巻頭言

燈 々 無 尽

公益社団法人 京都府私立幼稚園連盟
理事長 藤本明弘

 深秋の候、早いもので師走が目前となりました。先日、開催させていただきました京私幼連盟創立70 周年記念大会には、準備の段階より加盟園の先生方には大変温かいご理解・ご協力を頂戴し、誠に有難うございました。心より御礼申し上げます。当日は三部構成の長丁場となり、皆様には何かとご迷惑をお掛けしたことと存じますが、大きな節目の記念の会を無事に終えることが出来ましたのも、偏に皆様のご尽力のお蔭であると重ねて感謝申し上げます。

 

 70 年という長い歴史を積み重ねるだけでも本当に有り難いことですが、京私幼連盟はその上に、受け継ぐべき大切で良きものは伝統として継承し、また、時代の変化に対しては、その時々に新たな役割の担い手として、社会の要請に応えてきました。70 周年という大きな節目を皆様とご一緒に迎えるにあたり、今回そういった京私幼連盟ならではの素晴らしい歴史の積み重ねを皆様と共に共有できたことは、大変意義深いことです。

 

 そして言うまでもなく京私幼連盟がこのように全国の中でも大きな注目を集めているのは、先達の先生方が叡智と、私立幼稚園に対するたゆまない情熱と、子どもたちに向けた深い愛情をお持ちになっておられたからであり、しかもそれが脈々と今も時代を超えて受け継がれているからなのではないでしょうか。

 新制度の行く末が未だに見えない、大変難しい時代を迎えようとしていますが、ここからの10 年間こそが、幼稚園にとっての正念場であることは紛れもない事実です。人が生涯に渡たって生きるための力の源である「根っこ」を育てているのが、幼児教育なのです。だからこそ幼児教育の質が日本の将来を決定するのです。つまり言い換えれば、今後の幼稚園の在り方こそが、日本の未来が輝かしいものとなるか否かという国家の最重要課題なのです。

 今こそ、先達の諸先生方が残して下さった、京私幼連盟の人と人のつながりという宝物を何よりも大切にしながら、誇り高き思いと、絶え間ない情熱と熱意と叡智と勇気を併せ持ちながら、更に強固な一枚岩の組織となり、新たな時代に向かい一歩を踏み出そうではありませんか。

 それぞれひとつひとつの灯はたとえ小さく、そして暗く、短くとも、それが2 つ寄りさらに10、100 と寄れば、灯は必ず少しずつ大きく明るいものとなります。しかも1 つの灯を次の世代へと点火していけば、どんなに小さな灯でも決して消えることはありません。

 日本の未来への夢を信じながら、これからの新たな一歩を共に力強く歩んで参りましょう。皆様の更なるご理解・ご協力を心よりお願い申し上げます。

「子ども・子育て支援新制度」について

公益社団法人 京都府私立幼稚園連盟
理事長 藤本明弘

 この度の台風18 号により被災されたご関係の皆さまにお見舞い申し上げますと共に、一日も早く元通りの平穏な日常を取り戻されますことを心よりお祈り申し上げます。

 今年の4 月26 日に国の「子ども・子育て会議」が動きはじめ、5 か月が経過しました。その間、本会議は6 回開催され、専門部会である基準検討会議も5 回開催されています。全日私幼連からの速報や内閣府のH.P. などでタイムリーな情報が提供されていますから、ある程度の内容は皆さんもご存じかとは思いますが、非常に大まかにいうと、遅々として進まなかった当初と比べると、ここにきてようやくと言うのか、さすがにと言うのかは別にして、かなり動きがみられるようになってきています。

 本会議と専門部会を合計すると一月に2 回余りの開催ペースですから、5 か月の時間の中で動きが見られることは当然のことながら、新制度の理念や方向性といった入口の整理にこそ時間を要しましたが、ここからは施設型給付や公定価格を決定するなどの具体的な作業に入っていきます。大きな制度だけに初期作動に要するエネルギーと時間はそれなりに必要でしたが、一度ゴロンと動き始めるとひょっとすると加速度がつき、丁寧な運営がされないのではと危惧を抱いています。

