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【新連載】3回シリーズ(2)

 保育者の専門性について問う
─保育保健とは─

金沢星稜大学 福井 逸子

 今回は、保育者の専門性の中でも、特に「保育保健」というテーマを取り上げてみたいと思います。幼稚園現場では新学期のこの時期、新入園児を対象にトイレや手洗い、うがいの方法、衣服の着脱など、基本的な生活習慣の確立を目指した「保健指導」が行われています。一般的に幼稚園では、学校教育法ならびに学校保健安全法規定の下に、内科検診/ 歯科検診/ 眼科や視力検診など様々な健康診断が年間を通して実施されており、日々の幼稚園生
活においても子ども達の健康観察は保育者の必須事項となっています。それに対して、より専門的観点に立つ「保育保健」という言葉は、幼稚園の現場では、馴染みのない言葉ではないでしょうか。

 兵庫県医師会発刊の『保育所・幼稚園における健康管理マニュアル』では、保育現場における、日常的な観察のポイントとして、「か・き・く・け・こ」に留意すべきと記載されています。【か:顔つき・顔色】 子どもの表情に眼力があるか、顔色が悪くないか。【き:機嫌】機嫌が悪くて親から離れられない、理由もなくずっと泣いている。不機嫌というだけでなく、実は中耳炎や尿路感染症、鼠径(そけい)ヘルニアなどの疾患が隠れていることもあるそうです。【く:食い気(食欲)】 子どもは病気になると途端に食欲が落ちて、食べられなくなります。さらに重症の場合になると、水分摂取もできず、脱水症状に陥ります。【け:元気】 子どもは健康な時は元気に動き回っていますが、急にじっとして動かなくなった、眠いわけでもないのにぼんやりとしている場合は、発熱の有無や呼吸の状態など全身のチェックを心掛けると良いでしょう。【け:元気】け:元気 子どもは重症の疾患になると呼吸が浅く、速くなることが多いと言われています。普段よりも呼吸数が多く、努力呼吸が見られる場合は、呼吸困難とならないよう、直ちに適切な処置が必要です。

 しかしながら、園児の健康観察・保育保健を行う保育者は、上記のような疾病や異常を発見するだけでなく、心身の健康のひずみを思わせる変化や、何気ない子どもの訴えなどのソフトサインも見逃せません。そして、気になる子どもの親には助言をしたり、親同士の交流の機会を設けるなど健康面でのサポート体制の強化、保護者への健康指導も、昨今、保育者の重要な役割となっています。

 さらに、幼稚園では、子どもの生活の場となる施設の通風や換気、気温や湿度、採光の調整、砂場やプール、遊具や玩具など子どもを取り巻く全ての環境に対する安全面の配慮と衛生管理も必須です。

 近年、幼稚園は、3 歳児保育、3 歳未満児保育等、入園児が低年齢化しており、日々の保育の中で子どもの生命を守り、育てることが以前にも増して重要な課題となっています。保育者は、個々の子どもの健康問題に適した対応が行えるように、日頃から子どもの健康に関わる知識や技術を身に着けておかなければなりません。この姿勢も保育者としての専門性のひとつではないかと考えます。