活動報告

中堅教員研修会 ~同僚性の中での保育のスキルアップ~

公益社団法人 京都府私立幼稚園連盟
理事長 藤本明弘

 公益社団法人京都府私立幼稚園連盟は、次年度も子ども達の健やかな成長のために、保育の質を向上させることを何よりも重視することは今さら言うまでもありません。そしてそのためには、様々な研修事業の更なる充実が求められることは疑う余地がありません。研究の京私幼として先達の先生方が切り拓いてくださった様々な研修活動に、加盟園の皆さんは積極的に参加することを通して、自らの保育のレベルアップとスキルアップを図っておられます。日々の保育終了後に自主的に受講する先生方や、自園の先生方を積極的に運営委委員や受講生として研修会に送り出して下さる、設置者・園長先生方に頭が下がる思いでいっぱいです。

 ご案内の通り京私幼では、新規採用研修会を皮切りに、研究総会や幼児教育相談研修会、京研大会、教職員運動大会、全体研修会、京研大会、地区研などさまざまな研修会を実施しています。特に新採研は地区での開催も合わせると、年間で合計10回も開かれており、新任の先生方にとっては非常に手厚い内容となっています。

 その反面、先生方にとって新採研を受講した後の京私幼の研修への参加は、各幼稚園や各自の判断に任せられているのが現状です。しかしながら2年目以降の学びも重要であることは当然であり、そこで次年度は経験年次を重視した研修体制を構築する第一歩にしたいと考えております。将来的な全体像としては1年目、3年目、5年目、7年目、10年目というふうに切れ目のない年次ごとの研修会を目指していきたいと思います。

 年次ごとの研修会の目的は大きくは二つあると考えます。ひとつは保育者としての資質向上を連盟として縦断的にフォローアップすること。もうひとつは、同僚性を重視して日々の保育の中での様々な学びや課題や悩みを同期という中で認め合い、高め合うことです。

 特に同僚性は近年、教育界で非常に注目されており、保育者の専門的な力量を形成するためには、同僚の援助や助言がきわめて大きな役割を果たすことが改めてクローズアップされています。もちろん通常は園内での関係性の中で使われることが多いのですが、新採研という非常に中身の濃い研修をグループ活動を主として受講した点では、同じようなことが言えるはずです。

 新制度が始まる今だからこそ、京私幼のすべての加盟園が質の高い保育を実践していることを社会に発信し、認知されるためのも非常に重要な取り組みになると考えます。最初の試みとなる次年度は、既存の研修会を利用しながら、経験年数ごとの先生方の参加を呼びかけてまいりますので、皆さまのご理解・ご協力を何卒よろしくお願い申し上げます。

平 成 27 年 度 予 算 案

公益社団法人 京都府私立幼稚園連盟
理事長 藤本明弘

[ 政府関係予算 ]

1 月 27 日 ( 火 ) に全日私幼連の団体長会・理事会が開催され、来年度予算に関して以下の通り行政報告がありました。

 

矢野和彦 私学助成課長

・私学助成に残る園も新制度に移行する園もどちらにも配慮して欲しいとの全日からの要望であったが、結果として両者とも充実したパーフェクトピッチングの結果となった。

・新制度の認定こども園への移行は約 17.6%であり、その時点で 42 億円が削減されるはずが、結果的に 35 億円減にとどまり、実質 7 億円増。

・預かり保育事業 2741 園減のため、本来は 9 億円減のはずが 4 億円減にとどまり、実質 5 億円増。

・私学助成一般補助は園児 15450 人減のため総額 3 億円減のはずが 1 億円減にとどまり、実質 2 億円増。

・上記のように当初はマイナススタートのはずが、結果的に 30 億程度増額となった。

・学校耐震化は来年度で公立はほぼ完了するが、私立幼稚園は 6 ~ 7 割にとどまっており、更なる促進を図る為に、施設への交付税措置が初めて実現できそうな気配。

・学校法人への個人寄付の税額控除要件の緩和が図られた。

 

