新連載

【新連載】3 回シリーズ(2)は、今回はお休みします。

2018年夏の「政令私幼 京都大会」に向けて
〜私幼から未来の社会へ〜

京都市私立幼稚園協会 会長 升光 泰雄

 青空が広がるこの季節になると、私はよく高い空に昇っていっては、昼間自分がバタバタとして動き回っている地上を眺めています。それでも愛宕山のてっぺんくらいが関の山で、自分たちがどこに向かって進んでいるのかはその高さからではなかなか見えてはこないようです。人工衛星から地球を見ると、日本は夜でも明かりがたくさん点っていて、列島の形が分かるくらいだと言うのを聞いたことがあります。特に人口の多い大きな都市、政令指定の都市などは「なかなか眠らない街」の最たるものなのでしょうね。

 全国の3 〜5 歳300 万人程の幼な子の多くは大きな都市で生まれ育ち、その1 割近くの30万人くらいの子どもたちは政令都市の私立幼稚園で過ごしています。「寝る子は育つ」と言いますから、人が生きるのに夜も明るい町というのは少々不思議で、不自然なところがあるのでしょう。しかし実際、そこでたくさんの子どもたちが育っているのですから、子どもたちがゆたかにのびやかに自分らしく過ごせる環境や、モデルとしての人の営みを力を合わせて作っていくのが、私たち私幼に関わる者たちが担っている課題なのだと思います。

 政令都市が結びついて、私幼の団体協議会が作られています。毎年順に大会を開いて今日的なテーマで学び確かめ合う時間を持っていますが、58回目を数える来年の夏は京都での開催が予定され
ています。

 そこでは、それぞれの私立幼稚園が持ち味を生かして、自分たちの役割をゆたかに果たし続けていくために、私幼団体はどう在ったらいいのか考える場を持つことは、これまでと同様に大切なことでしょう。しかし、さらに私たちは幼な子と子育て世代の若き「家庭人(かていびと)」たちが自らを育む環境としての幼児教育の現場から未来の社会に向けて、どう行動し何を発信し続ける必要があるのかを確認しなくてはならないのではないでしょうか。

 少子・高齢の社会、真の真のワークライフバランス、地域コミュニティの再構築…。どの社会問題への糸口も、「人が人として自分らしく生きる」という、精神生活の自由の問題として社会が向き合えるかどうかにかかっている気がするのです。

 政令私幼からのささやかな確認・発信であったとしても、あらためて幼児期の教育のかけがえのない意味と、いのちあふれる有機的な未来の社会作りを、現場の熱い思いとして、行政の皆さま共々につむいでいけるような大会でありたいと思っています。

 そのために、みらい館の館長であり私たちの愛する永田萠先生の人間味あふれる基調講演と、「はぐくみ憲章」を共に作り今レジリエント統括として未来の社会の在り方を思い巡らす契機を与えて下さる(※)藤田裕之氏の基調提案を大会のはじめに共有し、心に響かせ合いながら、私幼団体の方向を模索できればと願っています。

 京都大会に各政令都市から、来年7月に仲間が集まって来ます。京都の皆さまもどうぞご予定に
お加え下さい。

※「レジリエンス」については、協会で行った特色ある!研修会での概要をあらためて『共に』で掲載する予定です。