新連載

【新連載】3 回シリーズ(2)

「センスオブワンダー!」

京都森林インストラクター会 会員 板倉 豊

 最近特に幼稚園や保育園の自然観察会を引き受けることが多いいのですが、子供達はキノコを見るとすぐに「これ食べられる?毒キノコ?」と聞いてきます。変わった虫や植物を見つけると「名前は?!」と聞きます。いちいち答えますが「これはイヌビワ!名前はビワだけどイチジクの仲間だよ!」と説明しますが、子供達はメモすることもないので、その場で忘れてしまいます。現場で指導する先生方も植物や鳥や虫の名前を全部知っていなくていいのです、かくいう私も全部は知りません!あの有名な女性の生態学者のレイチェル・カーソンは著書の「センスオブワンダー」の中
で「もし、あなた自身は自然への知識をほんの少ししか持っていないと感じていたとしても、親として、たくさんのことを子供にしてやることができます。―中略―台所の窓辺の小さな植木鉢にまかれた一粒の種子さえも、芽を出し成長していく植物の神秘について、子供達と一緒にじっくり考える機会を与えてくれるでしょう。」と名前など知っている必要はまずないと言っています。

 最近自然観察会を行った某幼稚園の先生からこんなお礼のメールをいただきましたのでご紹介します。

 「今回改めて、小さな自然のひとつひとつに目を向けてみることでたくさんの発見がありました。鹿などの動物が降りてくる獣道があったり、木の実を食べた後があったり、蜘蛛の巣ひとつをとっても、糸にかかった虫が体液だけ吸われて体が残っている様子を見ることができたり、普段は見過ごしてしまっていることに目を向けられる良いきっかけになりました。川にはたくさんの鳥がいて、カワセミが魚を取る様子や、鵜が羽を乾かす様子なども観察でき、身近にこんなに素晴らしい自然があることに感動しました。子どもたちはお家に帰ってからたくさんお話ししたようで、保護者
の方からは『普段幼稚園の様子をぜんぜん喋ってくれない子なのに、この日は一晩中話し続け、気になったことを図鑑やネットで一緒に調べ、土日には散歩をしながら板倉先生に教わったことを、目を輝かせながら話してくれまた!』」

 自然観察会を企画した森林インストラクターにとってこんな嬉しいことはありません!

 ところで実際に自然観察会を企画するとき依頼者側では経費や日時の設定にとても苦労されているようです。半年も前に年間の行事を決めて保護者に通知しておく必要があるそうで、年度の途中で観察会なんか入れられませんよ!とのこと、悩ましいですね。京都森林インストラクター会の事務局には叱られそうですが個人的には経費はおひるご飯か交通費の実費で十分です!教え子に(元某大学の環境教育の教員でしたので)保育士、小学校教員が多くよく頼まれますが食育をやっている保育園ではそのサンプル試食で十分でした。日時の設定も雨天予備日さえたくさん用意しておけば
対応が可能です。ある保育園では「おおきな おおきなお芋!」の向こうをはって「雨でもかっぱと長靴と雨傘でランラン!カエルやカタツムリがたくさん見られるよ!」と雨天決行となりました。

 ご相談に乗りますのでまずは森に行う!川に行う!植物園に行う!公園に行う!

 最後に、またレイチェル・カーソンの言葉「私は、子供にとっても、どのようにして子供を教育すべきか頭を悩まさせている親にとっても、『知る』ことは『感じる』ことの半分も重要ではないと固く信じています。子供達が出会う事実の一つ一つが、やがて知識や知恵を生み出す種子だとしたら、さまざまな情緒や豊かな感受性は、この種子を育む肥沃な土壌です。幼い子供時代は、この土壌を耕すときです。」