渕上孝 幼児教育課長

・幼児教育の無償化に向けて、就園奨励費の更なる充実(第II階層、市町村補助拡充)

・26 年度当初予算 339 億→27 年度 402 億に増額(63 億増)この 6 年間で総額が倍増するという画期的な伸びを示す

・世帯年収 270 万円以下の第II階層世帯の負担を月額 9 千円→3 千円に引き下げ(11 万人対象)

・市町村に対する補助の拡充→市町村の超過負担の解消が実現

 

[ 京都府関係予算 ]

少子化対策総合戦略事業費(第三子以降保育料無償化事業)が全国に先駆けて新設され、第三子の保育料の無償化が実現します。京都府としては 8 億円の予算規模で平成 27 年度より実施の方向で府議会も通る見込みです。

・条件は、4月1日時点で 18 歳未満の子どもが3人以上いる世帯で、保育所は年収が約 640 万円まで、幼稚園では約 680万円までの世帯が対象。

・京都府内では第3子以降の約 75%に当たる約7千人が対象。

・山田知事の英断による画期的な本事業を各幼稚園でも積極的に広報し、京都府と連動して少子化対策に寄与することが何よりも肝要です。

年 頭 所 感

公益社団法人 京都府私立幼稚園連盟
理事長 藤本明弘

 新年明けましておめでとうございます。旧年中も京私幼連盟の諸事業に対しまして、大変温かいご理解・ご協力を賜り心より御礼申し上げます。

 さて、ご案内の通りいよいよ4月から子ども・子育て支援新制度がスタートします。京都府ならびに府内の各市町村の子ども・子育て会議においても、今後5年間の事業計画が策定され、国のスケジュール通りに進められようとしています。とは言うものの消費増税の時期が2015年10月から2017年4月に先送りされたことを受け、ただでさえ制度そのものの安定感や財政基盤が乏しいこの制度がますます脆弱なものに映ることは否定できません。

 国の見解は増税が先送りになっても、4000億に関しては既に確保済みということのようですが、これは量の拡充に使われるものであり、質の改善には反映されません。しかもその大半は首都圏の待機児童解消につぎ込まれるのが現実のようです。

 年頭にあたり、この新制度を改めて考えた時、そもそも平成21年に民主党政権から提案された新システムと呼ばれていたこの制度を産みだした発想自体が、非常に些末であり、現場の現状や意見を無視したトップダウン的なものであったことを痛感します。

 しかしながらその一方ではこの10年間に京私幼連盟の加盟園の園児数は約4,800人減少し、いまだに減少を続けています。もちろんこれは少子化によるものも一部ありますが、その原因の大半は保育園への流失によるものです。今まさに幼児教育の灯りがこれ以上小さくなることに何らかの手を打つべき局面に差し掛かっているということを、それぞれの建学の精神と私学の独自性をいかに保つかという命題の中で、私たちは自覚する必要があります。

 もちろん様々な理由により保育を必要とする家庭が、社会福祉の中でしっかりと守られることに決して反対するものではありません。しかしながら今の国の施策やこの新制度が本当にこの国の将来を見据えているとは到底考えることは出来ません。目先の「待機児童」という社会現象を何とか解消するための施策の先に本当に豊かな未来があるのでしょうか。

 そんな中、京私幼連盟は一枚岩の組織としての団結力を維持しながら行政と一体となり、安易な保育園化ではなく、質の高い幼児教育の中で親子が共に育ち合える京都方式の子育て制度を構築する方向を今年も模索しています。京都ならではの豊かな未来を見据えた「京都方式」のために、皆さまの更なるご理解・ご協力をお願いいたします。
本年も何卒よろしくお願い申し上げます。

第7回 都道府県政策担当者会議の報告

公益社団法人 京都府私立幼稚園連盟
振興担当副理事長  野 波 雅 紀

 去る10月7日に全日私幼連「第7回都道府県政策担当者会議」がアルカディア市ヶ谷において開催され、参加してまいりましたので、その概要を報告いたします。

 冒頭、全日私幼連香川会長より「8000園の私立幼稚園が組織を挙げて団結すること、組織を通して交渉することに価値があり、推進の原動力になることに理解を賜りたい」とのごあいさつで始まり、総務省、文部科学省などからの報告がありました。

