「とんでもない間違い」3 回シリーズ(3)
とんでもない間違い
佛教大学 教育学部
近年は殊のほか雨も雪も限度を超えよく降ります。全国各地でたくさん被害も出ています。
そんな雪も適度な量なら園の子どもたちにとっては最高のプレゼントになります。
園に到着するや否や、早速園庭に出て雪遊びを始め『雪』を歌っています。その時です。
♪ゆきやこんこん あられやこんこん♪
と歌っていることがよくあります。
♪ゆきやこんこ あられやこんこ♪
が正しく、これは本来「雪よもっと降れ、あられよもっと降れ」という表現で、♪ゆきやこんこ あられやこんこ♪なのです。
このような間違いは枚挙に暇がないくらいあります。
『どんぐりころころ』では、平気で、
♪どんぐりころころ どんぐりこ お池にはまってさあたいへん♪
と何の疑問もなく歌っていることがあります。「どんぐりころころ どんぐりこ」では池に落ちることができません。「どんぶりこ」で初めてお池にはまり、さあ大変になるのです。
五月には、『鯉のぼり』を歌います。
♪屋根より高いこいのぼり 大きなま鯉はお父さん♪
と歌ってしまうことがありますが、原譜では「大きいま鯉は お父さん」で、当然次の「ひ鯉」は「小さいひ鯉」なのです。
そういえば、『くつがなる』では、
♪晴れたお空に くつがなる♪
なのに♪晴れたみ空に くつがなる♪と歌っている人が多いようです。
『おたまじゃくし』の
♪尾がでてきたら 手が取れた♪か、 ♪手が出てきたら 尾が取れた♪
か、時折混乱することがありますが、後者が正解です。
『汽車ポッポ』は、
♪汽車汽車 しゅっぽしゅっぽ♪ ではなく、タイトルの通り軽快に、 ♪汽車汽車 ポッポポッポ♪ なのです。
また、伝承遊びの『かごめかごめ』は、 ♪籠の中の鳥は いついつでやる♪ ではなく、
♪籠の中の鳥は いついつである♪ なのです。
『とんぼのめがね』の2番は、
♪とんぼのめがねは 水色めがね♪ ではなく、 ♪とんぼのめがねは ぴかぴかめがね♪ なのです。
子どもの歌ばかりでなく、大人が歌う歌にも誤解をして歌っている歌があります。この際挙げてみましょう。
身近なところで、『ふるさと』は、 ×♪うさぎ美味し かの山♪→○♪うさぎ追いし かの山♪
『赤とんぼ』は、 ×♪追われてみたのは いつの日か♪→○♪負われてみたのは いつの日か♪
なのです。
私たちは曲が楽譜と違っているとすぐに間違いを指摘しますが、歌詞が聞達っていても平気で歌ってしまっているのは
どうしたことでしょうか。
言葉の持っている意味をもっと大事にすることが大切で、大きな役割を持っていることに気付きましょう。
子どもの耳に入れることば、特に歌の言葉は正しく耳に入れておきましょう。リズムを通して入る言葉の意味にもっと
心を配りたいものです。
先生の口から通して子どもの耳に入る言葉は、非常に価値があります。
美しい日本語を子どもたちに与えるとそれが根底になり子どもの言葉は豊かになります。
そのことを「耳習い」といって大切にしたいものです。言葉から情操を豊かにする心を育てて行くのです。
私たちはいつも正しく美しく、そして意味のある日本語を子どもに伝えているでしょうか