 京都府では「京都府子育て支援審議会」が立ち上げられ、8 月8 日に1 回目が開催され、この会議がいわゆる「子ども・子育て会議」の京都府版の親会議となります。そして、その専門部会として位置づけされる「こども・子育て緊急支援プラン検討委員会」も設置され、こちらは既に計6 回開催されました。

 京都府では既にいわゆるニーズ調査のひな形も作成され、府内の市町村担当者にも説明がなされたところです。従って10 月から順次、府内の各市町村において、子育て家庭を対象としたニーズ調査が実施される見通しです。当初示されたニーズ調査の案は余りにも労働政策に偏り、子育てよりも仕事を選ぶことが親の選択肢のような錯覚すら覚えるようなものでしたが、京私幼連盟市町村対策委員会が中心となった京私幼としての意見を、京都府が相当な部分反映して下
さったことは非常に大きな成果であったと感じています

 しかしながら政令指定都市である京都市の動向も含め、これからがいよいよ大きな節目となります。京私幼として更
なる組織の一体化を重視しつつ、情報収集と発信に努めてまいります。加盟園におかれましても、それぞれの市町村の
担当者に向けて「子どもの最善の利益」「幼児教育・保育の質の担保と向上」「公私幼保間格差の解消」を柱に積極的に
ご発言頂きますようお願い申し上げます。

新たな一歩 ~ひとつになって~

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公益社団法人 京都府私立幼稚園連盟
理事長 藤本 明弘

 6月13日(木)の京私幼連盟総会において、正式に新たな理事・三役が承認され、京私幼連盟はいよいよ公益社団法人としての正式な第一歩を歩み始めました。

 このこと自体は創立70周年を迎える京私幼連盟にとって大変意義深い、素晴らしいターニングポイントですが、言うまでもなく、問題山積のこの時期に理事長の重責を再度担わせていただくこととなりました。大変力不足ではありますが、京都の子どもたち、保護者、加盟園、そして未来の京都のために全力で職責を果たしていく所存ですので、加盟園の先生方の更なるご理解・ご協力を何卒お願い申し上げる次第です。

 さて、子ども・子育て支援新制度もいよいよ少しずつ動きを見せはじめています。京都市を例にとると条例案が市議会に提案され、今月末に開催予定の京都市の「子ども子育て会議」に向けて、構成委員の選定作業にかかっているようです。約30名の委員で構成される全体会議が今年は3回程度開催されるとのことで、この全体会議以外に他の市町村でもいくつかの専門部会が設置されているようなので、恐らく京都市に置いても同様に専門部会が設置される見込みです。

 今までのところは国においても、地方においてもゆっくりとしたペースで動きはじめている訳ですが、今後は非常にペースをあげていくことが、国の描いているスケジュールから予想されます。例えば京都市でも9月にはニーズ調査を実施するとのことですし、基本指針、事業計画、施設の認可基準、保育の必要性の認定基準、公定価格、保育要領などは25年度中に国レベルである程度の結論が示されます。

 しかしながら今年開催される京都市の全体会議は3回しか予定されておらず、30人の委員からなる会議でこれだけのことを議論し、具体的に決めていくことは事実上不可能であることは誰にでも明白です。このような矛盾が京都府内だけでなく、日本中のあらゆる都道府県や市町村で現実のものとなる訳です。国が示した基準に安易に流れる地方が続出することが危惧されます。

 だからこそ京都府内においては「京都方式の新システム」の構築に向け、子ども子育て会議が決して形式的に終わらないように、子どもの立場から最初から最後まで粘り強く主張していくことが重要であると痛感しています。

 多くの先達が築いてきてくださったこの「京私幼連盟」という宝物には深くて固い絆があることを団体長として常日頃から本当に誇りに感じています。子ども達の笑顔のため、この国の将来の為に、加盟園の皆さまと更にひとつになって、上を向いて取り組んで参りたいと存じますので、何卒よろしくお願い申し上げます。