 【地方財政について】 総務省自治財政局調整課長 境勉氏より
 そもそも就園奨励費は国の予算不足のために市町村が「超過負担」を行っており、平成25年度については国が本来補助すべき額の77.3%しか市町村に措置されておらず、事業の執行に支障を来している状態が続いています。そのため総務省から文科省に対して申し入れをしていて、文科省からは平成27年度の新制度スタートまでに完全解消する約束になっています。来年度は「超過負担」が生じないよう概算要求で確保する方針です。

 【平成27年度概算要求について】文部科学省高等教育局私学部私学助成課長 矢野和彦氏より
  平成27年度の概算要求について説明がありました。
  私学助成全体の要求額は、5,030億円(前年比673億円増 +15.4%)
  そのうち経常費助成費補助は1,076億円(前年比35億円増 +3.4%)

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 また、施設・設備の整備に604億円(前年比517億円増!)のうち、耐震化推進に511億円が計上されています。都道府県別耐震改修状況調査結果によると、平成25年4月1日現在、京都府の私立幼稚園は耐震化率58.7%で沖縄県に次いで全国ワースト2でした。昭和56年以前に建築された園舎が府下全体の66.7%(全国トップ)を占めており、古い園舎が多いことがうかがえますが、京都府におかれては今年度より府独自に耐震改築への補助を実施してくださっていることもあわせて、早期に対応する必要を感じました。

 【無償化について】
 9月の全日私幼連PTA総会において下村文部科学大臣より2020年(平成32年)までに無償化を実現するとお話しになりました。実施については段階的に取り組む見通しで(下図参照)、まずは来年度は5歳児のみ所得制限を推定年収360万円未満として実施する方向で調整が進められています。
実現に向けて一層の働きかけをしていくところです。

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 【市町村子ども・子育て会議について】 全日私幼政策委員の先生方より
 これから各市町村の議会で利用者負担額の審議が大詰めを迎えますが、利用者負担額は公立と私立ともに同額であるべきこと、幼稚園と保育所はともに同じ基準に立つことがこれからも一貫して主張していただきたいことです。
  そのような中で早くも利用者負担額が公表された市町村があり、例えば、
  大阪市 1号保育料第V階層(市民税211,201円以上)…3歳児19,900円、4歳以上児17,200円
  高松市 1号保育料第V階層…14,200円 (公私同額で公立は値上げ、私立は値下げ)
     2号保育料…保育所と認定こども園は同額
 などの報告がありました。国基準からどれだけ引き下げるか交渉していきたいところです。

  間もなく消費税増税か据え置きかの判断が発表されることでしょう。たとえ来年秋から10%に増額されても増収分が収入になる平成29年度までの公定価格単価は毎年度の予算編成過程で決められます。来年の単価もいまだ「仮」のまま。また、質の改善全てを実施するのに必要な1兆円のうち消費税増税分が財源の0.7兆を除く0.3兆は消費税財源ではないことから財源確保の見通しは立っていません。そのような中で京都府の私立幼稚園は全国一の私学助成をいただいています。大変恵まれた教育環境が整えられていることを痛感したとともに、先の見えないこの制度には極めて慎重な見極めが必要であることを再認識しました。

新制度への移行に関する意向調査について

公益社団法人 京都府私立幼稚園連盟
理事長 藤本明弘

 平成26 年9 月17 日( 水) に政府の子ども・子育て会議( 第18 回会合) が開催され、来年度から始まる子ども・子
育て支援新制度について、文部科学省が7 月に全国の私立幼稚園と認定こども園を対象に実施した新制度への移行等に
関する意向を取りまとめた調査の結果が公表されました。

