新連載

【新連載】3回シリーズ(2)

保育者養成雑感(2)

大谷大学 冨岡 量秀

 さて今回2回目となりました。引き続き養成に携わって感じていることを「雑感」として書かせていただ
こうと思います。

 前回、養成校の養成の高度化と出口(就職)のニーズの中、保育者養成校へ進学してくる学生の多くは、モチベーションの程度は様々ではあるが、「子どもが好き」や「先生への憧れ」などから、幼稚園教諭免許・保育士資格の取得を目指して進学してきています。しかし現在、養成校には、多様な課題を抱える学生が多く進学してきているのも事実ですし、養成の難しさも各校が実感していることですと書きました。その中で、各養成校が抱えている共通の問題として「ミスマッチの問題」があると思います。

 養成課程では、ほんとうに多くのことが求められていますし、カリキュラムも過密を極めています。幼稚園教諭免許のカリキュラムと保育士資格のカリキュラム、それに加えて各校の独自性を出すようなカリキュラムが加わります。この各校の独自性を出すものが、いわゆる各校の「売り」に繋がっていくと思います。これらを特に短期大学部では2年間で学生に取り組ませるわけですから、入学から卒業まで休むことなく「走れ!」とばかりに取り組ませていくわけです。このプロセスを走りきる原動力は「子どもが好き」や「先生になりたい」という熱い思いでしょう。しかしそれだけでは難しいのです。それは実際の現場も同じことだと思います。養成校でいえば、過密なカリキュラムですから、どうしても1時間目からの授業が多く組まれることになります。そして半期15 回の授業実施は必須であり、実習などで授業ができない場合は、土日に補講を設定されることが多くなります。また遅刻欠席を厳しくしている養成校がほとんどかと思います。さらに各科目(演習や実技系も多い)からの課題も多く出されます。つまり基本的な学習(修)習慣と基本的な生活習慣が身についていなければ、学生自身が「しんどい」のです。特に基本的な生活習慣は大切かと思います。実習もありますし、卒業後、先生というお仕事をする上で基本的なことだ思います。

 またコミュニケーション力も重要です。多くの受験生は面接などで「コミュニケーション力」があると自己アピールしますが、その多くは明るさ、ハキハキしているなどの一般的なコミュニケーション力です。しかし保育者の専門性としてのコミュニケーション力は、チームとしてお仕事をするうえでのコミュニケーション力であり、保護者の話に傾聴し、寄り添い、そして共に歩んでい行くという質のコミュニケーション力が求められているかと思います。つまり「大人」になることが求められる訳です。そのような意味で、私は保育者養成の学科やコースの学生は他の分野の学生より、社会人として、そして大人として素敵に育っていると思います。ちょっと贔屓目ですが。

 というか、それくらいの思いで、どの養成校も学生を育てていると思うのです。だからこそ途中で諦めたり、しんどくなって来れなくなってしまうことにつながるミスマッチを本当に減らしたいと思っているのです。このようなミスマッチを少なくするためにも、各高校ともっと連携し、保育者の専門性への理解を共有する努力を今後もし続けなければならないと考えています。