子ども・子育て新制度・幼児教育の無償化について

公益社団法人 京都府私立幼稚園連盟
理事長 藤本明弘

 第一回目となる国の「子ども・子育て会議」が4月26日に開催され、京都府においても地方版の会議の設置のための条例案がいよいよこの6月府議会に提案される見通しです。それに先立ち京都市では既に5月の京都市議会に条例案が提出されました。このように京都府内のみならず今後は全国の様々な市町村で動きが出始めることになります。
 当初は国レベルでの「子ども・子育て会議」が一定の方向性や結論を示してから、地方版がそれに沿った形で進められることが予測されていましたが、ニーズ調査の内容も含めて都道府県や市町村ごとに議論の方向性が異なる可能性が出てきました。もちろん子どもの成長・発達の視点が重視され、地域の特色が生かされるならば結構なことですが、親の就労支援ばかりに偏った方向にすすむことが危惧されます。
 このようにいよいよ子ども・子育て3法が実際に動き始めていますが、今後の京私幼の加盟園が進むべき道を模索していくためにも、改めて問題点を整理したいと思います。

<基本的スタンス>

1.子ども・子育て関連3法は、「総合こども園」構想、株式会社の参入など、廃案となったものの、我が国の教育制度の流れと大きく矛盾する考えに基づき法案化されたものであり、子どもの最善の利益を保証する立場を最重要視する私立幼稚園としては、根本的に受け入れることは出来ない。(昨年の3月30日に提出された法案に対しては全日本私立幼稚園連合会と全私学連合は反対を表明している。)
2.少子社会、待機児童は社会問題ではなく、これは社会現象である。本当に解決すべき問題や根本的な原因は目に見えないところに存在することを認識し、そこに真剣に政策をうたない限り、受け入れ枠を増やす方策ではいつまでたっても根本的な解決はしない。
3.子育て世帯が仕事に出るばかりではなく、ある一定期間は家庭で育児に専念できる社会を目指すべきである。その意味において今回の制度改革は極めて近視眼的で、場当たり的なものであり、すべてのしわ寄せは幼い子ども達や保護者や教育現場に向けられていることを国家として正面から認識すべきである。この影響が子ども達が成長する過程で我が国の将来に必ず歪となって、社会全体に重くのしかかることに責任をもって目を向けるべきである。
4.幼児期の教育は人格の形成の基礎を培っており、生涯に渡る生きる力の基礎を育む極めて重要な役割を果たしている。それだけにその教育効果はテストなどにより数値化できるものではなく、また決して短期間で成果を生むものではない。であるからこそOECD諸国は国家が責任を持ち、重要施策として質の高い環境のもと乳幼児期を過ごすことを国家として保障している。新制度の設置基準において現状の基準を下回るような特例が認められることがあってはならないと考える。
5.我が国の学校教育体系は「学校教育法」ならびに、その根幹法である「教育基本法」により子どもの発達段階に沿って定められている。今回の新制度における「教育基本法」第6条の適応は、幼児期のみならず、国家としての学校教育体系の全体を二分化する大問題である。従って本来であれば、広く教育現場の意見に耳を傾けながら、中教審などで慎重に議論されるべき極めて重要な内容である。今回のような結果ありきの乱暴な手続きは極めて遺憾であり、法律により整備されたとは到底理解しがたい。
6.幼児教育、学校教育、教育という用語が安易に各方面で用いられることは、保護者を含め社会全体に大きな混乱・誤解を生み、結果として幼児教育の質の低下を招く危険性を非常に多く含んでいる。従来より我が国の学校教育を担い、法体系を遵守してきた私立幼稚園としては、この度法律で定められたということだけで、これらの用語が安易に用いられることは容認しがたい。
7.「子ども・子育て支援新制度」の施設型給付の水準が明らかにされていない状況であるが、経過を見る限り公私幼保間の格差が是正されない方向で制度設計が議論されており、まずは公平な土壌を整えるべきである。

<今後の幼稚園の4つ選択肢>

  • 従来通りの幼稚園
    届け出が必要、従来通りの補助体系(私学助成、就園奨励費)