 この調査によれば、(回答した幼稚園6,805 園)
  27 年度に新制度へ移行する→795 園(11.7%)移行する方向で検討中→ 710 園(10.4%)
  27 年度に新制度に移行しない( 検討中を含む)→ 5,300 園(77.9%)この5300 園のうちで
  28 年度以降新制度に移行する方向で検討中→878 園(12.9%)
  28 年度以降新制度に移行するかどうか状況により判断→3,341 園(49.1%)

 ・27 年度に新制度に移行すると回答した幼稚園のうち
  認定こども園となって移行することを希望→825 園(12.1%)
   幼保育連携型428 園、幼稚園型368 園
  幼稚園のまま移行することを希望→585 園(8.6%)

 ・幼保連携型認定こども園については、(回答した535 園)
  新制度に移行する→458 園(85.6%)

 ・幼稚園型認定こども園については、(回答した391 園)
  新制度に移行すると→355 園(90.8%)

 ・幼稚園として小規模保育事業等の実施を希望または検討中→1397 園(24.5%)

  以上のような結果でした。

 ちなみに京都府内の意向調査結果も近日中に発表される見込みですが、大半の幼稚園が状況により判断するか、現時
点では移行予定がないという結果となるのではないでしょうか。その主な理由としては、言うまでもなく京都府にはど
の都道府県よりも高水準で安定した私学助成の基盤があり、現時点で多くの幼稚園において新制度に移行するメリット
は見当たらないからです。
 しかしながらその一方で、私立幼稚園ファン層が年々減少し、保育所に流れている現実を無視することが出来ないこと
も明白です。今のままでは将来の保護者の大半が保育園出身者という構図になります。質の高い教育・保育を担保する
ためにも、この流れにどのように向き合うのかが、今後の京私幼連盟にとって極めて大切な課題であることは言うまで
もありません。これからも一枚岩となりつつも各幼稚園の将来設計が求められているのです。今後ともご理解・ご協力
の程何卒よろしくお願い申し上げます。

新制度に向けて更なる共働を

公益社団法人 京都府私立幼稚園連盟
理事長 藤本明弘

 平成27 年度4 月からの子ども・子育て支援新制度の実施に向けて、先月末には京都府・京都市において新制度の説明会が実施され、それを受ける形で各幼稚園に意向調査が実施されたところです。京都府の説明会では文部科学省から幼児教育課の林企画官を講師として、内閣府の統括官も同席した形で行われましたが、改めて現時点でも私たち現場の置かれている状況が全く配慮されていないスケジュールであることが浮き彫りとなりました。

 公定価格の単価のイメージは示されたものの、依然として肝心の利用者負担額は示されず、9 月1 日からの園児募集の要綱に盛り込める状況にありません。平成27 年10 月に予定されている消費税の10%への増税分を確保するためにやむを得ないとは言え、全く形式的な手続きに現場は振り回されるばかりで、このような中で次年度以降の各幼稚園の意向を尋ねること自体が、非常に無理があることは言うまでもありません。

 そのような中、今回の新制度への対応は都道府県により様々で、大きく異なっています。大まかにまとめると、新幼保連携型認定こども園への移行を考えていた幼稚園も、低い公定価格のため、現状のまま残る幼稚園が予想以上に多いようです。また既に認定こども園に移行した園が混乱している状況です。例えば県レベルで認定こども園を強力に推し進めてきた兵庫県では、既に認定こども園に移行している幼稚園から多くの深刻な不安が寄せられているとのことで、公定価格に県独自で上乗せする要望をしているようですが、非常に厳しい現状です。また、東京都の江戸川区では、従来は区から毎月私立幼稚園の保護者に26,000 円の補助金が出ていて全国的にも有名でしたが、新制度の実施を機会にこの制度の廃止が検討されています。これだけ大きな補助金が突然打ち切られると、幼稚園も保護者も大混乱をきたすことは間違いありませんが、行政と私立幼稚園のせめぎ合いが行われています。また東京都の公立幼稚園の保育料も大幅に値上げされることが検討されており、国として幼児教育に係る経費の削減の姿勢が浮き彫りとなっています。

