試行錯誤の日々を過ごす中で、ようやく1年が過ぎたというのが率直な感想です。それでも、昨年入学した学生は早くも卒業年次生として、日々学生生活を楽しく過ごしている様子が窺えます。
そうした中で、本学の一教員として私が養成等について感じてきたことや考えてきたことを、今回、この連載の場を借りて、少しばかり述べさせていただきます

 まず、本学の教育実習の体制について紹介します。本学は、教育実習を観察実習(1週間)と本実習(3週間)の2回に分けて行います。実習を行う時期は、観察実習の場合、1年次の2月下旬頃に1週間、そして本実習の場合は2年次の10月頃に3週間、となっています。この原稿を執筆している段階(2012年8月)では、こども教育学科の2年生は、今年の2月に観察実習を終え、10月の本実習に向けた準備を行っている状態です。

 さて、先に実施した観察実習に関しては、お世話になった園の先生方から、戸惑いのお声を少なからず頂戴しました。その主なものは、「1週間では短すぎる」、「1週間という実習は聞いたことがない」といったものです。(京都に限らず)他の大学や短大では、2週間を2回に分けて行うパターンや、4週間を一括して行うパターンの実習が多いようです。1週間+3週間というパターンも見受けられるのですが、その場合、最初の1週間を大学の付属幼稚園で行うのがほとんどのように思われます。しかし、本学には付属幼稚園がなく、そのため、観察実習の1週間もさまざまな幼稚園にお願いすることになったのですが、この点が、実習を引き受けていただいた幼稚園の先生方に少しばかり異例のことのように感じられたようです。このことを受けて、本学では幼稚園実習のより良いあり方について、早速検討に入っているところです。

 とはいえ、1週間という短い期間の実習でも、お世話になった幼稚園の先生方のおかげで、学生たちは多くのことを学ぶことができたようです。例えば、幼稚園教諭の仕事の特徴や求められる力量、子どもの育ちの特徴などについて、学生たちは自分なりの発見をして、いろいろな形で理解を深めることができました。次回は、そうした学生の学びの様子等を報告させていただきます。