  • 施設型給付の幼稚園
    届けないと自動的に施設型となる、財政措置は施設型給付(市町村)による、保育料は市町村が設定する公定価格が基本となる、預かり保育の補助金は私学助成からは出ない

  • 改正幼保連携型認定こども園
    根拠法は認定こども園法となり、学校教育法の1条項に定められた学校ではなくなる、財政措置は施設型給付(市町村)が基本、保育料は市町村が設定する公定価格、幼稚園部分の預かり保育には補助は出ない、幼保育連携型と言いながら実質的に従来の幼稚園ではなくなる

  • 改正幼稚園型認定こども園
    施設体系は現行通りだが、財政措置は施設型給付(市町村)となる、保育料は市町村が設定する公定価格が基本となる、預かり保育の補助金は運営費補助金給付の対象とならず、しかも私学助成の預かり保育の補助からも外れる

 上記の通り、施設型給付を受ける幼稚園に移行するメリットは見当たらず、選択肢とは考えにくい。改正認定こども園は全ての類型が施設型給付となるのが最大の改正点であり、それにより幼稚園型であっても預かり保育に補助は打たれない、このため幼稚園型を施設型給付の外に出すか、安心子ども基金から補助を出す等の運動が必要である。また他にも以下の問題点が挙げられる。

  • 公定価格→国庫補助金は担保されるものの、地方交付税は一般財源化され市町村間で格差が生じる可能性が大きく、不安定な上、現状の保育料を上回ることは考えにくい。
  • 施設型給付→経営基盤を保証する考えではなく、あくまでも単価設定のため小規模園はかなり厳しくなる。将来的な施設整備費も支給されない見通し。
  • 民間保育所→基本的に従来通り、改正認定こども園に移行することは考えにくい。

 このように新制度には多くの問題が山積しており、「幼児教育の無償化」の実現のための運動展開が極めて重要であることが今まで以上に明確となってきています。そのことは私立幼稚園が全ての子ども達を受け入れるという幼稚園のユニバーサル化も意味しています。継承しつつも今日的な社会の要請に責任をもって応えていく必要もあることは間違いありません。京都方式の子育てシステムの創設に向け、皆様の更なるご理解・ご協力を心よりお願い申し上げます。
(今回は特集号のため合併号となりました)

新年度を迎えて

公益社団法人 京都府私立幼稚園連盟
理事長藤本明弘

いよいよ平成25年度がスタートしました。今年度は京私幼連盟にとって以下のように様々な点で非常に重要な一年間となります。

  1. 公益社団法人としての初年度
  2. 平成20年に法律改正されたことによるものですが、晴れて公益認定を受けたことに伴い、今後は加盟園のみならず、広く社会に向けた事業活動がますます求められることは言うまでもありません。

    各加盟園においても、私立幼稚園が求められている社会的な役割・責任が年々高まっていることを充分自覚し、園児募集の遵守、定員管理の徹底、園の内外への積極的な研修参加、学校評価の実施の徹底など様々な点で、それぞれの幼稚園が公益性を持つ時代に存在していることを自覚する必要があります。

  3. 京私幼連盟創立70周年
  4.  記念講演会並びに式典・祝賀会は11月9日に実施いたしますが、当日のみならず、今年度の全ての事業を創立70周年記念事業と位置付け、内外に発信します。

  5. 関幼連京都大会を主催
  6.  今年で、第115回という大変永い伝統を誇る関西幼稚園連合会教育研究大会を主催いたします。京私幼連盟が組織として大会運営に携わるのは今回が最終回となります。

  7. 子ども子育て関連3法への対応
  8.  各市町村で開設される地方版の「子ども・子育て会議」に各市町村で参画し、子どもの立場や保育の質の担保の視点から発言することが非常に重要となります。京都府では6月の府議会に条例案が提出され、会議が開設される見込みです。

  9. 幼児教育無償化への対応 
  10.  6月に中間の取りまとめが政府から示される予定ですが、全日私幼連は総力を挙げて署名活動を実施いたします。国家戦略として我が国が先進諸国並みの質の高い幼児教育を実現できるか否かは、私立幼稚園の存亡のみならず、日本の将来を左右する最重要課題であるという我々の自覚が必要です。