 改めてそのような状況を俯瞰した時、私ども京都府内の私立幼稚園に対する補助制度と先の形が定まらず、安易に幼稚園と保育所を合体させる認定こども園という制度を冷静に比較すると一線を画していることのメリットを感じずにはいられません。しかしながら京私幼の加盟園がこのような選択ができるのも、京都府の山田知事と京都市の門川市長の私立幼稚園への大きなご理解と支援の賜物であることは言うまでもありません。

 私学助成と就園奨励費という先達の知恵と努力が詰まった、私立幼稚園にとって大きな大きな補助制度を大切にしながら、これからの社会の要請にどのような形で応えていくべきなのか、このことを真ん中に置きながら、各幼稚園が置かれている地域の状況の中でどのような道に進むべきかがいよいよ問われています。加盟園の皆様の絶大なるご理解・ご協力に感謝申し上げますとともに、今後の更なる共働を心よりお願い申し上げます。

子ども・子育て支援新制度の動向

公益社団法人 京都府私立幼稚園連盟
理事長 藤本明弘

 政府は4 月23 日、平成27 年4 月から始まる子ども・子育て支援新制度における公定価格の仮単価のイメージを発表しましたが、資料は非常に難解で、個別の運営費の総額を算出することは極めて難しい内容ですが、概要を読み取ると予想されていたこととは言え、基礎的部分の単価は非常に低いものです。加算されることで10%ほど上積みが可能なケースもあるようですが、これも現段階では何とも言えない状況です。その上、この給付体系の特徴は特定の事業毎に補助が給付されるという仕組みですので、加算されるためには、積極的に特定の事業に手を挙げて実施していくことが求められます。私学助成と言う大きな財布から、園独自の取り組みが実施出来る現状とは大きく異なります。

 また、政府は5 月22 日、で普及を図るとしていた認定こども園について、個別サービスに応じて施設に支払う運営費(公定価格)で優遇しない方針を自民党プロジェクトチームに示しました。しかし、実は平成23 年8 月に子ども・子育て関連三法が成立した時の付帯決議には、幼稚園や保育所から認定こども園への移行が進むように「特段の配慮」をするとの文言が盛り込まれていたのです。今回この「特段の配慮」が見送られたことにより、今後、全国的に幼稚園などからの移行が進むかはますます未知数となりました。

 当時は、自治体の担当者に「公定価格の設定などによるインセンティブの付与で、移行を促進したい」と優遇を強調したほか、パンフレットでも財政支援の充実をうたっていました。しかし、子ども・子育て会議などで認定こども園だけを優遇することに反発する声が出たことから見送られたようです。ただし、金銭的優遇はありませんが、既存施設から認定こども園への移行を希望する場合、建物や敷地面積の認可基準を特例的に緩和する方針とのことです。

 また、新制度は、消費税増税分を活用した社会保障拡充の柱のひとつで、財源は保育の「量的拡充」と「質の改善」に振り分けられるとされています。保育施設や認定こども園などを増やす「量の拡充」については、微減にとどまり4070 億円が確保されましたが、「質の改善」は当初の6865 億円を大きく下回り、3003 億円となりました。子ども・子育て会議には急遽、森雅子少子化担当大臣が出席して「政府は1 兆円を目指していく姿勢に変わりはない」としましたが、財源の具体的確保は依然として未知数のままです。

 また4 月30 日には、政府より幼保連携型認定こども園の学級の編制、職員、設備及び運営に関する基準などの政省令がようやく出され、京都でも今後会議で議論され、条例化されます。京都市の場合当初は5 月市議会に上程の予定でしたが、政府が示した時期が遅れたため、9 月市議会を目指して議論が始まりました。

 各幼稚園への移行調査も今月実施予定ですが、京私幼全体研にて加盟園のみなさんと理解を深めたいと思いますので、ふるって参加して下さいますようお願い申し上げます。

今こそ叡智と繋がりを

公益社団法人 京都府私立幼稚園連盟
理事長 藤本明弘

 いよいよ新年度がスタートしました。加盟園の皆さまには、昨年度も京私幼連盟の諸事業に格段のご理解・ご協力を賜り、心より御礼申し上げます。また言うまでもなく特に昨年度は、京私幼連盟の創立70周年と同時に公益社団法人としての記念すべき年であっただけに、加盟園の皆さまには例年以上のお力添えを頂きながら、お陰様で新たな第一歩を歩み始めることが出来ました。誠に有難うございました。

