新連載

【新連載】生活と絵本を紐付けて…行事と絵本   4回シリーズ(4)

絵本でSDGs 推進協会代表 朝日 仁美

偉人と絵本

 「偉人」を辞書で引くと〈偉大な人・すぐれた人・大人物〉(広辞苑 岩波書店)と載っています。もう少し分かりやすく言うとするなら、歴史に名前を残すようなすごい仕事をした人・多くの人から尊敬される人とでも言い換えることができるかと思います。学校図書館などにはこのような人物について書かれた伝記というジャンルの本があり、皆さんも読んだことがあるのではないでしょうか? 絵本でも偉人の生い立ちや功績を綴った作品が出版されています。今回は「伝記絵本」について紹介します。

伝記絵本を読んでみよう

 伝記と聞くと戦国武将や発明家の本と思う人も多いと思いますが、絵本に関係する人についても描かれているのでその本から紹介します。

 イギリス湖水地方の田園風景の中、いたずらなウサギ ピーターが登場する「ピーターラビット」のお話は世界中で読み継がれ、キャラクター商品としても馴染みがあるかと思います。このシリーズを生み出した女性について描かれた『ピーターラビットのふるさとをまもりたい ビアトリクス・ポターものがたり』(廣済堂あかつき)を読むとこのシリーズがなぜこんなに読み手を惹きつけるのかが分かります。

 『おやゆび姫』や『雪の女王』といった多くの名作童話を世に残し「童話の王様」と呼ばれたアンデルセンの伝記は『アンデルセンの夢の旅』(西村書店)で読むことができ、アンデルセンの明言や人物像、そしてたくさんの作品について知ることができる絵本になっています。

 ポターやアンデルセンの描いた物語を読んだ後、その作品を作った人について知るといろいろな気づきがあり、再度読んでみたくなると思います。伝記絵本は文章量もあり、大人が読んでも十分楽しめるものが多いのでぜひ手に取ってみてほしいです。

 「切り傷などに貼る絆創膏はどうやってできたのか?」そんなこと考えたこともないですよね。そこで『「いたいっ!」がうんだ大発明 ばんそうこう たんじょう ものがたり』(光村教育図書)を読んでみてください。百年以上前の実話を基にしたお話です。素敵なご夫妻の思いやりからこの発明がうまれ、今につながる製品になっていることが分かります。何度も繰り返される商品開発の苦労や発明者の「誰かの役に立ちたい」という思いを絵本から知ることができます。ユーモラスに描かれた絵も必見です。絵だけお話が分かるよい絵本としておすすめします。

生活と絵本を紐付けて・・・

 絵本を軸に4回コラムを書かせていただきました。子どもの読書離れなどと昨今言われていますが、毎月新しい絵本がたくさん発売されます。またロングセラーと呼ばれる読み継がれてきた名作もたくさんあります。この中から何を読んだらいいのか?と迷うこともあるかと思います。そこはあまり難しく考えず、子どもたちと一緒に「今」を楽しみながら絵本探しをして読んでみてほしいです。時には想像したお話と違ったり、ちょっと内容が難しかったりするかもしれませんが、それは読んでみたから分かることです。そんな経験も後に役に立つ時がきっと来ると思います。今回のシリーズで物語絵本以外のジャンルを少しだけ紹介しました。子どもたちの興味はその時々、日々変化しています。その変化に近くの大人が気づき「今だ‼️」と興味を深めて知識に変化させていってほしいです。絵本はそれができるツールだと思っています。勉強のためではなく、楽しみながら学ぶ時間は思い出となり、その経験はそれぞれの財産として心と頭に刻まれていくことでしょう。

 拙い文章で絵本から広がる多方向な世界を紹介した4回でした。いかがでしたでしょうか? 子どもたちと一緒に読み手の大人が楽しむことが大事だと最後に再度伝えておきます。これからも多くの方々に絵本で楽しく、幸せな時間が過ごせることを祈っています。