上記の通り、重要案件が目白押しの一年となりますが、問題山積と捉えるだけではなく、むしろ今こそ私立幼稚園が自己実現できるチャンスと捉え直し、積極的かつ前向きに向き合っていくことの中から、必ず道筋が見えてくることを確信しています。そのためにも、加盟園が更に一枚岩となり社会に幼児教育の重要性を発信し、公益的な役割を果たせるように更なるご理解・ご協力を何卒よろしくお願い申し上げます。

2本のレール ~「子ども・子育て関連3法」と「幼児教育の無償化」~

(社)京都府私立幼稚園連盟
理事長 藤本明弘

先月号の巻頭言において、私立幼稚園にとってこの平成25年は非常に大きな意味を持つ1年となることは間違いありませんと述べましたが、政府からの情報や新聞報道によれば、「子ども・子育て関連3法」と幼児教育の無償化の二本のレールがいよいよ同時に走り始めようとしている状況となってきており、今年が正念場ということが間違いない状況となっています。

「子ども・子育て関連3法」に関しては、今年の2月に内閣府・文科省・厚労省から出された資料によれば、平成27年4月スタートに向けて、平成26年度はじめには新しい枠組みの財政支援の骨格を示す予定であり、それを示した後で各施設に移行調査を実施するとのこと。つまり逆算すれば平成27年4月に入園や入所をするためには、遅くとも平成26年10月が保護者が入園・入所を判断する区切りの時期となるため、少なくともそれまでには詳細を決める必要があるというスケジュールになっています。また地方版子ども・子育て会議に関しては、国は今春に設置の予定ですから、例えば京都市も今度の5月市議会で地方版会議の設置のための条例を提案する見通しです。恐らく京都府内の市町村においても今後同じような動きとなることが予想されます。

一方、「幼児教育の無償化」に関する動きは平成25 年2月19日(火)、下村博文文部科学大臣は、記者会見で「政府と与党で幼児教育無償化に向けた連絡協議会を設置して3月からスタートし、6月までに中間取りまとめをする。財源確保については、これからの課題である。所得制限を設けないとしたら7,900 億円ぐらいかかる。大変な財源が必要で、政府全体として取り組むテーマ」と述べました。また、森雅子少子化担当大臣は「安倍政権で少子化対策は重要な政策。財源確保は大きな課題だが、なるべく早く一定の方向性を出したい」と述べました。

連絡協議会は、森少子化担当大臣、下村文部科学大臣、田村厚生労働大臣、自民・公明両党の内閣、文科、厚労各部会長らで構成され、連絡協議会では、無償化に向けて対象となる幼児を拡大していく時期や必要となる財源を確保するための方策などについて検討を進め、今年6月の参議院選挙までに具体策(中間取りまとめ)をまとめる予定とのことです。

6月末の参議院選挙に向けて「幼稚園・保育所・認定こども園」がどのような表現で政権公約に掲げられるのかが大いに注目されることは言うまでもありませんが、保育の質の担保に向けて、全国の私立幼稚園関係者が一丸となって向き合うことが非常に重要であることは間違いありません。加盟園の皆さんの更なるご理解・ご協力を何卒よろしくお願い申し上げます。

保育の質の保障のために~大きな意味を持つ一年間~

(社)京都府私立幼稚園連盟
理事長 藤本明弘

 新しい歳が明けて早くもひと月が過ぎました。年末の政権交代を機に日本経済は、にわかに円安に歯止めがかかり、株式市場も活気づいています。マーケットというものがこれほどまでに敏感に反応することに改めて驚きを隠せないと同時に、久しぶりの明るい話題に期待を持つ一方で、世界のマーケットが結果ではなく、雰囲気にこれほどまでに流される不安定さを感じる方も多いのではないでしょうか。

