新連載

【新連載】幼児期の子どもへの関わりにおいて 大切なこと4 〜子どもがなぜ不登校を選択するのか〜   4 回シリーズ(4)

京都府・京都市スクールカウンセラー臨床心理士 大下 勝

 これまで私自身の小中高のカウンセリング活動を振り返って、幼児期の子どもへの関わりにおいて大切なことをお伝えしてきました。最後となる今回は、不登校と幼児期の体験についてお話したいと思います。不登校はずっと教育現場での大きな課題となっていますが、不登校とは何なのでしょうか、どうして不登校が起こってしまうのでしょうか。

まず、現在の不登校対応は学校に登校することを絶対と考えずに子どもに寄りそった方法と環境で教育的支援を行う方針に変化してきています(文部科学省生徒指導提要2022年12月)。そして現場の声として、学校を休みがちの子どもたちからは、友だちとうまくいかなくて居場所がない、学校のルールがどうしても苦痛に感じる、勉強が全くわからなくてつらい、周りと同じようにできないのがつらい、親や先生が自分のしんどさをわかってくれないなどの悲鳴と言っていい困りや苦しさをよく耳にます。その背景には、性格特性や愛着課題、家庭環境、周りの理解不足などが影響している場合があり、発達や学習において診断がでるレベルのものもあります。これらは子どもたち自身ではどうすることもできないものが多く、自分自身のこととしてこれからずっと抱えて生きていくしかない重大な課題がほとんどです。ですので、周りの支援が本当に大切になります。そしてそのためには、子どもが自分の困りの核心に気づいて、それを隠さずに周りに相談する必要があります。しかし、これは簡単なことで
はなく、とても怖いことと感じる子どもが多いようです。私見ですが、不登校とは、学校における困りにうまく対処できず、適切な支援もなかったため、子どもが自らを守るための最後の手段として選択した行為であると言えます。このように考えると、不登校はあくまで結果であり、それ自体に良し悪しはありません。
「不登校はよくないので、学校行きなさい」と強く言っても子どもは動けないのです。子どもの困りとその背景を理解し、子どもに合った対応を考えないと意味がないことが良く分かると思います。国の方針もそのように変化しつつあるのではないかと考えます。
幼児期は以前の掲載でお伝えした通り、言葉を覚えはじめるとても重要な時期です。感じているものを言葉で表現する練習や、安心できる環境で、正しいとか間違っているとかを気にせずに自分の思いを話せることが大切です。その体験がきっと怖がらずに周りに頼ってもいいと思える子どもの感覚につながっていくと思います。

子どもたちが未来の課題を乗り越えるために、今体験してほしい大切なことをお伝えしてきましたが、いかがだったでしょうか。あまり具体的ではなかったかもしれませんが、子どもとの関わりの軸となる姿勢についてはお話できたかと思います。少しでも教員の先生方の一助になれれば幸いです。貴重なお時間をありがとうございました。