 そして「子ども・子育て支援新制度」に関する国や都道府県や市町村単位での議論も開始され、京都府内においても「子ども・子育て会議」が設置されてニーズ調査が行われ、現在多くの市町村で集計の結果が既にまとめられています。今後はその結果に基づいて市町村ごとの5年間の量の見込みを予測した基本計画を策定し、例えば京都市では5月の京都市議会に基準条例案を提出するスケジュールです。

 念のために、5月というのは来年ではなく今年の5月です。つまりこれからひと月余りの時間の中で条例案の検討がなされようとしています。しかしながら、恐らく京都市だけではなく、京都府内の全ての市町村においても、新制度の方向性すら具体的な検討はまさにこれからであり、現時点ではニーズ調査で明らかになった量の見込みを整理しているに過ぎない段階です。そしてこれは決して京都府だけではなく、全国の都道府県・市町村も共通した状況であると思われます。

 そして国からは同じ位のスケジュールで公定価格の骨格が示される予定になっています。公定価格は言うまでもなく今後の新制度のみならず、私立幼稚園の方向性を示すもっとも重要なファクターの一つですが、決定的に財源が不足していることは既に報道の通りです。従って現時点では基礎的な公定価格は大方の予想を下回る可能性が強く、現状並みの運営をするためには、追加的な事業に積極的に手を挙げて給付の上乗せを受けなければ安定した運営は難しい状況です。

 しかし、これらの追加事業は誰の為に実施されるのか、果たして「子どもの最善の利益」と言えるかどうかは非常に疑問です。幼稚園が安定した運営をするためには、子どもの立場ではなく、大人の都合を優先する必要がある新制度の姿がいよいよ見え始めてきました。

 今後ますます重要かつ難しい局面を迎えようとしていますが、全国に冠たる「京都ならではの子育て制度」の確立のためにも、先達の先生方が70年の歴史の中で築いてきて下さった我々の宝物である、京私幼の叡智と繋がりを今こそ発揮する時であると確信しています。

 皆様方のなお一層のご理解・ご支援を何卒よろしくお願い申し上げます。

年 頭 所 感

公益社団法人 京都府私立幼稚園連盟
理事長 藤本明弘

 早いもので新年が明けてひと月余りが経過しました。ご挨拶が遅くなり大変失礼いたしましたが、本年も何卒よろしくお願いいたします。とりわけ今年は夏頃までに、子ども・子育て新制度に関する具体的な方向性が示されることになっているだけに、全ての加盟園の皆さまにとって、大変重要な局面であることは間違いありません。

 このような中で、国の子ども・子育て会議では改正認定こども園の基準に関する、保育の必要量などの具体的な議論も始まっていますが、相変わらず子どもがどのような環境で育つべきかという視点からの基準は全くみられません。例えば、親の就労時間が毎日 2 ~ 3 時間程度であっても、8 時間まで子どもを施設に預けられる案が提案されています。 また、週 30 時間程度の就労であっても、毎日 11 時間まで施設が利用可能となる案も議論されています。いずれも子どもの育ちは二の次で、あくまでも親の都合が最優先されているとしか言いようのない、子育ての肩代わり支援に他なりません。

 たとえ施設の開所時間が 11 時間であっても、保育時間はあくまでも 8 時間を上限とするのが当たり前で、これ以上の長時間保育を国が認めることは、世界の潮流と真逆の方向です。OECD 先進諸国の乳幼児期の教育・保育制度や少子化対策は、長時間保育ではなく、なるべく家庭で親が子どもと長い時間を過ごすことこそ、国家として重要と考えています。そしてそれを可能とするために社会全体で働き方を見直す方向にシフトチェンジしているのです。これが世界のスタンダードなのですから、仮に 11 時間保育が日本の標準と言うことになれば、日本は超長時間保育の国と言わざるを得ません。