 そのような不安定な社会情勢の中ではありますが、私立幼稚園にとってこの平成25年は非常に大きな意味を持つ一年となることは間違いありません。それは言うまでもなく前政権時代に三党合意で可決した「子ども・子育て関連三法」と、政権与党に返り咲いた自民党が掲げる「幼児教育の無償化」が、いよいよ具体的にどのような内容で進められるかが決められるからに他なりません。

本来ならばどのような方向になるのかを、現場の私たちもきちんと整理をしながら、理解を得られるように時間をかけて丁寧に社会に発信していくことが大切であることは疑う余地がありません。しかしながらこれほど重要かつスケールの大きな問題であるにもかかわらず、時間は非常に限られており、具体的にはこの平成25年度が極めて大きな意味を持つことになります。その理由は言うまでもなく、消費税の増税のスケジュールと連動せざるを得ないからです。

 既にご案内の通り、実現に向けてレールに乗っている、税と社会保障の一体改革により、消費税が来年4月に8%に、平成27年10月に10%に、それぞれ引き上げられることが決定済です。そのタイムスケジュールが決まっている以上、私立幼稚園だけで議論することは残念ながら出来ません。

 しかしながら、幸か不幸か全国の中で京都府には認定こども園がひとつも存在しません。これは言いかえれば京都の幼稚園と保育所はそれぞれが、社会や家庭のニーズをきちんと役割分担をしながらしっかりと責任をもって受け止めてきた証でもあります。言い換えれば、トップダウンで安易な方向に流されるのではなく、それぞれの役割の中で、現実のニーズを大切にしながら、地域や家庭と向き合ってきた結果であり、それはとりも直さずまさしく「こどもがまんなか」の思いでいればこその結果なのです。

 難しくて、大きな、大きな課題ではありますが、改めてこのような局面こそ、目先の利益に流されることなく、あくまでも子ども達の為に、将来の日本の為に、京私幼連盟の皆さまが更に一枚岩となり「保育の質」を大切にしながら共に立ち向かってまいりたいと存じますので、より一層のご理解・ご協力の程何卒よろしくお願い申し上げます。

第27回 全日本私立幼稚園PTA全国大会に参加しました。

(社)京都府私立幼稚園連盟
副理事長 長澤 宗一

 平成24年12月5日,京私幼PTA連合会の宇治川博美会長をはじめ役員の皆様12名と,連盟三役・監事・理事5名の計17名で,東京アルカディア市ヶ谷にて行われた第27回全日本私立幼稚園PTA連合会全国大会に参加しました。東京へ向かう新幹線からは,雲一つ無い富士山が臨めました。

今年の大会テーマは,昨年度に引き続き「次代(あす)を担う子どものために~家族の絆に心ゆたかな子~ 」です。第1部では,全日本私立幼稚園PTA連合会副会長のあいさつのあと,森喜朗顧問がお見えになり私立幼稚園へ,熱いエールを下さいました。続いて大会テーマに沿って家庭の教育力の向上,幼稚園教育の充実・振興を図ることを目的として,「学びの第一歩としての私立幼稚園」を実現するため,常に努力することを誓った宣言が,保護者代表によって読み上げられました。

また第2部は,こどもがまんなかPROJECT・国際的支援活動の報告,続いて第3部の記念講演は,理化学研究所脳科学総合研究センターシニアチームリーダー御子柴克彦氏による,「次代(あす)を担う子を育てるために ~脳科学からの視点~」と題して行われました。神経細胞のシナプスが,親子の関わりでどのように変化するかを,わかりやすく説明されました。

大会の前に訪れた衆参国会議員会館では,京都府東京事務所の山内一所長様が館内を丁寧に案内して下さいました。衆議院選の期間中ということで議員の先生方にはお会いできませんでしたが,政策要望書を職員の方々にお渡ししました。

    
 

市町村対策委員会

(社)京都府私立幼稚園連盟
理事長 藤本 明弘

 子ども・子育て関連三法の成立に伴い、これまでの認定こども園制度が改訂され、幼保連携型および幼稚園型認定こども園に移行した場合、施設の指導監督が市町村となります。また、認定こども園のみならず「施設型給付」を受給する幼稚園になった場合も、保育時間や一時預かり事業などに制約を受ける可能性がある上、応諾義務や保育料も公定価格として一定基準が示されることになります。
現時点では相変わらず具体的な内容はほとんど見えないままですが、とは言え本格施行までの現時点での想定スケジュールには以下のように示されています。

