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【新連載】3回シリーズ(3)

 保育者の専門性について問う
─同僚性─

金沢星稜大学 福井 逸子

 最近、保育の現場では、「同僚性」という言葉が良く聞かれます。「同僚性」とは、小学校以降の教育現場では、同僚同士が授業を見合い、それぞれの知識や経験を行き来させながら、相互に授業力を高めていけるような関係やあり方を指します。保育現場には、「授業」は存在しませんが、園内研修、クラス会議などを通して子ども理解を深め、専門性を高め合う関係を「同僚性」と呼ぶようです。

 文部科学省の「今後の教員養成・免許制度の在り方について」の答申の中では、社会の変化への対応や保護者等からの期待の高まり等を背景として、教員の中には、多くの業務を抱え、多忙感を抱いたり、ストレスを感じたりする者が少なくないことを指摘しています。このような現状の中でこそ、学びの共同体として「同僚性」を十分に発揮していくことが課題ではないでしょうか。昨今、保育現場でも、業務内容の拡大と共に、多様化する保護者のニーズへの対応などが山積しており、心の健康を損なう人も少なくありません。このような時こそ、保育者同士が互いにサポートし合い、同僚間で学び合い、教え合う園内体制が整えば、ストレス軽減に繋がるのではないかと考えます。

 さらに、現行の『幼稚園教育要領解説』では、保育者間で、互いに指導事例を持ち寄り、話し合うなどの園内研修の充実を図ることの必要性について言及されています。この記述からも、保育の専門性を高めていくこと、即ち、自分の保育の見直しやより深い子ども理解の習得には、同僚間での連携が欠かせないことが理解できます。

 しかしながら、その一方で、昨今、保育者がバーンアウトしないように保育業務の効率を図ることも推奨されています。限られた時間の中で、保育者の専門性を担保していくためには、会議の方法や研修体制の見直しを考えていく必要があります。そこで、私は、ある保育現場で「振り返りノート」と「赤ペン先生」と命名した実践を行いました。「振り返りノート」は、日々日記をつけるような感覚で、目の前の子どもの印象的な場面とそれに対して気づいたことを二つの柱(その子どもの行動の意味と自らの保育のあり方)で取り上げ、A 4 一枚以内に書き留めました。その中から毎月一事例を選択して、集まったものをまとめ職員室で順次、チエックをして回覧していくという方法です。各自のチエックポイントは、この場面では、子どもの姿が頭に浮かんでこない?この気づきは、別の見方をしてみることも必要なのでは?等どちらかというと批判的な見方(クリティカルな思考)で取り組むことを目標にしました。保育者同士の共感は大事ですが、そればかりだと、保育の専門性の向上には繋がりません。当初、若い保育者が先輩保育者には、意見を書きにくいという課題もありましたが、若い保育者から回覧して自由に意見を書き込めるように配慮しました。慣れてくると他者からの意見を基に自らの子ども理解や子どもへの関り方がフィードバックされる効果も見られました。このように、同僚性は、互いに成長し、高め合っていく関係であり、集団になくてはならないものであると考えます。