新連載

「公益社団法人への移行にあたって」 2回シリーズ(1)

公益社団法人への移行にあたって

公認会計士・税理士 木田 稔
(監査法人グラヴィタス代表社員)

 平成25年4月1日をもって、貴協会におかれましては、公益社団法人京都市私立幼稚園協会に移行されました。ここに謹んでお慶び申し上げます。

 すでにご高承のとおり、公益法人改革のもと、全国で約24,000の社団財団は、公益社団財団法人あるいは、一般社団財団法人への移行を求められております。貴協会におかれましては、教職員の資質の向上と幼児教育の充実を図り幼児教育の振興に寄与することを目的に、公益性がより強く求められる「公益社団」への移行申請を決定し、その事業等が新制度における公益法人とすることがふさわしいと京都府公益認定等審議会に認められました。これは、歴代の役員の先生方はもちろんのこと、協会を構成する私立幼稚園の園長・設置者、教員の先生方の教育や協会活動への熱心な取組みがあったからこそと尊敬しております。

 今般、会報記事を2回にわたり寄稿させていただく機会を頂戴いたしました。今回は、今後、貴協会が公益社団として事業を運営されるうえで特にご留意いただくべき事項についてご説明させていただきます。

 貴協会が行う公益目的事業が公益認定基準に適合することが求められます。ここで、「公益目的事業」とは公益法人認定法では「学術、技芸、慈善その他の公益に関する別表各号に掲げる種類の事業であって、不特定かつ多数の者の利益の増進に寄与するもの」としています。 

貴協会の公益目的事業を、

  1. 今日的・未来的な課題と展望を踏まえた「特色ある幼児教育」に関する推進事業
  2. 特別支援教育に関する推進事業

 と大きく分類し、幼児教育等の調査・研究事業、助成事業、教育研修事業を行うことになります。

 これらの事業については、公益社団法人に移行前から行われているものですが、今後は、より一層「不特定多数」、つまり社会全体の利益を増進することに寄与しているかという観点から事業を行うことが求められています。具体的には以下の事項に留意することが必要です。

  • 調査研究事業については、テーマの選考にあたり、大学・研究機関の教育・研究者等の有識者が関与し、調査の内容や結果に関して、報告書、ホームページ、研修大会等で不特定多数の者がその内容を閲覧できるようにします。
  • 助成事業については、応募の機会が一般に開かれており、また選考にあたっては有識者からなる選考委員会で決定され、その結果についてホームページ等で公表され、また、助成対象者からの報告をうけるようにします。
  • 教育研修事業については、研修参加の機会を開くため、ホームページ等で内容を掲載し参加者を募集することとなります。

 今後は、上記の事項をふまえ、事業の内容と実施方法、成果の公表方法を継続的に検討し、幼児教育の諸課題に取組むための事業を実施することとなります。研修活動や支援活動を行い、情報発信をしていくことで、教育環境、ひいては社会の在り方もより良い方向へ変わっていくことでしょう。その結果、社会一般の公益に寄与することが期待されています。