  • 本格実施→平成27年度から
  • 公定価格の実態調査→平成24年度中に国が実施
  • 子ども・子育て会議設置→平成25年度当初から、国版・自治体版の両者が実施
  • 市町村・都道府県事業計画の検討→平成25年度当初から、自治体で実施
  • 保育計画の改定→平成25年度半ばから、自治体で実施
  • 準備組織→平成25年度当初から、自治体で実施
    (平成24年9月18日実 施子ども・子育て関連3法説明会 
    http://www8.cao.go.jp/shoushi/10motto/08kosodate/h240918/index.html 配布資料1より)

上記のスケジュールから明らかなように、市町村は地域のニーズを調査した上で、計画を策定し、給付・事業を行います。施設型給付を受けない幼稚園も、その計画に参画することが極めて重要です。

 そのためには、近々始まるとされている市町村レベルでの「子ども・子育て」会議の協議の場に、我々私立幼稚園関係者が京都府内の市町村で一つも欠けることなく、くまなく参画しバランスのとれた計画策定のための努力が必要不可欠です。

 具体的な市町村への働きかけは、連盟ではなく、あくまでも各地区ごとの事柄にはなりますが、市町村ごとにバラバラに対応するのではなく、京私幼連盟の中に市町村対策委員会を設置し、適切な対応、情報を共有化する必要があると考え、11月の京私幼連盟理事会にて提案し、承認され、各地区にも委員選出をお願いしたところです。

 今後も永年の努力により築かれてきた京都府との連携・信頼・協力関係はもちろん今まで以上に重視することは言うまでもありませんが、それに加え各市町村対応が重要となることを加盟園の設置者・園長先生方も充分認識頂き、今後の局面に京私幼が更に一枚岩となって臨んでいただきますよう、心よりお願い申し上げます。

平成25年度概算要求概要

(社)京都府私立幼稚園連盟
理事長 藤本 明弘

すでにご存じの方も多いとは思いますが、9月7日文部科学省は財務省に提出する平成25年度の概算要求の内容を公表しました。
概算要求の段階ではありますが、非常に厳しい状況の中にありながらも大きな要求額を引き出す結果となりました。概要は以下の通りです。

・就園奨励費補費 今年度 215億円→平成25年度 241億3,900万円(25億8,900万円増額要求)
補助単価の引き上げ…在籍率の高い第4階層に重点配分
第1~3階層→3,000円増 第4階層→6,200円増
 多子世帯負担軽減拡充…第1~3に限定だが、680万以上の所得の第4階層も対象となるように要望
  →保育所は上限ないのでまずは第3子に対し要求し、将来的には保育所並みに
・施設整備費 今年度 23億円→平成25年度 41億円(18億円増額要求) 
平成23年度まではほぼ10億円で推移していたが、震災以降24年度は例年より15億増え、平成25年度は耐震化にさらに18億増の要求
耐震化の加速が目的である、防災機能強化集中プランにのっとり、補助枠も拡大されている
・私学助成 今年度 322億7,400万円→335億2,300万円(12億5千万増額要求)
園児一人当たり177円増
預かり保育…就園奨励費と並び重点要求
特別支援教育の充実

また、10月22日~23日に千葉県で開催された、全日私幼連の設置者・園長全国研修大会においていても「子ども・子育て関連3法」をめぐり、文科省の蛯名幼児教育居課長の講演があったり、分科会でシンポジウムが行われたりしました。そこでは私立幼稚園の今後の方向性に対して様々な意見も出されましたが、依然として具体的な中身は詰まっていません。

しかしながら、間もなく市町村レベルで設置されるとされている協議の場に、私立幼稚園関係者がくまなく参画することが極めて重要となることは間違いありません。京私幼各地区でも市町村対応への意識向上が喫緊の課題です。