 しかし、1 日 24 時間の 11 時間を施設で過ごす子どもたちは、睡眠時間を除いて一体何時間を親と一緒にいることができるのでしょうか。寝ぼけ眼の朝の 1 時間程度と、夕食をはさんだ数時間だけが家族の時間です。もちろん長時間の保育が必要な家庭があることは事実ですし、丁寧に対応することは否定されることではありません。しかしだからと言って、一日のほんの数時間しか親子で過ごせない制度を国が標準として認めて良いのでしょうか。教育基本法で規定された子育ての第一義的な責任は家庭ですが、このままでは新制度は法律に違反していると言われても仕方がないのではないでしょうか。

 このような親と子どもを引き離す施策を食い止めるためにも、私たち京都府私立幼稚園連盟は、質の高い「子育ての支援」を早急に更に充実させる必要があります。具体的には預かり保育の拡充であり、未就園の親子がつながり合える場などの提供です。そしてこのような「こどもがまんなか」の機能を積極的に社会発信することが求められる年になることは間違いありません。加盟園の皆さまの更なるご支援・ご協力を何卒よろしく願い申し上げます。

燈 々 無 尽

公益社団法人 京都府私立幼稚園連盟
理事長 藤本明弘

 深秋の候、早いもので師走が目前となりました。先日、開催させていただきました京私幼連盟創立70 周年記念大会には、準備の段階より加盟園の先生方には大変温かいご理解・ご協力を頂戴し、誠に有難うございました。心より御礼申し上げます。当日は三部構成の長丁場となり、皆様には何かとご迷惑をお掛けしたことと存じますが、大きな節目の記念の会を無事に終えることが出来ましたのも、偏に皆様のご尽力のお蔭であると重ねて感謝申し上げます。

 

 70 年という長い歴史を積み重ねるだけでも本当に有り難いことですが、京私幼連盟はその上に、受け継ぐべき大切で良きものは伝統として継承し、また、時代の変化に対しては、その時々に新たな役割の担い手として、社会の要請に応えてきました。70 周年という大きな節目を皆様とご一緒に迎えるにあたり、今回そういった京私幼連盟ならではの素晴らしい歴史の積み重ねを皆様と共に共有できたことは、大変意義深いことです。

 

 そして言うまでもなく京私幼連盟がこのように全国の中でも大きな注目を集めているのは、先達の先生方が叡智と、私立幼稚園に対するたゆまない情熱と、子どもたちに向けた深い愛情をお持ちになっておられたからであり、しかもそれが脈々と今も時代を超えて受け継がれているからなのではないでしょうか。

 新制度の行く末が未だに見えない、大変難しい時代を迎えようとしていますが、ここからの10 年間こそが、幼稚園にとっての正念場であることは紛れもない事実です。人が生涯に渡たって生きるための力の源である「根っこ」を育てているのが、幼児教育なのです。だからこそ幼児教育の質が日本の将来を決定するのです。つまり言い換えれば、今後の幼稚園の在り方こそが、日本の未来が輝かしいものとなるか否かという国家の最重要課題なのです。

 今こそ、先達の諸先生方が残して下さった、京私幼連盟の人と人のつながりという宝物を何よりも大切にしながら、誇り高き思いと、絶え間ない情熱と熱意と叡智と勇気を併せ持ちながら、更に強固な一枚岩の組織となり、新たな時代に向かい一歩を踏み出そうではありませんか。

 それぞれひとつひとつの灯はたとえ小さく、そして暗く、短くとも、それが2 つ寄りさらに10、100 と寄れば、灯は必ず少しずつ大きく明るいものとなります。しかも1 つの灯を次の世代へと点火していけば、どんなに小さな灯でも決して消えることはありません。

 日本の未来への夢を信じながら、これからの新たな一歩を共に力強く歩んで参りましょう。皆様の更なるご理解・ご協力を心よりお願い申し上げます。

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